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2019年、寒い春。
踵を潰した。
枯れてゆく花を数えて、
公園の砂場に落ちた寂しいスコップを見つめる。
そんな人生を送っているのが主人公の僕である。
泣き腫らした目と
赤い鼻、
下を向いたまま声を殺していた彼女を
思い出すたびに心がずきずきと痛む。
それでも尚、飄々としながら息をしていた。
なかなか かさぶたにならないこの傷は、
一生治らないんだろうなと、どこかで諦めがついていたのだ。
アイスを買いにコンビニへ出かけたはずが、
駅前の公園まで来ていた。
身体を売る少女達の目は絶望を、
楽器を背負ったバイト終わりの少年たちは希望を。
僕が考えて悩んで死にたくなる気持ちは、
誰にも伝わってない。それでいい、それがいいのだ。
公園のベンチに腰掛けた。
ギシギシと存在証明をするかのような音が心地よかった。
「明日は雪かなぁ。」
大きく空気を吸い込んで、
言葉を吐いた。
僕の言葉は誰の鼓膜も揺らさぬままに、
空へと吸い込まれていった。
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