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k-popの起源とこれから

 突然ですが、私は今k-popに猛烈にハマっています。
みなさんはk-popと聞いて何を思い浮かべるでしょうか?
おそらく容姿端麗、歌もダンスもすごいスーパーアイドルを思い浮かべるのではないでしょうか。
その認識は間違っておりません。
k-popに詳しくない人でもtwiceblack pinkbtsといったグループ名は聞いたことがあるでしょう。
今、k-popの市場を席巻しているのは間違いなく、わたしたちの想像するあのアイドルです。
そしてこれらのアイドルたちは米国ビルボードで上位にランキングされるほど、国際的にも存在感を示しています。
(残念ながら、現在日本のアーティストでグローバルで高い評価を得ている人は少ない。)

日本と韓国の音楽市場は反比例に近い関係




私もそのスーパーアイドルの魅了され、オタクになった一人です。
でも、詳しく無い方から見れば、なんとなくみんな同じようにも見えますよね。
正直、オタクの私でもそう感じています。(もちろんきちんと見れば全然違いますが。)
それらは何故だろうか。

つまり、1つ目の疑問は今のk-popなぜすごいのか。経済性
2つ目の疑問は、なぜみんな同じように見えるのか。同質性)
そういった疑問を出発点として、k-popについて少し調べてみました。


結論から言うと、二つのキーワードがあります。
1つ目は、メディアの進化。
2つ目は、グローバリゼーション。
この二つの大きな要因と複雑に絡まり合いながら、今のk-popに進化していきます。

まず、今のk-popを時間軸的に分類します。
第一世代、第二世代、第三世代、そして現在の第四世代です。
先ほどのキーワードを踏まえながら、世代ごとに見ていきましょう。

第一世代 〜k-popの起源〜

2000年〜2006年

アイドル型のkpopの起源は、日本でも有名なBoAからだと言えると思います。(s.e.sも説明したいのですが、今回はBoAだけにさせてください。)
BoAといえばメリクリid:peace Bでも知っている方も多いでしょうが、厳しい練習生期間を積んでデビューする、容姿端麗、歌って踊れる現在のk-popアイドルの原型になりました。
では、BoAはどのようにして誕生したのでしょうか。
少し時代を遡り1950年台、韓国の音楽市場は歌謡曲がメジャーでした。

メリクリのジャケット


大韓帝国としての名残で、曲を作り発表するには、委員会の審議を通さなければならない、音盤事前審議制という制度があり、表現の自由がなかった時代でした。
さらに、国際情勢は冷戦下にありましたから、当時最先端だったアメリカや日本の文化は密輸の形、つまり公式的に認められないで韓国に伝わっていました。
ですが、もちろん若者を中心として、ハイカラなアメリカのブラックミュージック(マイケルジャクソンやマドンナ)や日本型のアイドル(光GENJI、松田聖子)などは受け入れられ、冷戦の終結とともにグローバリゼーションが進み、その圧力もあって、音盤事前審議制は96年に廃止されました。
さらに音盤からテレビの大衆化も相まって、音楽は聴くものから見るものに進化していきます。(当時はアイドルではなく、ビデオ型歌手と呼ばれていました。)


マイケルジャクソンや光GENJIのような視覚的にも楽しめる音楽が公式に韓国でも広まり、アメリカのブラックミュージックやプロフェッショナルなアイドルのDNAと日本と可愛らしいアイドルのDNAが混ざり合い、韓国の解釈がなされ、誕生したのが、容姿端麗で歌って踊れる、BoA、つまりk-popアイドルなのです。

ここで注目しておきたいのが、いわゆる3大事務所の誕生です。
SM・JYP・YGの3大芸能事務所が誕生し、アイドルはマネジメントされることになります。
後ほど話しますが、このことはk-pop産業を理解する上で非常に重要になってきます
ちなみにBoAはSM所属で、日本のavexと共同で日本デビューを果たしています。

三大事務所 ロゴ


第一世代まとめ

・音盤からテレビ
・日米から強く影響を受けて BoA(現在のk-popの原型)誕生
・3大芸能事務所の誕生 SM・JYP・YG

この3点を踏まえて、第二世代へ進んでいきます。

第二世代 〜開拓者〜

2007年〜2013年

第二世代は簡単にいえば、音盤の時代から、インターネットからダウンロードする時代になったといえます。

今の若い人たちは知らないかもしれませんが、2000年代前半に音楽をMP3形式でダウンロードする形式が音楽産業を大きく変えました。
そして、AppleがiTunes、iPodをリリースし、音盤からデジタル音源に一気に変えていきました。
つまり、アナログからデジタルの時代になり、空間的な規制やレーベルなどの規制が緩くなり、個人でも自由に音楽を作りやすい時代になりました。

