マガジンのカバー画像

空から落ちてきた

23
ラジオのつまみをいじっていたら、心惹かれる曲が流れてきたり、手紙入りの瓶が流れてきて、直接語りかけてきたり、そんな瞬間がほしくて。 散文、ときに韻文。胸いっぱいのさびしさをあな…
運営しているクリエイター

#短歌条例

つばさよつばさ #短歌条例

つばさよつばさ #短歌条例

つばさ持ち切り取ってゆく輪郭を描くことなどもう嫌だけど、逃げられぬ定め宿命見えぬなら抗うこともできないわけで、希釈した悲しみなどを青空にさらに垂らして何も起こらず。風の音聴こえていても風が吹く土地の果てには辿り着けない。願うなら行えばいい。誰一人止める人などいないのだから。唱えても虚ろね。呪文の声調は誰も教えてくれないものね。とりあえず進むしかない道があり、後ろ姿は消えてしまった。笑おうかもしも私

もっとみる
さみしさをかなぐり捨てて #短歌条例

さみしさをかなぐり捨てて #短歌条例

さみしさをかなぐり捨てて、今日の仕事の支度をしても、捨てたもの全てが意思を持つようで、縋る腕から逃れられずに、過去問を解き続けても今日に来る問に答える自信はなくて、微笑みを浮かべていても漆黒の重油のような膜は消えない。ひとつずつ罪の重さを数えては検算をして救われないで、この闇の吐き気のような気だるさに自分全てを委ねたくなる。敗北は誰かが勝手に決めるもの。私のことは放ってほしい。分銅に誰かが書いた目

もっとみる
朝が来るから #短歌条例

朝が来るから #短歌条例

朝が来るから寂しいの?どうせまた使ってしまう時間だろうに。一日を積み重ねてはまた崩し、いつまで生きているつもりなの。鈍色の東の空に戻せない光を眺め傷ついている。そんな日もあるよと誤魔化せないほど、君の心は倦んでいるんだ。双子座の君と蟹座の私なら、いずれ笑って世界を壊す。そんなこと、疑わないで授業前、部室に行ってつかず離れず、クラシックギターの弦を弾いてはまた弾く爪じっと見ていた。さみしさが音に出る

もっとみる
刻まれて

刻まれて

刻まれた影の深さに戦いて安定剤を放り込むだけ。崩れ去るものたちのため何故ここで無駄な努力を続けているか。救われる者と救われない者をコインを投げて神が決めても、生真面目に生きようとする救われぬ者はいつまで足掻くのだろう。決められた因果の波に乗せられてたゆたうだけの人生ならば、何もかも無秩序である骰子と大して変わることはないのだ。密やかに忍びよるからあの窓のアオスジアゲハは全て知ってる。もういいよ。吐

もっとみる
指先

指先

指先が冷たいゆえに、ひとりでに歯車砕け白く輝き、散らばった破片を集め糊をつけ元の姿にしようとしても、つけるたびこぼれてしまう砂に似た、機械は自分自身の鏡。きらきらと光るだけなら、そのままにしといた方が綺麗なのにね。

歯車は、歯車として一生を終えるのだから仕方ないよね。こわばった微笑み残しいつまでも明けぬ闇夜に砕け散りたい。

隔壁

隔壁

この壁で君と私を隔てよう。
眠るときには外してもいい。
そう言った君の横顔、逆光で見えてなかった。笑っていたのか?

いつまでも届かぬような手紙待ち、ここで待ちつづけてもいいのか。待ちつづけ、決して届かぬ封筒の、幻影を見て生きていくのか。判断は脳細胞がすることで、心臓などは加味していない。

カーテンの細い隙間に降り注ぐ西日のような恋だったのか。冷え切ったコーヒー含み、苦味などありふれすぎて分から

もっとみる
闇に向かって

闇に向かって

死ぬために走り続ける肉体を持て余してて何か生まなきゃ。そんなこと考えてても神様の確率論は誰も知らない。どこにでも行くなら行ける鎖など自分でつけるものにすぎない。最果てを見たらその地は最果てで無くなるゆえに見には行かない。辿り着くための土地などまやかしの運命論でしかないものを。生まれ来るまでに46億年経ってしまって何ができるの。これからの将来未来誰だって分からないから知らなくていい。

絡め取ることが

絡め取ることが

絡め取ることができるの? 指先を動かす魔法覚えているの? 白い背景の中、細い首筋を風に晒して、あなたはいつまで立ち続けることができるのだろうか。あの日見た光の形が、目の奥に蘇っては消えていく。

幻ならば痛みすら感じなくてもよかったのに。

記憶の輪郭を辿る森の中。雨が穿つ柔らかい地面をあなたはゆっくりと踏みしめて、選ばれた者だけが加わることが許される魔術の夜に誘われていく。

誰も、いなかったの

もっとみる
存在が吐き気のように

存在が吐き気のように

存在が吐き気のように響くから、ごらん向こうに何も見えない。かりそめの身体なのにいつまても泥に浸かればそれでいいのか。そんなことすら分からない。干からびていく空そっと眺めていたい。

もう、立ち上がれないのだよ。
最果ては最果てとして輝いている。伏せられた因数定理は微笑んで、明日の滅びの計算をする。いつまでも飽きることなく人類の不滅について考えたまま、密やかに歪み続ける物置の鏡のことは思い出せずに。

もっとみる