モフリーの始め方①
cafe Mo.freeについて書こうと思う。
2020年4月現在、世界に疫病が蔓延し世情は混沌としている。SNSを覗けば虚実入り混じった情報が溢れるだけでなく、罵詈雑言・誹謗中傷が嫌でも目に飛び込んでくる。
「今こんな事書いてる場合か?」という気持ちの方が大きいし、気分がそこまで乗っていないのも正直なところだ。
しかし全く売上の立たない店でネコと過ごすだけの日々に「少しでもお金にならんものか…」という邪な気持ちが、そもそもnoteを始めた発端でもある。
みんな家から出られず、そんな中にあって当店を心配してくれている(はず)なので、そういう意味でも情報を発信していこうと思うし、こんな時でもないと自分の経験や考え、展望などを整理する時間が取れなかったのも事実だ。
そしてなにより、たとえ明日世界が滅びようとも、今日もいつもと変わらずリンゴの木を植えていたい。
混乱した世界で自分をしっかり保つために出来る事をやり、いつもと変わらない日常を送る。
それが一番しっくりくる今回の行動原理なのかも知れない。
ただ、一つだけ確認しておきたい事がある。
それは、cafe Mo.freeは経営的に成功していない、という事だ。
今から書こうとしている事柄は、自分の経験や考えをまとめる為というのが最大の理由ではあるけれど、更にどこかの誰かが起業する時に、あるいは誰かの事業が存続する為に、少しでも必要な材料になればという気持ちも大いにあったりする。
しかし残念ながら、何度でも言うけどcafe Mo.freeは経営的に成功していない。
つまり、こうした方がいいとか、こうしてきたから参考にしてね、と言ったところで何の説得力もないのだ。実に、全く、完全に。我ながら悲しいけれど。
もし何かの参考にしたいと考えてくれた人は、この悲しい事実をぜひ頭に入れておいて欲しい。cafe Mo.freeは成功していないし、なんなら崖っぷちに立っている、と。
これから記すのはあくまで「cafe Mo.freeの軌跡」であり、「cafe Mo.freeの展望」である。
通ずるところはあると思う。成功者ではない、実際に四苦八苦している「リアル」がそこにあるから。しかし当然だけど、まるで参考にならないものも多く含まれると思っている。
でも世の中のほとんど全て、結局そんなものじゃない?なんて、したり顔で話を進めていこうと思う。
話が始まらないのはもちろんだし、何より「どんな髭剃りにだって哲学はあるよ」と、その昔僕の大好きな異国の文筆家が語っているのだから。
とりあえずひとまずはそれを信じる事にしよう。
モフリーをやる上で最も大事な事
僕の店に限らず、何か事業を起こす時に最も大切な事はこれではないかな…と思うものがある。
それは、企業理念と企業哲学だ。
…こう書いてしまうと、早速意識の高い経営者的なレッテルを貼られてしまいそうで、少し躊躇ってしまうのは否めない。
けれどこの2つ、本当に大事だと思う。
一般的に言われる企業理念とは、経営に於ける根本的な考え方を公に定めるものを指して、企業哲学は創業者個人の経験や思想を基に定められるものだ。
英語だとどちらもCorporate Philosophyと訳せるこの言葉。
しかしそんなまどろっこしい言い方だと構えてしまうので、もっとざっくばらんに、
スローガンとコンセプト
と言い換えてもいいと思う。
要は、理念(スローガン)を遂行する為に、哲学(コンセプト)を定める事。
お店を運営していると、迷ったり悩んだり分からなくなったり自信を失ったり…少なくとも自分はそんな状況の連続で、我が能力のなさに辟易する毎日だったりする。そしてついに、
「なんで俺こんな事やってるんだろ…」
という思考に陥る。
何せカフェなんて儲かる業態じゃない。悪い回転率に低い単価、余る在庫、尽きる貯蓄、ポストに入った容赦ない請求書、迫り来る支払い期限、なんでもいいから早く構えと煩いネコ…基本的に気分が落ちてる事の方が多い現状だ。
このままでいいのだろうか、とか、間違っていたのだろうか、とか。
これをやった方がいいのではないだろうか、等。
そんな思考に囚われてる時に必要な言葉、と言えばいいだろうか。
いわゆる初心に立ち返る事が出来る言葉。
広い海原に漂う時、よすがになる灯台の灯りのような言葉。
それは、短ければ短い程いい。
文章ではなく一言。これが大事。
cafe Mo.freeの場合、企業理念はズバリこれです。
全てのネコに愛を
この一言に収斂される。迷ったり悩んだ時はこれを思い出す事。そしてこの企業理念に悖る事は絶対にしない。
これが遂行出来なくなるくらいなら、潔く店を畳んだ方がいい。それぐらいの覚悟を込める。
そしてこの理念を遂行する為のコンセプトが、
・ネコ
・音楽
・本
の3本柱で、個人的には『モフリー大原則』と名付けている。
この大原則に基づいたもので勝負する、というのが僕のルールだ。
自分でお店をやると、とにかく何をやってもいいと思うし、何でもやりたいように出来てしまう。
この自由度の高さが、何よりの魅力だし長所だと思うのは何も僕だけではない筈だ。
ただ、実はその無尽蔵な自由ほど(実際そこまで自由じゃないけど)持て余すというか、とっちらかして迷走してしまう危険の方が大きい。
そこで、自分の中で「決まり」を敢えて設けて、その「決まり」の純度をめちゃくちゃに「これでもか!」と高めるのが大事なんじゃないかな、と思っている。
「やりたい事をやる」ではなく、いかに「やらないですむか」を考える事
これを常に気を付ける為にも、大原則はとにかく大切だと思っている。
もちろんお店を運営する上で、新しく何かを始めるのはとてもいい事だと思う。
それがこの初めに定めたコンセプトに沿うならば。そして、このスローガンがおざなりにならないのであれば。
cafe Mo.freeには「全てのネコに愛を(Love for all cats)」という文言を全てのロゴに入れている。ここはどんな店?と聞かれた時に「ネコと音楽と本がコンセプトの店です」と即答出来る。
そういう「要約出来る言葉」というのは事業に限らず、何か行動するには必要ではないか。
こればかりは、スーパーヒトシ君人形を出せるくらい自信があったりする。
どうでしょうか、黒柳さん。
~ お 話 の 要 約 ~
・一言で言えるスローガンとコンセプトを設定する
・やりたい事よりもやらない事を優先する
最後まで読んで頂きありがとうございました。