そういった時代背景の中で出てきたのが、少女時代(SM)、KARA(DSP)、missA(JYP)、東方神起(SM)、BIGBANG(YG)などです。
私たちもよく知っているアイドルグループたちは主にこの第二世代以降になります。
これは、まさしく音楽産業の市場がデジタル空間に移行し、芸能事務所のマーケティングが一気にグローバルに加速した結果です。

日本でも話題になったK-popの伝説 少女時代

また、この頃から特に顕著に見られるのが、アメリカ型のブラックミュージカル、ヒップホップを迎合していることです。
理由はいくつかありそうですが、冷戦の終結とデジタル化によって一気にアメリカの文化が輸入されてきたこと。
韓国がIT大国を目指していたこと。
個人的には、ブラックミュージックの人種差別や抑圧から解放されるための表現として生まれてきた文化であることと、長らく抑圧されてきた歴史を持つ韓国の民族性が、ものすごく相性が良かったことも関係していると思います。
ですから、この第二世代からは、アップテンポ、ヒップホップ要素の強い音楽が多くなります。
メディアのデジタル化に対応して、k-popアイドルも大きく変化してきました。
多くはグループを作り、一糸乱れぬ群舞を踊るスーパースター集団として、グローバル市場で存在感を示し出したのもこの頃です。

高校生の時に死ぬほど聞いたBIGBANG


また、事務所の存在が非常に大きくなったのもこの時代です。
日本のジャニーズのような練習生の文化を作り出し、事務所が生活から教育全部面倒を見るような、今のk-popのデビューまでのフレームができました。
しかし、市場が急激に大きくなり、韓国のエンタメ業界は権利や倫理ような思想、法整備が追いついてませんでした。
確かに事務所の力で、国際的に売り込むことができたのは間違い無いのですが。
有名な事件として、SMエンタの「奴隷契約」と呼ばれるものがあります。
これは、東方神起とSMの契約が13年という異例の長さで結ばれていたことや、契約満了後のアーティストの曲の権利の所在など、契約内容に対して、東方神起のメンバーがSMに訴訟を起こした事件です。
当時の芸能界の問題を凝縮したようなものでした。
つまり、事務所側が資本と権力を持ち、アイドルをある種、消費財のように扱うことになります。
言い換えれば、アイドルと事務所のパワーバランスの偏りが大きくなってきたとも言えます。

この問題は、また後ほど話しますが、やはり今でもこの色濃く残っています。
ですが、何はともあれ、アメリカと日本の遺伝子を韓国の土壌で解釈しながら、k-popが国際的に存在感を示した最初の時代でした。

第二世代まとめ

・音源のデジタル化 
・アメリカ的音楽性への変化
・事務所の巨大化

上記の流れを汲み、ついにK-popの真髄である
第3世代へ。

第3世代〜支配者〜

2014年〜2018年

この世代は、現在も世界トップクラスの活躍をしているアイドルが誕生したいわばk-popのルネサンスです。
・red velvet(SM)
・twice(JYP)
・black pink(YG)
・BTS(HYBE)

など、第3世代ファンの方も多いのではないでしょうか。
この世代の特徴はとにかくグローバルに活躍しているということで、ビルボードでランキング上位をしめる程の世界的人気のアイドルグループです
そして、BTSの登場により三大事務所からHYBEを含めた四大事務所と呼ばれるようになります。

ビルボードにランキングしたk-popアーティスト BTSの1位は世界に衝撃を与えた

メディアイノベーション
 では、彼女たちはどのようにして誕生したのでしょうか。
答えはSNS、スマートフォン、4G回線です。
特にYouTubeの登場は音楽産業の構造を丸ごとひっくり返します。
メディアの完全な世代交代です。
音楽は買うものではなくなり、テレビで見ることもなくなり、スマホでタダで見て、聴くものになり、アイドルはこれまで以上に広告産業としての色を帯びることになります。
そして第一世代から洗練され続けた、歌って踊れる容姿端麗なk-popアイドルたちが一気に無料で世界中の人たちの前に現れることになり、爆発的人気を得て、k-popというジャンルが確立し、 Apple Musicにもk-popというカテゴリができました。
もう一つ重要なのが、事務所がはじめからグローバル市場をターゲットにしはじめたことです。
構成メンバーの外国人比率が高くなり、英語を話せるメンバーが1人は所属していることが多くなります。
このことがきっかけで、k-popの音楽性はアメリカナイズされた音楽に方向付けられることになります。

k-popアイドル産業の変化 SNSの普及に伴い、テレビ離れが進み、アルバムなどのCDをオタクである私たちに売るビジネスモデルへシフト 18年はBTSの影響で跳ね上がっているが、基本的に物理音源は萎んでいる(つまりファンダムの育成)

