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絡、

冷たい風が頬を掠る。

2018年、僕はまだ子どもだった。

世間は平成最後だと騒いでいたけれど、
僕はそれどころではなかったのだ。

側溝に溜まる腐った落ち葉と言葉、
アスファルトに染みを遺す涙。
どれもこれも邪魔で仕方がなかった。

鼻を赤くしながら恋人を待つ女の子、
急ぎ足で改札を通り抜けるサラリーマン、
鳩にパンをあげる浮浪者、
みんながみんな生きているだけだった。
それでも幸せそうで、楽しそうで、
憎しみが込み上げて、
いつのまにか凝り固まった思考だけが僕を支える。

______明日は全国で雷雨になるでしょう

そうニュースが吐き出した19時半、
東京の街は雨で濡れた。
ペトリコールに包まれている汚い街、
踵を返した。

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