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銀座ホステス流会話ネタの作り方

毎日が初対面の繰り返しである銀座のクラブにおいて、会話力は最強ツールの一つです。ママクラスとなると、どんなネタでも拾い上げて展開・深堀りする能力をデフォルトで兼ね備えています。(会話の宝石箱と勝手に名付けています)

では、どうすれば豊富な会話ネタの宝石箱を脳内に作り上げる事が出来るのか。momo流に考えてみました。

軽いネタはテレビ番組表から拾っておく

”テレビ番組表”って凄いんですよ。時事ニュースから、エンタメ系まで最旬ワードのオンパレードなんです。番組要素を最短ワードで語らないとならない為、無駄が無い。5分俯瞰するだけでも、広く浅くキーワードをインプットする事が可能です。momoの場合、いつも最低3ネタ拾っておき、その日の会話のとっかかりを用意しています。コツは、

①メジャーネタから一つ
②マイナーネタから一つ
③自分好みネタから一つ

をポイントにしています。銀座のお客様の場合、昼間さんざんビジネストークをして疲れている方も多いので、割とソフトな軽いネタが盛り上がったりします。

【よもやま話#1】
同僚でとっても話上手なホステスがいました。顔もハーフで申し分なく、売れっ子に違いないと初めて会ったとき即座に思いました。しかし、事実は真逆でした。 
「ごめんけど、あの子外してくれる?」
「なんなんだ、この子」
「う~ん、○○ちゃんはいいや」
 と、こんな言葉を耳打ちされる事が重なり、不思議でたまりませんでした。そして、分かったコト。そう、彼女は話が上手すぎたんです。隅から隅まで会話を仕切ってしまっていたんです。男性がリードすべきポイントを見事にかっさらっていました。ママクラスは、この会話の抜き処を理解した上で、お客様に心地よく”会話の主導権”を握らせていました。この一件以来、いつも出しゃばり過ぎていないか注意してお席に臨んでいます。

ネタのストックはツイッターを利用しよう

ツィッターを自分のネタ帳として、ストックしていくやり方です。Evernoteや他のメモアプリよりも、フォロワーさんの反応が見れるので、会話の訓練にもなります。140字にまとめるプロセスも編集力磨きになるので一石二鳥です。

これには意外な副産物があります。それは、SMS力が上がるということ。momoのお客様で、60代・70代の殿方はLINEやメールを使用しません。つまり、ショートメッセージ1本です。しかも皆様大企業のお偉いさんなので、いかに短文で心を響かせる文章が書けるかがポイントになって来ます。そして、絵文字やスタンプも使えないので言葉の質が問われます。たった1メール作成するのに、1時間悩んだ事もあります。平安時代の恋文的な感覚ですね。

【よもやま話#2】
他愛もない話をしていた時、ふと出たお客様の言葉。
「人間万事塞翁が馬ってどんな意味か知ってるか?」
目をぱちくりさせながら沈黙タイムに入ってしまったmomoに、その方は「銀座ホステスだったら当たり前に知ってるよなぁ~」とオレオレな雰囲気で迫って来ます。恥ずかしながら全く知識を持ち合わせておりませんでした。ただし長年の肌感覚で出てきた言葉。↓↓↓
「結局、人間何がどうなるか分からないってことですよね?!」
酔いも手伝って、かなり強気な口調で答えたところ、
「ん~、まぁそんなとこかな。」
今思い返しても、汗が出る瞬間でした。それ以降、諺や四文字熟語を改めて学ぶようにしています。こんな感じで忘れた頃に、不意打ちのジャブがやって来る世界です。
しかし、その後に見事に意味を解説下さった殿方に惚れ惚れしました。もう一生この言葉を忘れる事は無いでしょう。

日経新聞が生きるネタになる意外な一面

「銀座ホステスは新聞読んでて当たり前」なコトは言われなくなりましたが、軽く目を通します。しかし、難解なビジネス用語のオンパレードな記事の数々、決してワクワクはしませんよね。それで良いと思います。前述の通り、テレビ欄でその日のネタを拾い、文化教養面やスポーツ紙面に目を通します。最後に最終紙面の小説欄で締めます。

実は、最後に目を通す小説欄がキーマンになる事もあります。それは、ちょうど2018年の日本経済新聞で林真理子先生が「愉楽にて」という小説を連載していた時期でした。主人公の男性がまさに銀座に飲みにいらっしゃるようなイメージの殿方で、見事にはまってしまいました。

連載期間の途中で、チーママ席でヘルプに着いていた時に「愉楽にて」の話が出て来ました。


「〇〇さん(チーママの名前)、日経読んでる?今ね、”愉楽にて”、って小説が連載されてるんだけど、本当に面白くてね」


話をふられたチーママでしたが、「ごめんなさい、今は読んでないのよ」とバツが悪そうに答えました。
本来であれば、出しゃばらないのですが、そのお客様は「愉楽にて」の話がとてもしたいはずだ!と直感でキャッチ。momoも毎日読んでいながら、誰とも感想を共感出来ない・もどかしさを持っていたからです。


「林真理子さんの、ですよね。殿方の内面って本当にあんな事を考えてるんですか?」


そう切り出すと、お客様は嬉しそうにお気に入りのシーンについて語り出しました。

「今日の一説も最高でしたね、中級の女には中級のホテルと中級のワイン、ってリアル過ぎて。男性のお金の使い方は正直ですね。」

「いやぁ、やはり銀座の女性は日経新聞を読んでるんだねぇ。そうかぁ。」

その後、このお客様とは「愉楽にて」を通して仲を深める事が出来ました。日経新聞を読んでて良かったと初めて思った瞬間でした。

補足

皆さま既にやってる事と思いますが、momoが意識しているのはネタの収集方法&インストール方法はこちら。
・常にアンテナを張る
・他人と異なる視点を持つ
・ネタをストックする
・加工する(自分の意見をからめる)
・トライ&エラー

初対面で沈黙になり気まずい思いをした経験は数億回ありますが、ネタをあらかじめ仕込んでいれば99%挽回出来ます。大事なのは、自分からトライする精神。日々学びですね!!

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