銀座ホステス_momo

銀座高級クラブホステス歴10年。ちょっとだけ異世界のよもやま話。恋人はいりません。

銀座ホステス_momo

銀座高級クラブホステス歴10年。ちょっとだけ異世界のよもやま話。恋人はいりません。

最近の記事

刃物を持つ男

表参道、午後15時。 行き交う人のギラギラした空気を感じながら、目的もなく歩いていた。 この街はいつ訪れても爪先立っている。誰もが、その空気の一部であるかの様にふるまっていた。それを求めない人間には、ただの虚無に過ぎない。それでも、何かを感じたくて私は通りを歩いていた。 AppleStoreの前だったと思う。背後から声がした。男性から声をかけられた。彼の何かに引きがあった。面倒臭い気持ちもあったが、その人物の誘導されるまま、歩みを進めていた。 渡された名刺には、フランスの

    • 銀座ホステスの賞味期限

       銀座でTOP3に入る高級店を辞めて3年後に、私は銀座の街に戻ってきた。選んだのは中心部から外れたエリアにある、中堅クラスのお店だった。売上ホステスは数名で、ほとんどがお店(オーナーママ)のお客様だった。ノルマの無い状態で働きたかった私は、以前の半分の日給でヘルプからスタートした。  一流店と二流店の間には恐ろしいほどの差があった。そのお店は、緊張感が皆無で、間の抜けた時間が漂っていた。装飾品もハリボテで、見るからに安物が多かった。「アジアの安いパブみたいだな。」長い付き

      • 「美しい」世界

        初めて顔にメスを入れたのは20歳の時だった。数mmの小さなラインは人生を変えるには十分だった。 ”私には大層美しい顔を持つ姉がいた” 昭和世代の俳優顔で、彫刻の様な二重を持つ父親の遺伝子を引き継いでいた。 逆に母は昭和世代の平均的なのっぺり顔で、「こけし」の様な形相だった。父の遺伝子を引き継いだ姉・母の遺伝子を引き継いだ私。 いつ頃だったろうか、おそらく自我が芽生え始めた13歳の時に気が付いたんだと思う。 「私は醜いのだ」と。 家には大きな三面鏡があった。母が嫁入

        • 銀座ホステスがお勧めする銀座の肉活レストラン

          銀座には沢山の素敵なレストランがありますが、今回は「肉活」にターゲットを絞って、お勧めのお店をご紹介します。グルメなお客様がご紹介してくださった名店で(╹◡╹)お肉食べて元気になりたい、そんな時にぜひお出かけしてみて下さい。 1・BLT銀座まずは、通称「肉ビル」と呼ばれているロイヤルクリスタル銀座内に位置する「BLT銀座店」。アメリカ発のクラシカルなステーキが楽しめます。 “BLTステーキは、2004年に旗艦店となるNY店をオープンして以来、15店舗以上のBLTレストラン

        刃物を持つ男

          【心の備忘録#1】

          ぐるぐる渦巻いている感情整理用のnoteです。もやっとトークですみません。 自分と対話してみた、そして決断する最初に芽生えた気づきは”内観の重要さ”だった。”カタチ”があったからこそ、成立していた(させていた)関係の必要性を見直す時が来た。それは、私自身がジャッジする側であり、される側でもあった。だから中途半端な間柄の方とは、メールやLINEのひとアクションが発生しなかった。ことごとく明らかになったのは”本当に大事にしたいと思える存在”。明日死んでしまうとしたら、最後に会い

          【心の備忘録#1】

          孤独という美学

          銀座でホステスをしていると「男性」という生き物と関わる事が日常になり、ある程度の免疫と振り分けが習性になる。 いくつかのパターンが構成され、データ化される。美男だろうが・著名人だろうが・資産家だろうが「男性」というカテゴリから外れる事は決してなかった。 初夏に差し掛かる気持ちの良い5月に“彼”と出会った。銀座には接待で仕方がなくクライアントを伴って訪れたという。私よりも7個歳下だった。過去に10歳以上歳の離れた男性としかお付き合いして来なかった経験からか、この時限りだろう

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          最期の女

          半年ぶりに高級交際クラブの社長から電話が入った。 「急ぎの案件なんだ。助けてくれないか。」 彼にしては、珍しい温度だった。だからこそ、興味が沸いた。悪い血だ。 当日まで、何も知らされなかった。帝国ホテルのロビーで彼と待ち合わせた。そして、これからの事を聞いた。 「とある男性の最期の女になって欲しい」 上場企業の会長が最後に女性とSEXをしたいと望んでいる、年齢は70歳を超える男性とだという。70overの男性と身体の関係になった事はない。一晩100万円を提示されたが、

          ビタームーンの夜

          12月の年末が差し迫った寒い日だった。10年来の付き合いのあるA氏と会う約束をした。身体の関係があったのは、最初の一年だけだった。私に魅力が無かったのか、彼の警戒心が強かったのか。定期的にセックスを重ねる間柄には成らなかった。それでも、私は酔うと何故かA氏の声が聴きたくて、いつも電話しては「今度は~いつですか」とまくし立てていた。 A氏は大変頭の切れるヒトだった。顔は決して男前の類では無かったが、いつも冷静にあらゆる事を判断し、手のひらで全てコントロールする姿に美しさを禁じ

