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𝚖𝚊𝚘 𝚗𝚊𝚔𝚊𝚣𝚊𝚠𝚊
2017年4月20日 00:04
期限切れのフィルムを見つけた。これは姉が学生時代に使いそびれた一本のフィルムだと思われる。女子高生がみんなフィルムカメラを持っていた時代の名残である。これは期限切れのフィルムであるが、どんな写りになるのか気になって、試してみたのであった。仕上がりを見たら、昭和レトロと言われている私の故郷が、本当にいつの時代なのか分からない風景になっていた。青はより青く、粒子が粗く散りばめられている。光の粒が同
伊佐 知美
2017年4月15日 22:39
モロッコ・マラケシュという街は、混沌と喧騒と渇いた愛にあふれた不思議な磁場であった、と離れゆく電車の中で、ようやっとこの数日の経験をことばにできる。もちろん毎日文章は書いていたのだ。けれど混沌と喧騒の中にあって、刺激ばかりで身を守ることにも必死で、綴ればそこには私の内部と心情ばかり。街を形容するには、もう少し沈殿が必要なのかもしれないと思って、あえて無理矢理に完成させようとはしていなかった。
2017年3月25日 18:54
カチャリ、と鍵を開けて、屋上へと続く階段を登っていく。一段、二段、青い階段と手すり、白い壁、またたく星。ざわり、と透き通る風吹き抜ける。この風はどこからきたんだろう。山の向こう、昨夜珍しく降った雪、冷たく頬染めて。もしここに海があったなら、私はここへ住んでみよう、と今日決めていたかもしれない。人生に疲れたアラサーの女性よ、すべて一度はここへ来るというルールでもあればよかったのに。日本を