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最近読んだ本の話 vol.15

 最近読んだ本の話の第15弾です。このシリーズも書きはじめて4か月たちました。その本の中で何が印象に残ったのか、何を感じたのか、書かなければ意識しなかったのかもしれないし、何か書くという前提があるから、感じ取ろうとする意識が強くなるのかもしれないけど、だからといって書き切れているわけではないよなあ、なんて思いながら…、今週も3冊ご紹介します。


1、田中 慎弥『完全犯罪の恋』

「私の顔、見覚えありませんか」
突然現れたのは、初めて恋仲になった女性の娘だった。

芥川賞を受賞し上京したものの、変わらず華やかさのない生活を送る四十男である「田中」。編集者と待ち合わせていた新宿で、女子大生とおぼしき若い女性から声を掛けられる。「教えてください。どうして母と別れたんですか」
下関の高校で、自分ほど読書をする人間はいないと思っていた。その自意識をあっさり打ち破った才女・真木山緑に、田中は恋をした。ドストエフスキー、川端康成、三島由紀夫……。本の話を重ねながら進んでいく関係に夢中になった田中だったが……。
芥川賞受賞後ますます飛躍する田中慎弥が、過去と現在、下関と東京を往還しながら描く、初の恋愛小説。                                          -Amazonより引用-

 主人公の名前が「田中」で、著者の名前も「田中」であり、主人公の職業が小説家なのだけど、物語の冒頭で、自分の高校時代の思い出を書いたのではない、と著者は語っています。主人公は、高校時代の元恋人の娘に声を掛けられ、母とのできごとについて詳しく話すよう詰め寄られて承諾するのですが、物語には不穏な感じがつきまとい、いったい何があったんだろう?とこわごわ先を読み進めます。最後まで読んでもわからないことはわからないままで…、どうしてその選択をしたのかな?主人公のこと、本当は好きだったのかな?など、私には読み解けなかったことが心に残ります。他の作品も読んでみたいです。


2、吉本 ばなな『吹上奇譚 第三話 ざしきわらし』

生きていてほしい。それだけでいい。
人智を超えた世界の理がしみじみと胸をうつ、大好評の傑作哲学ホラー。

吹上町に夏が来て、引きこもりの美鈴がミミのもとを訪れた。
「部屋の中に子どもの霊がいるんだ。いつも夜になると出てくる」
生も死も、過去も未来も溶け合う吹上町に、新たな風が巻き起こるーー。

吹上町の住人紹介
ミミ 夢見と屍人使いの才能を持つ。双子の姉
こだち 怪力の人気服飾デザイナー。双子の妹
墓守くん 町の墓守兼フラワーアーティスト
美鈴 墓守くんの彼女。腕利きの霊媒師
まなび ミミとこだちの母。異世界人

この町には「少し違う」形の人がたまに混じっている。   -Amazonより引用-

 吉本 ばななさんの本を久しぶりに読みました。なんだか変わっていて面白そうな本だな、と思い、手に取りました。第三話なので、前作と前々作でいろいろなことが起こったらしい、とおぼろげに感じながら読み進んでいくと、登場人物たちの過去が少しずつわかってきます。主人公のミミの印象に残った言葉引用します。

私は人に対してそれができているだろうか?できればひとかけらでもそのような生き方をしていきたい。自分は鼻歌を歌いながらしているようなことが、人を救う。なんてすばらしい、最高だ。

 「自分は鼻歌を歌いながらしているようなことが、人を救う。」ってすごくいいなあ!と思い、印象に残りました。私が鼻歌を歌いながらしているようなことで人が救えたらどんなにいいだろう。


3、中島 京子『ムーンライト・イン』

だいじょうぶ。何かにつまずいた時、 あなたを待っている場所がある。

職を失い、自転車旅行の最中に雨に降られた青年・栗田拓海は、年季の入った一軒の建物を訪れる。穏やかな老人がかつてペンションを営んでいた「ムーンライト・イン」には、年代がバラバラの三人の女性が、それぞれ事情を抱えて過ごしていた。拓海は頼まれた屋根の修理中に足を怪我してしまい、治るまでそこにとどまることになるが――。
人生の曲がり角、遅れてやってきた夏休みのような時間に巡り合った男女の、奇妙な共同生活が始まる。                                          -Amazonより引用-

  八ヶ岳が見える場所で、野菜を育ててジャムなどを作って販売しながら数人で共同生活なんて、いいなあ!と思って、すっかり山が恋しくなって移住したくなりました。登場人物たちにはそれぞれ事情があって、それが徐々に明かされていきます。色々あるよなあ、難しいよなあ、とうなずきながら読みました。学生の頃、すごく景色の綺麗な山でバイトしたことがあり、夏休みが終わって帰る時に、なぜか社長さんが「いつでも戻っておいで」と言ってくれて、その時は「仕事辞めたらここに来よう!」と思っていたなあ、と懐かしく思い出しました。


 今週も書くことができました。今月はこのnoteで「最近読んだ本の話」は最後です。来週はGWだからたっぷり読めるはず!最後までお読みくださってありがとうございました。

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