          ビタームーンの夜

          愛人の存在定義

          12月のとても寒い日だった。 I氏はママの上客だった。 週に一度は必ずお店に現れては、自分は飲まないワインをオーダーし1時間で帰っていくような人だった。 クラブMで初めて席に着いてから、約半年が過ぎていた。全く脈が無いと思っていたのに、急に同伴をしてくれる様になった。 不思議に思いつつも、紳士的なI氏の振る舞いに、銀座で働き始めた私は好意を持たざるをえなかった。高級なレストランやプレゼントの数々に、彼女でもない自分が受け取って良いものか躊躇し始めていた。10回同伴した

          愛人の存在定義

          秘密の花園

          私が彼を知ったのは小学生の時だった。テレビの中であの人は胴上げされていた。そんな存在だった。 銀座の中では、誰もが平等だ。有名人だろうが金持ちだろうが、美人だろうが不細工だろうが、そこに居さえすれば市民権を得る世界だった。 そんな混沌とした中で、私はFと出会った。6月初夏の気持ちの良い月曜日だった。同伴スタートで、既に酔いが回っていた。お店がピークを迎えた22時。奥の目立たぬ席に行くように黒服に言われた。たまたま東京遠征のタイミングで知り合いと銀座に出ていたというFが座っ

          有料
          10,000

          鎌倉の御曹司

          フェラーリを乗りながらコンビニでお弁当を買うような男性だった。臆面もなく大きなバーキンを持つ感覚を持つT氏と出会ったのは、銀座で働き始めて2年目の冬だった。ヘルプで着いたその席では既に高級なシャンパンが3本開いていた。周囲のホステスの高揚感と反比例して、彼はどこか疲れていた。まだ40代前半だったと思う。話を聞いていく内に、鎌倉エリアで大きな不動産を保有する御曹司だという事が分かった。 「今さぁ、元嫁の慰謝料請求が激しくて大変なんだよ。」 派手な人生を歩んできたらしい。違和

          銀座ホステスあるある?有名人との恋愛#1

          「今週の日曜日空いてる?」 入ったばかりのクラブMで、なぜかチーママに気に入られた私はプライベートの休日もお客様のお付き合いに駆り出される様になった。初めての銀座で勝手が分からない私は、ただオファーされる要求に答えていく事に必死だった。 「六本木ヒルズでコンパするから来てよ。」  唐突な誘いだったが、予定は無かったし、珍しく興味が湧いたので行ってみる事にした。当時の六本木ヒルズは他に類をみない高級タワーマンションで“ヒルズ族”という言葉がまだ“旬”だった。フロントの

          有料
          1,000

          銀座ホステスあるある?有名人との恋愛#1

          銀座ホステス流会話ネタの作り方

          毎日が初対面の繰り返しである銀座のクラブにおいて、会話力は最強ツールの一つです。ママクラスとなると、どんなネタでも拾い上げて展開・深堀りする能力をデフォルトで兼ね備えています。(会話の宝石箱と勝手に名付けています) では、どうすれば豊富な会話ネタの宝石箱を脳内に作り上げる事が出来るのか。momo流に考えてみました。 軽いネタはテレビ番組表から拾っておく”テレビ番組表”って凄いんですよ。時事ニュースから、エンタメ系まで最旬ワードのオンパレードなんです。番組要素を最短ワードで

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          夜のお仕事は副業に向いているか

          銀座ホステスmomoです。現在、銀座で働き始めて通算10年目に入ります。そのうち、昼間のお仕事と兼業で働いた期間もありました。そこで、水商売は昼職の人が始める副業として向いているのか?実体験のもと、考えてみました。 ◆-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-◆ ※この文章はクラブ・キャバクラ・スナック等で副業を考えている方に参考になればと書いております。 ◆-.-.-.-.-.-.-.-.-.-.-◆ まず、銀座で働き始めた時、私は東京に来たばかりで月給20万円ほど

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          もしも銀座ホステスがダイレクトレスポンスマーケティングを学んだら

          とってもアナログなビジネスモデルの銀座クラブ。とはいえ、最近はSNSを利用した露出で、お客様へのアプローチ力が格段に広がりました。上手に活用すれば、バイラル的な効果が得られます。“ダイレクトレスポンスマーケティング”を学んだ銀座ホステスはアナログな世界でこの手法を取り入れる事が出来たら?!momoなりに考察してみました。 ◆ダイレクトレスポンスマーケティングとは?ダイレクトレスポンスマーケティング(Direct Response Marketing)とは、広告やWebサイト

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          怪物の死

          10年前だった。銀座ホステスとして3店舗目のお店だった。クラブSは銀座でも5本の指に入るお店として有名だった。私の売上は決して大きくなかったがクラブSの社長に何故か気に入られ、入店した。お店は毎日満席で、あちこちで当たり前の様に高級なシャンパンやワインが空いていた。 「あれ、こんな子がいたんだ。」 とあるVIPの席についた。開口一番にそのVIPが私に向けて放った言葉だった。今時珍しい三揃いのスーツを纏った割腹の良い男性だった。その時は全く知らなかったのだが、クラブSで最も