読書録 #6 『正欲』

お久しぶりの読書録になってしまいました。
今回は『正欲』(朝井リョウ著)を取り上げます。

私の腕が悪く、画像が粗くてすみません。

この作品はご存じの通り昨年映画化されており、私も実際に観に行きました。多くの人にこの本と映画が届いて欲しいので感想を書きますが、出来るだけあらすじの詳細には触れないようにします。というのも、あらすじを確認する前に作品自体に触れて欲しいのです。

では本題。
私はまず原作である小説を先に読みましたが、感想を一言で表わすと、陳腐に聞こえるかも知れないですが「衝撃的」でした。

人の倫理観は一人一人異なる。だから自分の倫理観が正しいかどうかなんて本来は分からないはず。
「正しさ(普通)」の基準とは何なのか?

という風に易々と言葉では語れないような余韻が残りました。

映画については、既に原作を読んでいたので「この話がどのようにまとめられているのか?」という点で観ていましたが、意外なところがカットされており、「おお、ここを削るのか…」とびっくりしました。
 
先ほど、「易々と言葉では語れない」と書きましたが、映画で主役の夏月を演じた新垣結衣さんもインタビューでおっしゃっているように、はっきりとした答えを提示するような作品ではありません。一人一人に「あなたはどう感じましたか?」と問いかける作品です。なので、私としては言葉を尽くして内容を説明するよりも、とにかくこの本や映画を、実際に読んで観て欲しいのです。
 
参考までに新垣結衣さんのインタビュー記事を取り上げた私の記事を載せておきます。

 
この作品は「普通」とは異なる性的嗜好を持つ人々を描いているけれど、私は性的マイノリティーだけではなく、もっと広い意味での「定義付けから漏れる人々」を描いた作品だと感じました。というか、そもそも「クィア映画か」どうかも観客に委ねられている気がします。

この記事を読んで『正欲』が気になった方は繰り返しになりますが、まずは作品自体に触れて頂きたい。そこでご自分が感じたこと、思ったことを大切にして頂きたい。

付け加えると、映画を観てから原作を読んでも楽しめますが、私は原作を読んでから映画を観ることをお勧めします。その方がより物語を咀嚼できる気がするので。ただ、あくまで私の感覚なので、どうするのかはもちろん皆さんの判断にお任せします。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。


望月 香夜

 


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