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最近読んだ本の話 vol.17

 「最近読んだ本の話」の第17弾です。GWは遠くに出かけることもなく、本を読んでいました。今週はGWの間に読んだ本を3冊ご紹介します。


1、保坂 和志『猫がこなくなった』

猫好きの友人の高平君がうちに来て、涙ながらにいなくなった猫の話をはじめた、聞けば聞くほど私が外で世話していたキャシーそっくりだった。
ついに1ヵ月経ったところで高平君は、迷い猫のポスターを貼りだした。それを作ったのは二週間目だったが、「貼ったら事実を固定化するみたいじゃん。」と思っていたのだ。レディはきっと帰ってくる、キャシーもそうだ。
果たして高平君のレディはみつかるか?(表題作)

特別に忘れがたい猫、突然伐られてしまった大きなヒマラヤ杉、賢いカラス、鎌倉の家から見えた川端先生のお屋敷、夏の明るい日差しの中で本を読むこと、隣家の物置きに住み着いた赤ん坊連れの女のひと、子猫が友人の手のなかで命を落とした夜明けまでの夜・・・

「命において死は生きるのと平行して在りつづける」ことを証しだてる9つの短篇小説。                   -Amazonより引用-

 保坂さんの新刊だ!と喜んで手に取りました。エッセイと思っていたら小説でした。1篇目は、保坂さんと猫好きの友人高平君の猫をめぐるお話です。可愛がっている野良猫が、自分の家にしか来ないと思い込んでいるお二人の様子が微笑ましいです。高平君のレディは3匹いたんだろうか?謎だ。読み進むにつれて難しくなってきます。保坂さんの書かれたものを読んでいると、気が抜けないというか、単純なことについての話だったとしても保坂さんの考え方と自分の考え方が違っている時、「私、間違ってるかもしれん。」とドキドキするので目が離せません。どうしてそう思うのかなあ。


2、加藤シゲアキ『ピンクとグレー』

大阪から横浜へ越してきた小学生の大貴は、マンションで同い年の真吾と出会う。性格は全く違う2人だったが惹かれあい、親友に。やがて高校生になった2人は、雑誌の読者モデルをきっかけに芸能活動をスタート。同居も始めるが、真吾だけがスターダムを駆け上がっていくことで2人の仲は決裂してしまうが…。ステージという世界の魔法、幻想に魅入られた幼なじみの2人の青年の愛と孤独を鮮やかに描いた、切ない青春小説。 
                         -Amazonより引用-

 読んでみたいなあ、と思っていてとうとう読めました。目次を見るとたくさんの飲み物の名前が書かれています。そこからしてもう「面白そう!」という期待が高まって、読んでいくと切ないです。この物語とは全然関係のない自分の思い出なんかを思い出したりして哀しくなったり、だけどこの物語を読めてよかった、と思うような哀しみとキラキラした物が同時に散りばめられている惹きつけられる文章です。すごい才能だなあ。


3、岸 政彦『ビニール傘』

共鳴する街の声――。気鋭の社会学者による、初の小説集! 侘しさ、人恋しさ、明日をも知れぬ不安感。大阪の片隅で暮らす、若く貧しい〝俺〞と〝私〞(「ビニール傘」)。誰にでも脳のなかに小さな部屋があって、なにかつらいことがあるとそこに閉じこもる。巨大な喪失を抱えた男の痛切な心象風景(「背中の月」)。絶望と向き合い、それでも生きようとする人に静かに寄り添う、二つの物語。              -Amazonより引用-

 岸 政彦さんが初めて書かれた小説、ということで興味が湧いて読みました。大阪が舞台になっていて、知っている地名がたくさん出てきました。ほとんどが20代か30代の男女の生活や職場や人間関係のできごとを描いています。登場人物が途中から別人になっていたり、別人のエピソードが所々重なっていて、複雑な構造の物語です。どうなる、という展開があるわけではなく、ただそこにあって続いていく物語なのかなあ。そうか、人の人生ってそういうものか。


 今週も書き終えることができました。17×3は51、このシリーズで51冊ご紹介できました。このまま進んだらすごいぞ!このペースで書けるかなあ?一歩一歩進んでいきたいと思います。最後までお読みくださってありがとうございました。

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