「ヒトノカタチ」STORY-5:休日

トーキョー方面へ向かうレイアの車、その中にはレイアの他にミイ、メイア、アルカネット、シャトの5人が乗っている。
「まあシンジュクに用事があるからそのついでだからな、高速代、燃料代は割り勘な」
「ええ、わかってますよ、ついでとはいえまさか乗せてもらえるだけでもありがたいです」
「リアル店舗行くなんて久しぶりだ〜楽しみ。シャトちゃんもそうでしょう?」
「う、うん…通販だけじゃ選ぶのも限界があるから…メイアちゃんもでしょう?」
「そうだねえ〜いろいろ選べるといいかなあ〜」
3人が談笑していると
「メイアちゃん、いつものまた作っておいたよ」
ミイが小さな箱を渡す。
「わー!ありがとう!」
「それって、ハウ族のソウルフード、ハフケーキっていうやつ?」
「そう、食べてみる?」
そう言ってアルカネットが1口つまむ
「…何コレ?非常食ブロックの甘いバージョンじゃん」
シャトもつまむ
「…私もそう思う…」
「えー、やっぱりみんな同じこと言うー」
ミイがもう1つ箱を渡す
「じゃ、地球人の皆さんはこっちをどうぞ」
2人がつまみ出す
「どれどれ、普通のクッキーっぽいけど…うん、美味しい」
「自分はやっぱりこっちの方だなー」
メイアもつまむが
「地球人用のおやつってこれはこれで好きなんだけど腹持ちがしないから物足りないのよね」
「その辺は種族の違いよね」
「まあ、そうなっちゃうけど…」
3人は談笑を続けている

ーーーシンジュク中心部の地下駐車場で
「じゃ、17時にここ集合な」
「はーい」
3人が地上に向かう、そしてレイアとミイが駐車場上の建物に向かう
「初めての古代ゲーフェス、楽しみだな〜」
「そうかい、楽しんでくれよ」
「まあドロイドが古代のゲームに興味示すなんてなんか変だけどな」
「えへへ、そうかなあ。大人型の子でもコミュニティに参加してるドロイドは結構いるよ」
「ほう、そうなんだ」
「多分いつも話してるメンバーと会えるかな〜」

古代のゲーム…ここの住民たちが地球を飛び出す前に様々な地球の要素を記録した”キューブ”の中には様々なゲームの記録も残されており、そこから再現されたものが配信されており、コアなファンに人気がある。中にはその当時のハードなどの実物を実際に再現する人もおり、そういったものが古代ゲーフェスなどで展示販売されることもある。

「あとMKデパートの屋上遊園地に前々から行きたかっただろう?古代のゲームの聖地だって言ってたけど」
「えっ!本当?行きたかったんだ!」
「ああ、ついでだからな」
「わーい、楽しみ〜」

ーーーメイアたち3人は
「2人とも随分買い込んだわねえ、絵の具も色ペンも」
「ええ、やっぱり実際に見れたほうが全然良かった」
「これで表現の幅が広がるから楽しみ〜で、アルちゃんは?」
「私は道具のメンテナンスメインだから、あまり買ってないわね」
「ふーん、ところで昼ごはんどうする?」
「ネットで話題になってたラーメン屋行こうよ」
「いいねー、こんな時でないとなかなか食べられないからね」
「ええ…ラーメン屋なんてちょっと恥ずかしいかも…」
「3人で行けばちょうどいいじゃん、恥ずかしがらずに行こうよ」
「ええ…」

レイアとミイがハンバーガーショップで食事をしている
「周りは大人型ばかりでコドモロイドは自分だけだったからちょっと恥ずかしかったかも…」
「まあ、いい意味で目立ってはいたよな」
「うーん、でもいつものメンバーと会えたから良かったよーコドモロイドだって初めて知って驚いた人もいたけど」
「そうか、良かったな」
「ところでこの新バーガー、悪くはないわね」
「そうかい、自分は案外好きだけど」
「そう、それでだけど約束通りMKデパートの屋上遊園地にこれから行くよね?」
「もちろんさ」
「わーい、早く行こうよ」

一方、メイア達は
「ラーメンとチャーハンの大盛り、餃子10個…」
メイアの頼んだ食事が着くと2人が驚愕する。
「うん!いつもはカロリーブロックだけど、たまにはいっぱい食べたいし」
そう言ってると店員が近づいてきて
「あのー、久々の緑髪の子なんで、SNSに上げていいかしら?」
「うん!いいよー」
「エリスちゃんも駆け出しのころよく同じようなメニュー頼んでたんで、緑髪の子が来るとちょっとハッとさせられるんですよね」
「えへへ、そう言ってくれると嬉しい」
そんな掛け合いをしてるとアルカネットが
「ていうかそれ狙ったでしょ?」
「うん!たまに同じような写真はアップされてたからね~」
3人が食事をしながら談笑する

