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キャリコンの活躍と、文化と報酬

先日、国家資格キャリアコンサルタントの5年目更新手続きを行いました。指定のキャリアカウンセラー資格を取得していたため、移行して国家資格取扱いとなってから5年となったという経緯があります。

厚生労働省が指定するキャリアカウンセラー資格の一つ、CDA(キャリアデベロップメントアドバイザー)を取得してからは、16年以上です。当時からの社会情勢の変化と、活躍の場を広げるために大切な視点についてお伝えします。

相談にお金を払う文化の醸成

2000年前後までの日本では、ライフキャリアの相談のためにお金を払う、という文化がなく、「仕事にならないのでは」「ニーズがないのでは」という声がよくありました。

現在、相談サービスビジネスが増え、個人の方のキャリア相談や企業内キャリアコンサルティングが増えた背景には経済・社会情勢の変化があります。終身雇用、勤務年数と共に給与が上がる仕組みも継続が難しくなり、多様なキャリアパスの発生と、それに伴う悩みを解決するニーズが出てきたのです。

また、2002年に厚生労働省が5年間でキャリアコンサルタントを5万人養成する計画を制定し、その後、2016年に厚生労働省が定める資格が「標準レベルキャリアコンサルタント」として国家資格となったという経緯もあります。

報酬とポジション

相談する文化の醸成が進む一方で、残された課題もあります。報酬レベルが高くないということです。私自身も公的機関でキャリアカウンセラー業務についていた時期に、報酬に比べて業務内容の負荷が高く、愕然としたことがあります。当時の業者の方に、「希望者が多いから、(報酬が低くても)募集すれば集まるんだよね」と言われたことがあります。職業としての価値も高くなかったということです。

その背景として、個人に寄り添うことを重視しすぎたため、企業に対してどのように役立つのかという視点が弱かったということがあるでしょう。個人向けの職業であるから、負荷がかからないように安く設定する。そのため報酬も低くなるという考え方です。

企業側のキャリアコンサルティングに対しての認識が高くないのは、企業の経営戦略にどのように貢献できるのかのPR不足、認識不足だったかもしれません。

実際には、個人のキャリア戦略と、企業の事業戦略、労働市場のニーズも踏まえて、多角的な視点で物事を捉え、ご相談者と一緒にライフキャリア全般を考える、とても深くて広い職業でもあるのですが。

先駆者に学ぶ

キャリアカウンセラー資格を取得した16年前、既に活躍されていたキャリアカウンセラーの方々は、「後進のために」と、価格設定をされていました。キャリアカウンセリングや研修提供の価値を粘り強く説明し、交渉されていたんですね。

資格取得したばかりだから、負担にならないように、と安価なサービスを開始してしまうと、自分だけでなく業界全体にも影響が広がってしまいます。もちろん、自分の市場価値もです。

個人だけでなく、企業の事業戦略に沿って、市場ニーズも踏まえて、多角的な視点でご相談者や企業の方とお話しできるよう、積極的に動いて気いたいですね!