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虎の子日記    男のダンディズム

その昔、日本全国フーテンの旅を試みたことがある。
生まれて初めてキャッシュで買った軽自動車をお供に、行く先も決めず、帰る日も決めず・・・ふらり女一人旅である。

私の目下のテーマは「モテる」であるので、旅でであったいいオトコの話をかかせていただくことにする。

いざ出発、初日の目的地は山口県岩国市。錦帯橋という有名な観光スポットの近くにあるユースホステルを目指すことにした。
なんとかかんとかたどりついたところ、その日のお客は私と男性一名だけ。
夕食を終えた後、「せっかくだから、ねえ♪」とウリウリしながら、宿のおかみさんが食後に二人で夜の錦帯橋散歩をしてこいと言うのだ。
当の二人は「いや、そんなの求めてませんから」だったのだが、無理やりかっぱえびせんを持たされ(子供かっ!)ロマンチック夜の錦帯橋散歩へ出かけたのである。

今日が旅の初日の私、シンプルに旅の目的を訪ねてみることにした。
なんと彼は徒歩で北海道をめざすというのだ。女一人旅、結構チャレンジしてる♪と思ってた私はまさに度肝を抜かれた。彼は長崎の家を出て今日でちょうど2ケ月目というのだ。
テントを持ち歩き、お風呂は町営温泉などを利用しながら、時には公園で過ごす日もある。女子的には体ゴワゴワでドロドロになりそうで耐えられそうもない毎日。でも、親切な人がジュースをくれたり、おにぎりを持たせてくれたりするんだよ、と笑っていた。

なかでもとても印象に残ったエピソードがある。
ある田舎で農家のおじさんに声をかけられ、徒歩で北海道まで行く、という話をしたところ、「泊っていけ」と言うのだ。そしておいしいご飯、あたたかいお布団、お風呂。幾日かそこで過ごさせてもらったそうだ。
出発の時になぜ他人の自分にこんなに親切にしてくれるのか?と尋ねたところ、「私に返そうと思わなくていい。いつか貴方が誰かにしてあげればいいんだよ」と見送ってくれたそうだ。

彼はいつか北海道の礼文島という島に行きたい、と言う。そこがこの旅の最終目標なんだそうだ。いったい何年かかるのだろう?
「着いた後どうするんですか?」とたずねると、「到着した時にやりたいと浮かんだことをする。応援してくれた人の気持ちに応える」と言った。

学歴も、体裁も、仕事も女も考えない。自分が何を感じるかだけを楽しみに、日々歩くのである。最高のロマンじゃないか。かっこいい!
ボーイズよ、これが男のダンディズムだ!ああ、あの時代LINEとかあったらなあ・・もしこれを読んでくれてたら、その後の話を語りましょう!

バチェラー改造計画はまだまだ続く。


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