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小説「ヒトノカタチ」

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これは「ヒト」と「ヒトノカタチ」をした物との日常のストーリー…… 地球に似た惑星上で、あえて20~21世紀の文化を再現して生活している世界の中で、そんな世界を支えているアンドロ…
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「ヒトノカタチ」-はじめに-

この物語はうちのドールを登場人物のイメージとしてどんな世界で暮らしているかを物語ったショートストーリーです。
まあ正直な話自分の理想とする社会をドールに演じさせてる格好なのでアレな部分もあるかもしれませんが、そこはあまり突っ込まないで下さい。
また登場人物には元ネタがあるキャラクターも多数出演しますが、借りてるのは名前と容姿だけなので、キャラクターとしてはまったく別物となります。そこはご了承くださ

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「ヒトノカタチ」-プロローグ-

遠い未来、人類が地球を飛び出し、広大な宇宙に生活圏を移した時代…
そんな中のある地球に似た惑星、ジパング613と言われる惑星がある。

この惑星で、不思議なことがある

一見するとまるで地球が最も輝いていた時代、地球世紀20~21世紀ごろの都市、生活が広がっているのだ、しかもこれがテーマパークではない、まさにここの住民はそんな時代のころの生活をしているのだ。
そしてそういう世界を支えているのが一見

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「ヒトノカタチ」STORY1:ある1日

ピピピピ、ピピピピ…
部屋にアラーム音が響く
「ん、んんん…」
ベッドの人型をした布団がうごめく、布団から手が伸びて目覚まし時計のボタンに手をかけようとしたとき、ドアが開き
「おっはよーございます!」
子供らしい人物が勢いよく入ってきて、おもむろに
「はいはい、起きて!」
と言って布団を剥ぎ取ると、褐色肌をした人物が起き上がる

「んん…おはよう、ミイ」
そう言うと半ば子供に引っ張り出されるように

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インターミッション(1)

*この世界のアンドロイドに関するきまり
・個人で所有できるドロイドは通常2体まで、それ以上は(派遣業とみなされて)税金が高くなる。
・法人では総従業員数のドロイドの比率は5割まで。なので一般的には生物(人間など)とドロイドがペアになる形式になることが多い。
従業員数10名以下はこのルールの対象外になる。ただし必ず1名以上は生物がいないといけないが、一般的にはオーナーがその枠に入るので、わざわざ生物

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「ヒトノカタチ」STORY-2:再会

「さーて今日も終わったし、今日は何作ってるのかなー」
そう言いながらレイアが自分の部屋に向かってると、なにやら隣の部屋のドアが空いて箱が積まれてる様子に気づく。
「あれ、誰か引っ越してきたのかな?しばらく空室だったけど…」
そう思ってると部屋から金髪の女性が出てくる
「あーちょっとそこは後でいいから、この箱を先に…」
そしてお互いに目が合う

「…え、もしかして…レイア…さん」
「え…真理子、さん

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インターミッション(2)

*新品か中古か
ドロイドも中古市場が存在し、多くの中古品が出回っている。
プラグインの柔軟性や教えやすさでいえば新品のほうがいいのだが、中古のほうが人生経験(?)的なものがあり「仕草とか人間らしい深みがある」と言ってあえて中古を好む人も多い。ただ虐待を受けていたとか、前オーナーの行為によってトラウマができてしまっているようなハズレもあったりもする。(あと、戦争に駆り出されてトラウマを抱えてしまう個

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「ヒトノカタチ」STORY-3:偶像

仕事終わり署に帰ってくる途中のレイアとさくら。
「まーなんとか今日は終わりそうだよな」
「そうだといいんですがねえ。こういう時に何か起きそうな気もするんですが」
「おいおい、ドロイドなのに何かの予感ってなんだよ」
「いや、経験上何かが起きるように感じるのをそんなふうに言うのかなって」
「あんた全リセされてるんだろう?そもそもそんな経験なんてないはずだけど」
「…まあ、でも警察対応のデータからなんと

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インターミッション(3)

*人類外生命との生活の事情
この時代、人類の生活圏が幅広く広がったためにいくつかの人類外生物と遭遇し、その中には交流を持ち一緒に生活する種族も出現するようになった。一般的には(生活する以上あまりかけ離れているとダメなので)人類と外観や生体が似通った種族が一緒になることが多い。ハウ族もそんな種族の1つであり、母星が近いことやその風貌からわりあい交流が盛んに行われる。
*ハウ族の生態
一見人類と同じ姿

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「ヒトノカタチ」STORY-4:追憶

レイアとさくらが食堂から出てくる
「…で、調子の方はどうなんだい?」
「ええ、おかげさまで好調です」
「いつもなら補充電だけで済むのになに藪から棒に一緒に食事しましょうって何の風の吹き回しだい?」
「いや、たまには食事ってものを楽しみたいななんて思いまして…」
「でも多くの場合1回の充電で1日は動けるはずだろう?」
「自分はセンサーユニットでエネルギー食うので…」
「そうか、そうだったよな」
そん

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インターミッション(4)

*この世界での親子事情
この世界では腹を痛めて子供を生む…ようなことは珍しいことになってしまい、ほとんどは人工子宮によって子供が文字通り”生産”される形になっている。これは開拓時代、そしてその後も社会を持続するのに必要な人口を確保するためにこのようなことが行われる。
夫婦が精子と卵子を提供して人工子宮局に依頼する場合もあれば、選別された精子と卵子を元に一定数が作られる場合もある。そういった個体が里

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インターミッション 番外編

*ドールの立ち位置って?
とある方から「必ずしもドールを絡める必要ってないんじゃない?」と言われました。

…ごもっともです(汗

「そこまでするのなら全部オリジナル設定で作ったほうがいいんじゃない?そのほうが面倒くさくないし」と突っ込まれるとは思うのですが、じゃあなんでドールを絡めてるかというと要は「登場人物のイメージ」という側面が大きいです。要は登場人物のイメージを的確に伝える手段がドールとい

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「ヒトノカタチ」STORY-5:休日

トーキョー方面へ向かうレイアの車、その中にはレイアの他にミイ、メイア、アルカネット、シャトの5人が乗っている。
「まあシンジュクに用事があるからそのついでだからな、高速代、燃料代は割り勘な」
「ええ、わかってますよ、ついでとはいえまさか乗せてもらえるだけでもありがたいです」
「リアル店舗行くなんて久しぶりだ〜楽しみ。シャトちゃんもそうでしょう?」
「う、うん…通販だけじゃ選ぶのも限界があるから…メ

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インターミッション(5)

*この世界での車事情
この世界では昔の技術ベースで作られているガソリンエンジンを積み、タイヤで動く車が一般的に使われている。
これは20〜21世紀の世界を再現するというだけでなく、化石燃料が豊富に採れるため、そのほうが効率がいいという事情もある。
また、他の星系では一般的に禁止されている事が多い「手動運転」もここでは一定の条件の元認められている。(行うには厳しい訓練を受けないといけないので、相当物

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「ヒトノカタチ」STORY-6:家族の形

---フジ学園高等部1年B組教室の昼休み
メイアが弁当箱を取り出して昼食の準備をしていると、隣の席のモエが近づいてくる

「ねえ、昼食一緒に取らない?」
「いいよー、たまにはいいよね」
そう言って2人が机を突き合わせる。お互いに弁当箱を開いて見せあいっこする。
「ふーん、人間の食事と変わらない気もするねえ」
「いや、母星の食材とかこういうところだとなかなか手に入りにくいし、人間の食べ物だけだとカロ

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