ファンダムカルチャーの確立
 音楽やダンスと同じくらい盛り上がったのが、練習生のオーディションやアイドル達の日常をYouTubeにコンテンツ化してアップロードすることです。
いわば、アイドルの裏側をお手軽に知ることができるようになったのです。
今では、オーディション番組やvlog、ビハインドは親しみ深いコンテンツですが、当時はアイドルの新たな一面が見られるコンテンツとしてk-pop人気に拍車をかけました。
気楽に、コンテンツを発信できるようになり(ライブ配信等)、アイドルとの距離感が近くなり、ファンダムと呼ばれるk-popファンの中のネットワークが生まれてきたこともこの時代です。(いわゆる推し)
ファンダムのおかげで、いろんな言語でコンテンツを見ることができたり、名言や名シーンの切り抜きがYouTubeで自由に見られるようになり(ファン同士の仲も良いことが多い)、k-popカルチャーの重要なアイデンティティになっています。

同質化の始まり
 YouTubeの登場によりさまざまなコンテンツを作ることができるようになったということは、マネジメント側の責任と権力が大きくなることも意味します。
炎上やトラブルは事務所の責任になるので、当然といえば当然なのですが。
さらに、よくも悪くもファンダムのネットワークは濃密ですので(失言やスキャンダルなどは本当に一瞬でSNSに広がる)、アイドルは事務所からもファンからも監視され、倫理や社会的模範を求められるようになりました。
この頃から特にk-popアイドルの自殺や鬱の問題が浮き彫りにもなってきました。
第三世代の世界的成功は、事務所の資本と権力を強め、アイドルの世界観や曲、パフォーマンスまで全て事務所が作りだす、偏った関係性を生み出すことになったので、アイドルの消費財としての性格がより強まりました。
アイドル自体の色というよりも、事務所の色としてカテゴライズされる傾向もこの頃から強まりました。(SMっぽいとか、JYPっぽいとか)
つまり、同じ所属の事務所は似たようなアイドルが増えてきたということです。

第三世代まとめ

・YouTubeによる音楽産業の大革命→世界でもトップの評価得る
・音楽性がアメリカナイズされていく
・ファンダムカルチャーの成熟
・事務所の肥大化

国際市場でk-popというジャンル、カルチャーを確立させた、激動の時代から、現在の第四世代へとバトンをつなぎます。

世界を獲り、HYBEを四大事務所にのし上げたBTS(HYBE)
ガールズグループのトップ 神様 BLACKPINK(YG)
日本でもにじみ深い アジアの覇者 TWICE(JYP)
今でも新記録を叩き出すモンスターグループ RED VELVET


第四世代〜戦国時代〜

2019年〜現在

 第四世代はつい最近出てきたばかりで、知らない方も多いのでは無いでしょうか。
itzy、aespa、ive、lesserafim、stayc、kepler、nct、txt、treasureなどが今は人気だが彼ら彼女ら第四世代はどのようにしてデビューしてきたのだろうか。

ガールズクラッシュの時代を作った ITZY(JYP)
メタバースを用いたストーリーのあるコンセプトと実力を兼ね備え、第四世代の覇者になったAESPA(SM) 私の推し
4大事務所ではないが、ハイコンセプトで大躍進のIVE(STAR SHIP)
今ボーイズグループで一番熱いNCT(SM)
ボーイズグループ第四世代の覇者 次期BTSか? ENHYPEN(HYBE)


tiktokの時代
 これも第三世代からの経緯を汲むと見えてきます。
この世代のメディアはtiktokやYouTube shortなど非常にテンポの良いものをが登場してきた時代です。
依然として、メインメディアはYouTubeですが、これらのメディアはk-pop音楽にわかりやすく派手でキャッチーなパフォーマンスと楽曲を要求しました。
ポイントダンスなんて言われることもありますね。
このカルチャーは、tiktokのメインユーザのティーンに受け入れられて、k-popを使った動画はとんでもなく多いです。


