続・アトピー対策備忘録11: 体質改善9 サプリメント摂取、褥瘡治療との共通点
アトピー性皮膚炎治療の為の各栄養サプリをその効能と共に再び簡易に纏める。
①亜鉛:あらゆるアレルギー症状に効く。最重要。傷の修復を直接促進する他に抗酸化・抗炎症作用や免疫調整などの作用があり、腸内細菌叢の改善から消化酵素の合成や消化器官の活動までを補助して胃腸障害の改善にも有効。
具体的には副腎皮質ホルモンの合成から亜鉛プロテアーゼなどの消化酵素、抗酸化物質の生成まで主要な構成成分として広く関係する。
ATP分解や細胞分裂・セラミド合成においても重要な皮膚修復・炎症抑制に必須のミネラルである。
グルコン酸亜鉛のサプリは胃腸にやや負担が掛かるが広く市販され、亜鉛酵母のサプリは胃腸に負担が無いが、人によっては酵母によりアレルギー症状が悪化する恐れも有る為注意する。他にも亜鉛の種類があるため自分に合うものを飲むと良い。
摂取量は一般的な限界量を超える治療基準量で、3ヶ月〜半年程の長期に渡り服用し続けなければ充分な効果は得られない。
基本的には栄養療法を受けられる医院にて行う事が望ましいのだが、アトピー性皮膚炎での亜鉛補充療法は保険適用外である(こればかりは異常な対応だと言わざるを得ない)。
②アルギニン(シトルリン):タンパク質・コラーゲンの合成を促進する。成長ホルモンの分泌を促し、免疫力の向上作用、腎臓機能の回復、更には角質層の保湿効果も有る(治療効果を期待するなら1日に3g以上の摂取が必須)。
成長期や創傷治癒過程においては条件的に必須アミノ酸と看做される(褥瘡治療においては一日7g以上を、一般的には5〜10gを摂取する、その内シトルリンも1g以上か出来れば全体の半量程含むと良い)。アトピー性皮膚炎患者にとっても同様に必要不可欠な栄養素である。
また持続性、吸収・利用効率の点からシトルリンと併せて摂取する事が望ましい。シトルリンには血流改善により浮腫みを取る効果もあり、アルギニンと併せて末梢循環の改善により汗疱(単純疱疹)や湿疹の治療にも必須。
エネルギー基質としてアルギニンが消費されるのを防ぐためにも、コラーゲンも併せて摂取する事が望ましい(健康増進目的では食事での摂取を含めて一日に合計5〜10g、2・3g程度の粉ゼラチン等を食事に混ぜる形での摂取でも問題無い)。
③ナイアシン(ナイアシンアミド):副腎皮質ホルモンの生成に関わりヒスタミン・コントロールに必須。また汎ゆるエネルギー代謝に補酵素として関わりセラミド合成も促進する。炎症予防や痒み・鼻炎にも良く効く。
ナイアシンアミドよりナイアシンでの摂取がより望ましく、ナイアシンならば1日500mg・ナイアシンアミドで摂る場合は1,500mgと3倍量での摂取が必要となる。
④ビタミンC:ビオチン療法や創傷治療に必須。亜鉛・鉄分の吸収効率を上げ、腸内細菌叢の改善やヒスタミンの分解・排出にも必要。水溶性の抗酸化物質としても働く。①〜③までの栄養素やストレスホルモンであるコルチゾールとの相乗効果も高く、少なくとも2,000mg前後、症状が酷ければ4,000〜5,000mgと大量に摂取するのが望ましい。
⑤鉄分:肌の再生に必須。慢性炎症に伴う貧血の予防にも必要。
⑥ミヤリサン(酪酸菌):ビオチン療法での腸内細菌叢の改善に不可欠。他のプロバイオティクスも併せて摂取出来ると尚良い。
⑦ビタミンA:表皮症状の改善に必須。表皮の角質化を予防する。
⑧ビタミンD:免疫機能を向上させ痒み等のアレルギー症状に良く効く。活性型であれば尚良い。
⑨ビタミンE:アルギニンと併せて末梢循環の治療に必須。脂溶性の抗酸化物質であり表皮の角質化を防ぐ。
⑩ビオチン:ビオチン療法に必須。皮膚の再生、抗炎症機能に関わる。
⑪オルニチン:アレルギーにより弱まった腎機能・肝機能を助け、成長ホルモンの産生を促す。
⑫グルタチオン:ミトコンドリアの栄養素で重要な抗酸化物質であり、環境毒素の解毒や肝機能の改善にも必須。色素沈着の改善にも用いる。
⑬アルファリポ酸:同じくミトコンドリアの栄養素で重要な抗酸化物質。他の抗酸化物質の再活性化作用も持つ。更にHSP産生を増加させる効果も有する。
上のもの程に重要度は高くなる。
下部リンクはアルギニン摂取においての注意点。
他にもセレン、EPA・DHA、ビタミンB郡や各種アミノ酸(グルタミン・L−カルノシン・L−カルニチン等)、天然の強力な抗酸化物質としてコエンザイムQ10も効果的。こちらはまだ詳しく検証しきれていないため、いずれ本格的に試したい。
塩化マグネシウムもヒスタミン分解に必須だが、そちらは主に入浴剤での経皮吸収にて摂取を行う。亜鉛は最重要であるため亜鉛華軟膏にて経皮吸収での摂取も併せて行う(ガーゼや包帯、絆創膏での被覆も有ると尚良い)。
アレルギー疾患に長く罹患していると腎臓・肝臓にも悪影響を及ぼすため、その機能を助けヒスタミンの排出を促す目的で浮腫み解消のサプリメントを摂取するのも有効である。
また腎機能・肝機能の改善に併せて成長ホルモン産生を促すためにもオルニチンを摂取する事も重要である。
サプリメントではないが、グルテンフリーによる除去療法に併せてのグルテンダイジェストや、肉類や乳製品摂取時のタンパク質分解酵素を含む消化剤の服用も効果的である。
また皮膚の材料となる栄養としてコラーゲンの摂取も治療に効果的に働く。
…基本的には「褥瘡の治癒促進」と同様の栄養補助を行えば、表皮症状の改善に関して問題無い(皮膚症状はⅠ度・Ⅱ度の褥瘡と大差無いため)。後は腸内細菌叢の改善や免疫機能の向上の為に、ビオチン療法やビタミン・ミネラルを足しておけば良い。
…アトピー性皮膚炎にも阻血性障害に似た面が有るという事なのだろうか。
改めて考えてみると血流障害による組織障害性物質の蓄積や、リンパ系機能障害に伴う自己分解性酵素の蓄積と共通点は相当に多く、治療法が多く共通するのも頷ける話である(表皮症状での機序の推移のみ見れば相当に似通った疾患である)。
となると毛細血管やリンパ管が細く脆弱に成り易い肢端(手指)にて症状が現れるのも当然の事と言えるだろう(次点で皮膚が薄く毛細血管の集中する顔面、排泄物や汗で汚れ易い部位等だろうか)。…案外に事は単純であった様だ。
ここに来て漸く疾患の「根本原因・治療法・表皮症状での機序」までが出揃った訳で、感無量である(付け加えるならば、「社会的な病巣」も)。
丸一年掛かってしまったが、後は治療法・体質改善の実践有るのみ。
上記リンクも参考のこと。