食べ終わるとアルカネットが切り出す
「ところでこれからどうする?自分MKデパートの屋上遊園地行きたい」
「えーなんで?」
「いや、自分がほしいと思ってたクレーンゲームのぬいぐるみがあるって情報だから取りたいのよ」
「そんなのフリマアプリで十分じゃない?」
「いや、転売ヤーに払うのもしゃくだし、やっぱり自分で取ってこそだと思うから…」
「じゃあ、どうせなら行ってみようよ」

MKデパートの屋上にて
「あら!レイアさんたちもここに来てたんだ」
「ミイが来たいって言ってたからね、古代のゲームが沢山あるから」
「へえー、ドロイドの割にはそんな趣味もあるんだ」
「うん、案外楽しいからね、古代ゲーって」
「ふーん、変わってるね」

3人が目当てのぬいぐるみがある機械を取り囲んでいる
「あー、なかなかずれてくれない、もう少しなのにー」
「もう2000円近くつぎ込んでるけど、取れそうで取れないわねえ」
「あともう少し…少し」
一方ミイがテーブル筐体で華麗なプレイを見せていると
「おいおい、こんな子供が…ドロイドだよな?」
「おそらく古代ゲー配信サイトでやりこんでるよ、オーナーがよっぽど物好きだよな、普通そんなことするかよ…」
そんな声が聞こえくる中、レイアは
「(ったく、ドロイドでも楽しみがあればいいんだよ、余計なお世話だ)」
そんなこと思いながら外のフェンスを見てると、何か不審な動きをする子供を見かけた
「(…ん?なんか怪しいな、フェンスの前を行ったり来たりしてる)」
そう気になって見てるとフェンスをよじ登るすぶりを見せる。
「(あ、マズイかも!)」
ダッシュして子供のそばまで行く。すると子供が突然倒れてしまう
「!!!」

「良かったよドロイドで、RSCシャットダウンだったよ」
駆けつけた警備員に事情を話す。
「良かったです。とりまこの子の親を探さないといけませんね」
「シャットダウンが起きるということは恐らく虐待か、そんなことやられてると思う、あと改造してる可能性もあるね。改造が不完全だったからRSCが入り込む余地があった」
「分かりました。こんなところでの対応お疲れ様でした」
「ま、親によろしく言っておいてな」

対応が終わると歓喜が聞こえてくる。
「やったー!取れたよー」
「ねえねえ!ようやく取れたよ!」
レイアに飛びついてくる3人
「おう、良かった良かった」
一方、ミイがテーブル筐体の前で悔しがっている
「あー!もう少しでスコア記録更新だったのに!」
「でも実機でここまで来れたんだから良かったじゃないか」
「うー、また来れる?リベンジしたいわー」

「さて、みんなどうする?まだ時間はあるけど、ちょっと早いけど屋上のレストランで夕食にしないかい?」
「いいね!食べてみたいメニューあるんだ〜」
「いいわよ、早いけどちょうどいいかも」
「…行きましょう」

「…ステーキ最大、ご飯その他大盛りってこれだけの量、1人で食べるのかい…?」
メイアの前の食事量見てレイアが驚いたような顔をする。
「うん、たまにはね〜」
アルカネットも
「たまにはって…昼間もそんなこと言ってたよね?」
「これでちょうどいいぐらいだよ〜」
シャトも
「…この後に巨大パフェ食べるんでしょう?」
3人が驚く顔をしている中、ミイは1人冷静だった。
「まあこのぐらいは普通だよね。驚くほどじゃないよ」
「やっぱ子供でもドロイドなんだよな、こんな状況でもすました顔できるんだから」
「そ…そうね」
5人が食事をしつつ談笑が続いていた

帰りの車の中
「ほら、ラーメン屋のアカウントにメイアちゃん早速載ってる」
「本当だ、メイアちゃん恥ずかしくない?」
「大丈夫だよ〜結構写真撮られるのは慣れてるし、こんなことしょっちゅうだよ」
ミイも
「古代ゲーフェスのあの人も書いてるー『まさかドロイドとはいえこんな可愛い子ちゃんが来たー』ってじゃないわよ、こっちだって『まさか中の人がおっさんだったなんて〜イケメンだと思ってたよー』ってリプ返しておいたわ」
「で、みんないい買い物はできたかい?」
「うん!」
メイア、アルカネット、シャトの3人が声を揃える。
「そうか、良かったな。ミイもまた行きたいだろ」
「うん!いろいろ会えたし買えたし、良かったよ、また行きたい」
「じゃまた行こうな」
車の中ではにぎやかに話が続いていた。


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