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俳句ときどき短歌のおつまみ鑑賞文

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光ってみたり終わってみたり生活は降るようにあるめざましが鳴る(初谷むい)

光ってみたり終わってみたり生活は降るようにあるめざましが鳴る(初谷むい)

時間は一瞬一瞬の積みかさねで、それは頭では分かっているのだけれど、気を抜くと忘れてしまう時がある。
例えば、家についてYouTubeを適当に流して、なんにも考えないで歯磨きをするとき。布団にぽすっと潜り、のそのそと窓の方へ転がって少しでも夜風にあたろうとしながら、気がついたら眠ってしまっているとき(たいてい布団は蹴飛ばしている)。

光ってみたり終わってみたり生活は降るようにあるめざましが鳴る(初

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桜また来るから桜忘れていい(佐藤文香)

桜また来るから桜忘れていい(佐藤文香)

何もかもが無になるとき、唐突に側からみたらなんでもない瞬間に涙があふれ出すとき、意味もなく眠れない夜に、思い出す人や出来事がある。
あまりに衝撃的な景色を目の前に、こころにずっと刻みつけておきたいと思う。
そんな景色がある。

例えば、体を縮こませる寒さの中、信じられないスピードで圧倒的な明るさで沈んでいく夕日とか。
例えば、さりげなく投げかけられたように見せかけられて考え抜かれた一言をもらった時

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