音楽産業はストリーミング・サブスクリプションがメインになった

群雄割拠
 第四世代の特徴としては、1つに「強さ、自立、解放、自立」などアメリカウケを狙っている、一見リベラルな価値観を多くのグループが持っています。
正確には、第三世代のアメリカでの成功を受け、事務所としては、(特に四大事務所)そうせざるを得ない面があったのでしょうけど。
2つめに、他の世代と比べても、映像、ダンスのクオリティがとんでもなく高いということ。
これはk-popが見る音楽として進化してきた結果です。
最後に、他の世代に比べて大型資本が投入された、つまり、スーパールーキーが圧倒的に多いということ。
まだ二、三年しか経っていないが、デビュー曲で再生回数が億越え、あるいリリース当日に何千万回越えといったアイドルが毎月のように出てきています。
ですから第四世代は本当に雑食の方が多く、ファンダムをいくつも掛け持ちする人も少なくありません。私もその一人です。

価値観の喪失
 第四世代の群雄割拠ぶりは、一見k-popの豊かさを表しているように見えるのですが、その多くがアメリカ型のアイドル(根底に進歩主義的価値観を備えている)、作品で、それらがk-pop上位を占める割合が高まってきたということでもあります。
先ほどリベラルという話をしましたが、第三世代から引き継いでいるアメリカナイズされた価値観、メディアから要求される音楽性とグローバルで成功し肥大化した事務所とが、複雑に絡み合って、クオリティがものすごい高いけど似たようなグループ群というのが第四世代では目立っています。
もちろん、全然違うと言えば全然違うのですが、それはあくまでも事務所のカラーの違いが大きく、さらに言えば、事務所がアメリカを見据えた、進歩主義的な価値観をもとに作るようになりました。
つまり、進歩主義的なメッセージ(アメリカウケを狙ったもの)の入れ物(グループ)が違うだけになってきています。
服装が違う、進歩主義者とも言える。
強気な歌詞、キレキレのダンス、常識離れしたルックス等、より憧れの存在としての性格を帯びることになりました。
k-popが似たように見えるのはこのせいです。
アメリカで皮肉をこめて、ファクトリー・ミュージックなんて言われることもありました。(アメリカで売れたからこうなったのに、本当に皮肉ですよね笑)


k-popアイドルの起源は日米の文化を、韓国的価値観、土壌で解釈をすることでしたが、第二、第三世代で日本的な音楽性はフェードアウトしていきました。(練習生制度などはジャニーズjr的な構造です。)
そして、第四世代の音楽性は韓国的解釈から離れ、アメリカに依存するようになりました。
(何度も言いますが、何千万回越え、何億回越えするほど作品のクオリティは高い。歌もラップもダンスもj-popアイドルではなかなか見られないクオリティです。)
ですから、第四世代の差別化戦略、アイデンティは、MVを含めた映像とファンダムの絆のようなものになっていると言えます。

資本主義とグローバリゼーション
実はここまで長々と書いてきたk-popの一連は、最初に書いたグローバリゼーションの進行とメディアの進化、言い換えれば事務所の肥大化、つまり資本主義化に集約されます。

どういうことか。
資本主義とは、簡単に言えば、資本家が利益を得るために、商品、経済、流通をどんどん効率化していき、次第に資本が自ら増殖し、膨らむようにしていこうということです。(マルクス的解釈)
グローバリゼーションは、簡単に言えば経済や文化が世界規模に広がっていくことです。

つまり、SNSによって、資本家である事務所や株主、ステークホルダーが、価値観を現在の国際基準であるアメリカに合わせた方が儲かるような圧力を生み出され、ある種k-popの音楽的多様性の幅を狭めてしまったということです。

都市化=合理化
このメカニズムはk-popに関わらず、あらゆる先進国、都市で文化的、思想的多様性を単一のものにしようとする圧力として働いています。
私たちの世の中は今、効率化、合理化というメカニズムによって便利になる一方で、個別具体性を希薄化していくことになっています。
管理しやすいように統治、統一を目指します。
個別具体を考えることは非効率で、資本はそれを嫌いますから。
都会で生きる私たちのある種の生きにくさはこの画一的な管理によるところが大きいでしょう。
巷でよく多様性や、個性、アイデンティティといった言葉を目にしますが、実際の社会はその逆を進んでいるといえるでしょう。
もちろんこれが、良いことなのか、悪いことなのかは全くわかりませし、私の言いたいことではありません。
便利で恩恵を受けられることもとても多いですから。
ですが、このメカニズムを論理的に考えると、多様性という観点からいえば痩せていくことは間違いありません。

