男女賃金格差と、経験格差の関係
法律の改正により、301人以上を雇用する企業の事業主は、男女間賃金格差の情報開示が義務付けられました。働き続ける環境が未整備の時代、女性は出産や家族の転勤帯同などで離職するケースがみられ、「勤続年数の違い」「昇進遅れ」等で賃金に差があるとされてきました。育児や介護等と両立しながら働く人が増える中、それ以外の違いとはどこにあるのでしょうか?
プロジェクトへの参加経験の差
経験の違いに注目した研究では、「部署横断的なプロジェクトへの参加」「新規プロジェクトの起案・提案」等が違いの背景として挙げられています。
参考:パーソル総合研究所「女性活躍推進に関する定量調査」
職種経験の差
職種の違いによる研究では、管理職や専門職に男性の割合が高く、事務職、サービス職、販売職などに女性の割合が高いことが挙げられています。つまり、女性の方が賃金が安い職種に就いている割合が高いというものです。
外的要因と内的要因
女性が男性に比べてプロジェクト経験や新規事業経験が少ない背景として考えられるのは、プライベートとの両立の忙しさを想定したり、立場にふさわしくない等の理由で辞退する、ということです。自分自身の内的要因によるものです。
また、周囲からも「女性はやりたがらないだろう」と先入観を持って声をかけない傾向もあるかもしれません。メディアの影響、事例がないからという要因もあるのではないでしょうか。外的要因によるものです。
職種を選択する際には、「女性の方が事務に向いている」等の思い込みから選ぶこともあるでしょう。周囲からも、「女性は営業は希望しないだろう」等の先入観から抜擢しにくいかもしれません。実際に、事務職や広報や人事に女性の割合が多い傾向もあります。
小さな積み重ねによる結果
私自身は長年人材業界で経験を積んできましたが、女性の割合が高いわりには管理職や役員が少ない企業もありました。その背景として、キャリアコーディネーターや事務サポート職に女性が多く、営業や企画部門に男性が多いという事実がありました。つまり、管理職や役員としてキャリアを継続するには、営業や企画部門での経験が重要視されていたのです。その結果、男女賃金格差が起きていたということです。
そのように、職種によってキャリアパスが限定される事例、周囲でも見られるのではないでしょうか。あるいは、多様な人と協業できるプロジェクトへの参加の機会や、営業や企画職などへの職種転換の機会に、女性自身が手を上げにくかったということはなかったでしょうか。
現状の分析から次のアクションが見えてきますね。
ワークショップ等でもお伝えしています。