見出し画像

性別役割の壁と対処法

数年間に渡って、ワーキングママ向けのワークショップを開催していた時に、仲間と議論になったことがあります。仕事と家庭の両立で悩む女性向けの施策が、“本人の交渉力や行動力を低下させているのではないか”と感じるようになったのです。

また、会社員からフリーランス転向を目指す方のキャリア支援では、転向の理由に「仕事と家庭の両立のため」が多かったことに葛藤を感じたこともありました。“会社員としてのキャリア継続のために会社や家族と交渉したり行動する機会を奪っていないだろうか”と感じることがあったからです。

つまり、良かれと思って行っていたことが、「家庭のことを行うのは女性の役割」という認識を高める結果になっていたかもしれないのです。

そして、これらの事例からわかることは、性別役割の認識は女性たちに深く残っていたということです。家のことは女性がやるべき…、キャリア継続は男性を優先するべき…等、育った環境やメディアの影響などでそれらの認識が刷り込まれていたのかもしれません。参考図書では、ミレニアル世代の女性の5割が配偶者のキャリアを優先すると回答した調査が紹介されています。男性は4割がお互いのキャリアを尊重すると回答したのにです。
国際的に見ても、女性の無償労働時間は長いことがわかります。一方で男性の有償労働時間の長さも1位です。
参考:内閣府「男女別に見た生活時間(週全体平均)

現在、それらの事象は、別の形に発展しつつあります。近年は、男性の育休取得が進む中で、「キャリアの中断」に悩む男性の相談が増えてきました。会社員からフリーランス転向の理由には、「主体的にキャリアをコントロールしたい」というものが増えるとともに、「家族の介護のため」と言う男性の事例も見られるようになりました。

性別問わず介護や育児等に従事する方と交流していくことや、キャリア継続のために周囲へ交渉を続けるなど、今の時代だからこそできることをやっていきたいものです。

参考図書:「男性中心企業の終焉」浜田敬子