見出し画像

続 育休取得とプロティアン・キャリアとの関係

現代版のプロティアン・キャリア理論では、個人が蓄積するキャリア資本として、ビジネス資本(経験・知識)、社会関係資本(人脈やコミュニティ)、経済資本の3点を挙げています。
参考:プロティアン・キャリア協会「プロティアン・キャリアとは」


育児休業中は仕事を離れているため、ビジネス資本は蓄積できないのでしょうか?

休業中の能力については、複数の研究結果も出されています。

それらの研究では、育児休業中に磨かれる能力として「時間管理能力」や「仕事を効率的に進める能力」「仕事を新しい観点からみること」が挙げられています。(脇坂明 「育児休業は本人にとって能力開発の妨げになるか」「女性労働に関する基礎的研究」)

また、長期育児休業を取得した男性を対象としたヒアリング調査では、育休中のキャリア探索を経て、職場復帰の際には「キャリア自律」「ワークとライフの複合」の意識が生まれることが明らかになっています。
(尾野裕美「長期育児休業を取得した男性の内的変容プロセスに関する探索的検討」)

別の男性の育児休業取得についての調査では、「効率的な業務遂行等」の働き方の見直しや、「助け合う風土やお互い様の意識の醸成やチーム力の向上等」が職場で見られたと報告しています。(労働政策研究・研修機構「男性労働者の育児休業取得に積極的に取り組む企業の事例」)

つまり、休業中に新たに蓄積されたり磨かれる能力もあるということです。
また、育児によって健康や食等の知識も増えていきます。職場復帰後に、業務遂行のスピードに慣れることや両立負担の調整には苦労する方もいらっしゃいます。けれども、新たな知識や能力を再統合して新たなキャリア形成もできるのではないでしょうか。

キャリア相談やワークショップでは具体的にお伝えしています。