マガジンのカバー画像

読んだ

258
読みます
運営しているクリエイター

記事一覧

4/10 『豊久の女 上』を読んだ

書店で、別の本を取ろうとして、うっかり手をぶつけて落としてしまい、その音が結構店内に響いたので、気まずくてそのままレジに持って行ったのが本書とのなれそめだった。いやもちろんあらすじを見て面白そうだったってのもある。『ドリフターズ』で一躍有名になったあの島津豊久と、わが故郷である木曽の出の女との主従もの、とは。木曽生まれの父と鹿児島生まれの母を親に持つ身として、見過ごせないものを感じた気がする。気まずさの方が圧倒的に感じていたけど。出版元も長野の小出版社でなかなかレアだし、文字

4/4 『プラントピア』を読んだ

最初、作者が参加しているソシャゲか何かのノベライズ作品なのかな、と勘違いしていた。そうではなく歌やフィギュアなどとのメディアミックスプロジェクトの一環としての小説作品、ということのようだった。作者の九岡先生はその中での世界設定や物語担当だったとのこと。なるほどだからこんな綺麗でスラっとしたデザインで、植物という穏やかなイメージを纏ったキャラクター達が、動きだしたら暴走機関車みてーにガッツンガッツンバトったりしてたんだな。最初ギャップに戸惑った。 ただ自分で言うのも何だけど、勘

積読リスト(2024年4月現在)

いちおう3ヶ月で10冊以上は読めているので及第点というところではあるが、積読自体の消化はあまり進んでおらず、むしろ追加されたものの方が多い。まあ今回はお誕生日でいろいろ買ったり、懇ろにしてるネットストアのhontoが紙書籍の取り扱いを止めちゃうから買い納めにいろいろ買ったりしたのでむべなるかな。『ニューロマンサー』を平らげただけで今四半期は満足している。 最近のトピックとしては、先日インフルエンザに罹った。さいわい、熱や症状も大したことはなく高校生時分以来のタミフル投与で無事

3/30 『激ヤバ』を読んだ

随分とさらけ出している。国ちゃんよりも、少なくとも文章という媒体においては、より鮮明に顔が見える。ランジャタイのネタとか、テレビでもそんなに自己主張しないし、シャイなんだろうなと思っていたけど、文章では実に赤裸々に自身のことを語るのだ。意外だった。文章だとさらけ出せるタイプか……わかるな。ていうか名エピソードがてんこ盛りで、めちゃめちゃ話せるじゃん! もっとこういうのテレビで披露しなよ! と読んでてしきりに思っていた。有名な、NSCでトガりまくってて大暴れした結果クビになると

3/22 『Fate/strange Fake ⑨』を読んだ

次巻が最終巻だと……そんな、まだ何も片付いてないし謎も明らかになってないじゃ……いや、わりとなってる、いつの間に。いろいろと明らかになってるし最終決戦とおぼしきマッチメイクも決まってきている。ただアヤカの正体とか、明らかになってるけど「こういう謎のものがいろいろあってこうなりました」みたいな、「こっちの謎はあるけど今回の話には直接関係しないことが明らかになりました」みたいな、論文か何かかって感じなのが癪ではある。 他にも相変わらず時系列が錯綜しててリアルタイム時刻表示欲しいと

3/18 『エンタングル:ガール』を読んだ

TVアニメ『ゼーガペイン』にて繰り返される舞浜の夏は、作中では2022年の夏という設定だったらしい。いつの間にか我々はあの夏を突破していたとは。 本作の舞台は時系列的には――『ゼーガペイン』という作品においてそれがもっとも難しい問題かもしれないが――TVアニメで描かれる、その一つ前のループということになるのだろうか。もしくはそれ以前に繰り返されてきたいくつものループの一つか。ひょっとしたら、章と章とでも別のループだったのかもしれない。ちょっと不自然に思うくらい章やイベント事が

3/12 『水滸伝 一 曙光の章』を読んだ

初北方謙三にして、初水滸伝。いや、水滸伝の方は登場人物の名前くらいならいくらか耳にはしていた。北方謙三もまた名前だけならよく存じ上げていた。 よくよく記憶を辿ってみると水滸伝は確か小学生か中学生の頃に、全1冊のやさしい本を読んだ覚えがあるような気がする。伏魔殿から108つの星が飛んでったとか何とか。お話について全く覚えていないのは、その後ジャイアント・ロボを観て豪快に印象を上書きしてしまったからだろうか。あとはFGOとか、昔ジャンプでやってた水滸伝モチーフのマンガ……くらいの

3/4 『ニューロマンサー』を読んだ

何年か前の誕生日に、古典名作SFを読んでみようということで買ったのだった。やれ難解だの文体がヤバイだのと評判を聞いて、そのたびに戦々恐々としてきたが、そうは言っても俺も今やニンジャスレイヤーの物理書籍を読破したしXやnoteの連載を現在も追い続けている身、たとえSF史に燦然と輝く難解さを誇っていようと、その後発作品を手がかりにして読み進めていけば、イケるのではないか。ほら早速さらりまんとかヤクザとかザイバツとか手裏剣とか出てきてる……イケるのではないか!? ……イケないー! 

