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秘密の花園
私が彼を知ったのは小学生の時だった。テレビの中であの人は胴上げされていた。そんな存在だった。
銀座の中では、誰もが平等だ。有名人だろうが金持ちだろうが、美人だろうが不細工だろうが、そこに居さえすれば市民権を得る世界だった。
そんな混沌とした中で、私はFと出会った。6月初夏の気持ちの良い月曜日だった。同伴スタートで、既に酔いが回っていた。お店がピークを迎えた22時。奥の目立たぬ席に行くように黒服に言われた。たまたま東京遠征のタイミングで知り合いと銀座に出ていたというFが座っていた。テレビで観るよりも、くしゃっとした笑顔が親しみやすく見えた。酔いが手伝って、私は彼の携帯番号を聞き出していた。0時過ぎにFは店を出て行った。
「終わったら電話して」
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