【10冊読むまで帰れま10】回顧録(20年2月④)スポーツノンフィクションの巨匠篇
どもmoaiです。
帰れま10の2月篇ラストです。
■□■□■□■□■□■□■□■□
⑨金足農燃ゆ
中村計
【評価★4】
18年夏の「金農旋風」のスポーツノンフィクション。
今、野球のノンフィクションを書かせたら1番面白いと思ってるのが、中村計氏。
numberに寄稿しているフリーライターで、抜群の洞察力で原稿を紡ぎ出して行く。
今回は「金農」がテーマ。なぜ、吉田輝星が生まれ、なぜ輝星の周りに、あのメンバーが集まったのかを解き明かしていくことになる。
「事実は小説より奇なり」とよく言ったもんだ。
18年夏甲子園決勝。エリート私学の大阪桐蔭と雑草公立の金足農が激突するわけだが、果たして誰がこの組み合わせを予想できたのか。
これが小説なら、作りすぎ!という展開だろうが、事実として目の前に現れたら、ただただ現実を飲み込むしかない。
1つだけツッコミを、入れるとするなら、もう半年前の夏に出してくれなかったのか。
当然、執筆者もそう考えたはずだが、いかんせんピークの後過ぎやしないか。秋田県内ではバカ売れらしいけども、こちらではどうなんだろう。そこがもったいないと感じた。
⑩あぁ、荒野
寺山修司
【評価★ 3】
天下の寺山修司氏の小説である。
中学生の時に読んだ「書を捨てよ街へ出よう」で寺山修司ファンに。とはいえ、著作を読みこなすリテラシーが自分にはなく、本だけを集めていて、さらにそれが読まれることなく積みっぱなしだった。
そんな時を超えて、約25年ぶりに寺山作品を手に取るとは、それも寺山には珍しい小説を手に取るとは思わなかった。
最初の数ページを読むと、サクサク進み、購入を決意。
そこから苦しむとは思わなかった。
登場人物のキャラ設定は抜群なのだが、いかんせんストーリー性が希薄で、物語の必然性が見えてこない。
**これって俺の読解力の無さ?なのか? **
最後は意地で読み通したが、果たして。
あとがきで寺山は「キャラ設定は決めて、あとはジャズの即興演奏のように」と宣言しているので、仕方あるまい。
ストーリー性は希薄だが、「言葉」を操らせれば、天下一品。さすがの「言葉の魔術師」だ。
文中に挿入されているアメリカ人作家のラングストン・ヒューズの言葉を多用しながら、シニカルに、時にリリカルに表現していく。
そこら素直に評価すべきと思う。
改めて寺山作品を読もうと決断した次第である。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?