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【芸術】先生のための美術館ツアーに参加しました。@長崎県美術館

4月24日(日)10:00~12:00
長崎県美術館で開催された「先生のための美術館ツアー ~ティーチャーズデイ~」に参加しました。

県内の学校勤務の先生対象のプログラムで、校種・教科不問。県美術館が通年で実施しているスクールプログラムを、実際に先生たちに体験してもらい、美術館や作品の魅力を感じてもらうというイベント。

いつかスクールプログラムを利用したいと考えている私にとって、絶好の機会。教科不問が助かります。国語の先生が美術館で研修というと、「え?」という顔をされることが多いので、こういうイベントは逃さず参加します。

今回のイベントのロゴ。かわいいです。

「教科横断型授業」STEAM教育

旧教育課程でも謳われていた「教科横断型授業」が、新課程になり、更にその必要性が求められていますが、現場では大きな変化がないのが現状です。少なくとも、私の周りでは。もちろん、熱心に研究されている方もいらっしゃいますが、高校教育ではやはり、個々の先生方の専門性を高めるほうに志向しがち。

STEAM教育の盛り上がりも、小中学校でとどまり、なんだか高校まで波が届いていない。私の本来業務として、すべての教科の基礎と言われる国語教育に労力を割くべきですが、なんとか好きな「Art」の方に食い込んでいきたい。そんな思いが見え隠れする2022年です。がんばります。

さて、今回のプログラムは教育普及・生涯学習課のYさん主導で企画されていました。昨年、勤務校のオンライン授業で大変お世話になって以来、良くしていただき、いつも感謝しています。

「先生のための美術館ツアー」プログラムの流れ

①プレレクチャー(15分間)
本日のツアースケジュールや展覧会概要、スクールプログラムを紹介。

②スクールプログラム体験
・「鑑賞プログラム」(50分間)
2グループに分かれて、スタッフが展示室を案内。おしゃべり鑑賞や作品の見どころを聞きながら、作品鑑賞体験。

・「館内ツアー」(15分間)
屋上やバックヤードを見学しながら、美術館の建築美や屋外彫刻に触れる。

③アンケート記入(10分間)

④フリートーク&フリー鑑賞

配られたパンフレット。裏にスクールプログラム申込用紙があります。


スクールプログラムとは?

長崎県美術館が実施しているスクールプログラムは主に、
①鑑賞プログラム
②表現プログラム
③館内ツアー

の3つからなり、校外学習やPTA活動、子ども会などで楽しく学べる内容になっていました。

表現プログラムの「シルクスクリーン」は料金一人100円。
破格の安さ!子ども会の夏休みのイベントにもってこい!

今回、新たに知ったのが、不登校児童対象プログラム
「ほっとミュージアムクーポン」
不登校や引きこもりの子どもたちとその保護者・関係者に対して作品鑑賞の個別プログラムを実施し、企画展などゆっくり鑑賞しながら心を癒すプログラム。Yさんいわく、「美術館でお茶飲んで、帰るだけでもいいので」とのこと。

色んなアプローチで社会とのつながりを持つ、大事な取り組みだと思いました。

館内ツアー バックヤード見学

プレレクチャーの後、10人前後の班に分かれ、「鑑賞プログラム」と「館内ツアー」を体験。

私はまず、館内ツアーから。

長崎県美術館は、建物自体が隈研吾さんの作品で、館内のベンチからカフェスペースまで隈さんのデザインです。

運河を挟んだ特徴的な設計。
海辺の美術館という珍しい立地と港町長崎を堪能出来る屋上庭園。
長崎の石畳をイメージした壁面に使われている石は、ブラジルで採石し、イタリアで加工された大理石。豪華!
建物だけを見に来られる方もいらっしゃるそうで、建築の観点からも色々勉強になります。

九州で2か所だけの保存修復室

次はバックヤード見学。
いつも屋上庭園へ行くための回廊。実はここにバックヤードの入り口があり、磁気カードと暗証番号でドアがオープン!

見た目にはまったく他の壁と見分けがつかない隠し扉のような入り口に内心興奮しました。かっこいい!

大型エレベーターに乗って、収蔵室と保存修復室へ。
長崎県美術館に修復室があることを今回初めて知りました。
九州では福岡と長崎だけが修復室をもつ美術館があるそうで、県美術館はその一つ。

中では外部からいらした修復士さんが作業中で、見ることは出来ませんでしたが、絵画修復という人類の文化保存に欠くべからざる作業がここで行われていることに感動しました。

鑑賞プログラムへ

展示室に置いてある鑑賞カード。持ち帰りオッケーです。

次に、「鑑賞プログラム」を体験。
現在開催中の「テクテクテクネ―」をスタッフの方のレクチャーのもと鑑賞。テクニックとテクスチャーの知識(テクネ―)で鑑賞するこの展示は技術ごとにアイコンが分けられていて、「これ、絵画に見えるけど版画かー」とか「顔彩いいなぁ」などいつもと違った視点で鑑賞できておもしろい。

私の大好きなギュスターブ・モローはルオーに「マテリアルとの対話」を一番に教えたそうで、素材が作品作りに果たす役割が大きいけど、私のような素人は、つい「何が描かれているか」に意味を見出すことに執心してしまいます。

キャプションが低めに配置されているのも、学童期の鑑賞者を意識していて、配慮が細やかです。

ビッグネーム満載の「テクテクテクネ―」

50分間の鑑賞プログラムは話し出すと、止まらない。
とにかく、誰もが知っているビッグネームから新進気鋭の作家まで、見どころ満載でした。
今日一番の感動ポイントは舟越桂さんの作品が、お父さんの舟越保武さんと並んで展示されている「顔」のエリア。

天童荒太さんの装丁で知った舟越桂さんの作品。間近で見るのは初めてかも。

最後に

レクチャーを受けながら鑑賞すると、理解も深まります。
今日は特に、先生たちとお話ししながらの鑑賞で、本当に楽しかった。
その「気づいた」「発見した」「感じた」という感動を「誰かと共有したい」というこの気持ちはどこから湧いて来るんでしょう。

「帰って何か作りたい!」
という気持ちにもなりましたが、まずは言葉にしたい。
この辺りに、国語教師が入り込む余地がありそうです。

「テクテクテクネ―」は6月5日(日)まで開催。

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