「ビジネス的喋りが正義」の風潮について
あなたは、社会に出て新入社員として働くにあたって、
新卒向けのビジネス本や、自己啓発書などを読んだ経験がありますか?
きっとそれらにはこう書かれていたでしょう。
「結論から述べろ」
「簡潔に、端的に述べろ」
「数字を示せ」
「ファクトやロジックを使って話せ」
そして、きっと実際に働き出しても、その考え方を上司などから刷り込まれてきたことでしょう。
これらはもちろん大事なことです。
しかしそれは「ビジネスにおいては」です。
コミュニケーションの取り方というものはたくさんあります。
ビジネスにおいて、顧客や上司、同僚に対して伝わりやすい話し方をする。
これは当然でしょう。
業務が円滑に進むからです。
しかし、あなたが人生において関わる相手はそれだけですか?
現代社会において、人の人生における「ビジネス」はその範囲を今までになく占めるようになっています。
しかし、だからこそ、「ワーク」と「ライフ」のバランスが大事なことが声高に叫ばれていますよね。
昔はきっと「ワーク」と「ライフ」は地続きであったのでしょう。
「ワーク」と「ライフ」が分類され、「ライフ」が「ワーク」に侵食されようとしている。
だからこそ問題になっているのでしょう。
初めから繋がっていれば問題にすらなりませんからね。
であるとするならば、僕たちの喫緊の課題は、いかにして「ライフ」を守るかにある、とも言えると思います。
では、どうすれば「ライフ」を守るか。
それは「ライフ」にできるだけ「ワーク」を持ち込まないことです。
それはもちろん家に仕事を持ち帰らないとか、残業しないとか、物理的なことに関しては対策を講じている人はいるでしょう。
しかし、考え方やマインドセット、つまりは頭や心の部分は、
本当に「ワーク」に侵食されていないでしょうか。
ここで冒頭の「ビジネス的喋り」それを生み出す「ビジネス脳」が出てきます。
要は冒頭に挙げた考え方に基づいたコミュニケーションを、
「ライフ」の場にも持ち込んでないですか?
ということです。
思い浮かべてみてください。
彼氏や彼女、旦那さんや奥さん、親しい友人に対して、
「結論から言ってくれない?」
「簡潔に言ってくれるかな」
「主語は?」
「結局何が言いたいの?」
などと言ってしまっていないですか?
それって疲れませんか?
大切な人達といる時くらい、「ビジネス脳」辞めませんか?
大切な人といる時くらいは、支離滅裂な、オチのない会話を楽しみましょうよ。
どうでもいい会話しましょうよ。
「自分でも何が言いたいかわからない」「けど聞いてほしい」
なんてこともあるでしょう。
「相手が理解しやすい話し方してるかな」
なんてこと考えないでいい相手がいないと、人はとてもしんどくなると思います。
気を許しているはずの相手に対し、無意識に「ビジネス脳」で接してしまっているとしたら、
心が疲れるのは当然ですし、少し悲しいですよね。
「ビジネス脳」を取っ払って会話する機会が、現代社会では極端に減っているのではないでしょうか。
大好きなパートナーや友人に囲まれて過ごしているはずなのに、
何だか心は疲れているような気がする。
そんなあなたは、もしかしたら「ビジネス脳」にどっぷり浸かっていて、
それ特有のコミュニケーション方法でしか人と接することができない状態にあるのかもしれません。
無意識にどんな相手とも「ビジネストーク」しかできない状態になっていたとしたら、とても恐ろしいことだと思いませんか?
大体のブルーレイプレイヤーは旧式であるDVDも見れますよね。
もしかしたら、あなたは「DVDの見れないブルーレイプレイヤー」状態になってしまっているのかもしれません。
まとまりのない支離滅裂な話をしても大丈夫な相手を見つけ、
そうした時間を大事にする。
それに慣れることで「切り替えスイッチ」を手に入れ、自在に操ることができるようになる。
もしかしたら、それが「生きづらさ」からの脱却への1つの道なのかもしれません。
小野トロ
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