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8/2 『七つの魔剣が支配するⅫ』を読んだ

進展と変転のⅫ巻。予告はされていたけど、思っていた以上のギアの上がりように、この先しっかりついていけるか不安が鎌首をもたげる。ガイもピートも、とうとう飛躍したな。でも、ガイは状況に追いやられてな部分もあったが、それでも確固たる自分の意志で、己の魔道を踏みしめていくのは、どうあれよいのではないかと思える。どうにかはなっちまうんだろうが、この世界じゃどの道どこかには行き切らなければそこで行き詰ってしまうのだろうし、それだったら己の足で覚悟をもって駆けていっていただきたい。今回の4年生上位陣の総力戦ぶりをみても、作者には一度舞台に立たせたキャラクターをそう易々と置いていく気も、フェードアウトさせる気もないらしい。
仲間の成長に負けじとオリバーの「攻め込まれ力」も力を増しており、ピートとの間柄はある程度予想はあったにしても、まさかティムまでその懐に収めるとは。なんか、すべての黒幕みたいになってきたな。黒幕なんだけど。しかしこれ、主人公特性というにはあまりにも本人の意向からかけ離れており、なんだかオリバーを「こちら側」に繋ぎ留めるための楔を打っているようにも感じられる。あるいは今回クローズアップされた「呪い」の、また違った形での現れ方のようにも。
そんな中で、そうした魔と情に苛まれる凡百一般どもをかるーくあしらい、才能と年季の一振りで彼らの抱える何もかもをなぎ倒すように解決してのける大賢者ロッド・ファーカーの振る舞いに、せっかく積み上げた魔境の常識が揺るがされる。縺れる情愛、躍る陰謀、ひょっとしたらそのすべてが前提から崩れかねない威風が本領を発揮するのはまだこれからか。今巻で描かれた諸々に対する答えもまた次巻。

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