3/1 『へんなの』を読んだ

巻末に漫☆画太郎先生の友情出演マンガが掲載されているのが、もはや答え合わせに等しい。子どもの頃に読んだマンガに魅了され、子どもの頃に読んだマンガに出てくるような芸人になれているというのは果たしていかなる運命のなせる業か。長らく地下にいたのが良かったのかな。半端に地上に出ていたらいろいろと歪んでしまっていたかもしれない。よくぞこうまで素敵なかたちを残したまま育ててくれた、ありがとう地下芸人界。漫☆画太郎より生まれ、地下芸人界によって育ったのがランジャタイであり、国ちゃんなのだと

2/2 『魔女と猟犬 2』を読んだ

前巻は表紙イラストに惹かれて買ったのだが、今巻のイラストもまた良い。いやほんと好いな……電車の中とかで読んでるとき、こんな女の子のどアップ表紙だったらちょっと恥ずかしくて表紙隠してしまいがちだけど、こんだけ好い表紙だったらむしろちょっと見えててもいいだろって思えてくるほど。 まあそう言う割に前巻から随分間が空いてしまっていたのだけど、それも序盤にこれまでのお話を用意してくれていたので助かった。更に続いて魔法の系統レクチャーまで……いやこれだいぶ念能力だな。パクリだとか言うつも

1/25 『フルメタル・パニック! Family』を読んだ

衝撃の『フルメタ』新シリーズ、しかもまさかの家族小説! 宗介とかなめが結婚して子どももできて、それも二子! ほっ……へぇ~、感慨深い。『オーフェン』の第四部を初めて目にした当時の読者たちもこんな気分だったのかしら。俺がオーフェンに触れたのは四部が始まってからだったから、ここまでの感慨は得られなかった。 派手な騒ぎや陰謀が無くても(?……まあ無印長編のそれに比べればの話で)わくわくしながらすいすい読めていけるのは、宗介たちが円熟したゆえか、それとも作者の円熟か、あるいは読者たる

1/24 『殺戮にいたる病』を読んだ

タイトルだけはいつからか知っていた名作ミステリ。以前、映画の『死刑にいたる病』を観てから、そういえばタイトルの元ネタはこれだろうなと思って、書店で見かけたときに購入。実際にはさらに元ネタに『死に至る病』があるが、まあそっちは小説じゃないし…… しかし『死刑にいたる病』にあんだけ残虐な拷問描写があったんだから、オマージュ元の本作にもおんなじくらいの凄惨が待ち構えていることぐらいは想像しとくべきだった。文章とはいえブルタルな描写部分にはたいへん気が滅入り、目を細めたり、部屋を明る

1/17 『凶犬の眼』を読んだ

映画『孤狼の血』の続編『孤狼の血 LEVEL2』は今作を映画化したものではなかったが、今作のキーパーソン国光寛郎の鋭い眼光、尖った耳といった描写は、映画の鈴木亮平をほうふつとさせる。なので読んでる間はずっと鈴木亮平のイメージで読んでいった。そのお陰というのか何なのか、クライマックス近くまで果たして国光が本当に信頼のおけるヤクザなのかどうか、ハラハラしながら読んでいけた。 結果的には国光は己の仁義を貫く「善いヤクザ」だったのだが……こんな表現、最早どうかと思うを通り越してギャグ

1/15 『異修羅 Ⅲ 絶息無声禍』を読んだ

アニメも始まったということで、しばらく停まっていた原作の方を再開させた。時間をおいたことで結構忘れてる部分もあるが、そこはアニメで補っていきたい。 それで言うと早速忘れていたのをアニメで思い出させられたことが、ユノがソウジロウに付き随ってる理由だった。半ば八つ当たりとか責任転嫁のような動機でいろいろ動いてるわけだけれど、しかしこの動機って、長続きするのかね。既にふらついてきてるような兆しもあるし。そのモチベを保持し続けるのは、どんな修練を積んで最強を目指すより、あるいは難しい