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さみしさをかなぐり捨てて #短歌条例

さみしさをかなぐり捨てて、今日の仕事の支度をしても、捨てたもの全てが意思を持つようで、縋る腕から逃れられずに、過去問を解き続けても今日に来る問に答える自信はなくて、微笑みを浮かべていても漆黒の重油のような膜は消えない。ひとつずつ罪の重さを数えては検算をして救われないで、この闇の吐き気のような気だるさに自分全てを委ねたくなる。敗北は誰かが勝手に決めるもの。私のことは放ってほしい。分銅に誰かが書いた目鼻口、私の罪を量るのだろう。目盛りなど相対的な解釈で全ては神が流し読みする。そんなこと知ってはいても言葉にはしたくないのだ。捨てたくはない気休めの、サプリメントを流し込み、何を補われたか知らない。遠景は遠く霞んで春が来ていることを知り踵を返す。いつまでも生きているよにつまらないことに時間を費していく。

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