2018年までの4大事務所の売り上げ・純利益

多様性の衰退
特にk-popのような、音楽、文化を扱うにあたっては、このメカニズムは今までにない課題を要求してきます。
それが第四世代の根底には進歩主義的価値観が根付いており、同質的な超スーパールーキーの大量出現といった形で表出しました。
明らかに過酷すぎるこの世代は、元々短命と言われるアイドルの寿命をさらに縮めかねないです。
しかも、最強第3世代グループはまだまだアクティブ。
(実際、正直なところ、現時点でBLACKPINKやTWICE、BTSやBIGBANGを越えられるようなグループは第四世代にいないように見えます。先行有利もあります。)
例えるなら、ライオンとキリンから生まれたキメラが、メディアという環境の変化に対応して、どんどん変化し、いつの間にかライオンばかりいるサバンナといったところでしょうか。
それはそれで洗練されるでしょうし、実際映像や世界観、コンセプト、つまり音楽の意匠はとんでもなく発展しています。
これまでの世代では見たこともないようなとんでもないグループが出てくる可能性も高いです。
ですが、アイドルは人間ですので、できれば長く、自由に活動できるニッチがあってもいいのではないかというのが個人的な思いです。

k-popの今後
これまでkpop産業は、メディアの変化と共にありました。
ですから、次の大きなメディア変革でどう対応していくかが重要だと思います。
アナログからデジタルへ。
聴覚から視覚へ。
そしてデジタル空間で視聴覚両方へ。
そしておそらく次はメタバースではないでしょうか。
ゲームデザイナーなどが参入してくるかもしれません。
ですが、進歩主義一辺倒では、メタバースになろうが、曲や映像がどれだけ技術的に進化して、一見すごいように見えても、本質的には同質性が高いもの、つまり音楽的多様性の減退につながっていきます。
(もし、メタバースが新たなメディアだとしても、負けるな!頑張れ!自由だ!自分らしく!ってどこにいって歌っているのは少し疲れません?笑)
では、どうするか。
k-popのアイデンティティの創出のヒントは、四大事務所ではないグループの存在です。
大手がグローバルのグローバルのメインストリームから抜け出せない構造になってくると、実は小回りのきく身軽な中小事務所のグループが結構有利です。
利害関係、ルールにがんじがらめにされて、チャレンジできなくなりがちです。
たしかに、大手に勝つのは難しいですが、ニッチを獲得しやすいです。ユニークなコンテンツを作りやすいし、ファンとの交流もしやすいので、ファンダムネットワークを強化しやすいですし、最も熾烈な競争から少し距離を置いたところにもポジションを持っていられることはとても大切です。
大手もこれを見習って、アイドルを自走させるような流れを作っていく必要があるのではないでしょうか。
これまでは成功するのも失敗するのも全て事務所の責任でしたから、アイドル側にも責任と裁量権を持たせるのです。まさしく中小事務所のように。

中小事務所のスター  STAYC
放送禁止用語の飛び交う 作詞作曲まで自分達で行う (G)I-DLE

契約や練習生時代の教育を、アイドルが自走できるような形に変えていく。ファンダムの趣味嗜好も事務所が作っていますから、やはり少しずつ異なる価値観に基づいた作品を(マネタイズするまでに時間はかかるでしょうが)発表し、k-popファンダムの中にある価値観の多様性を復活させていくことも考えないといけないでしょう。日常的な感性を歌ったり、哀愁溢れるバラードや、情熱的に愛を歌うことなども、アイドルがやってはいけないということはないでしょう。市場が短期的にそれを求めているかどうかに関わらず、長期的にk-popが健康に持続するためには事務所は、舵を切っていく必要があると思います。

第四世代まとめ

・資本主義とグローバリゼーションのメカニズムによって、価値観的多様性の痩せ細りが起きている。
・短期的にマネタイズできないとしても、音楽の多様な在り方を肯定するために大手は挑戦していかなければならない。
・中小事務所は、小回りが効くから手本になる
・メタバースは注目

最後に

k-popの起源をメディアの進化と対応した形でかなり駆け足で書いてみました。
最初の問いである、経済的成功の裏にあったのも、似たようなものになってしまっているのも、資本主義とグローバル化のメカニズムが背景にあるというのが私の結論です。
もちろん、この記事は抽象的なレベルで止まっており、それこそ個別具体性を無視した本当に雑なk-pop歴史に過ぎません。
具体的な数字やアーティストや曲については触れることができませんでした。
私自身、実は第四世代のアイドルが一番好きなので、(だからこそこの今の超激戦化した第四世代が心配です。)細かいことも語りたいのですが、それはまたの機会に。(MYです。)
また、アイドルではないですが、IUやPSYはk-popを語る上では必須ですが、今回は省かせていただきました。
PSYやIUは、実は韓国独自の""という価値観をうまく現代の音楽に取り入れて大成功した、歌手なので第四世代以降の大きなヒントになりそうですがそれを語るとさらに長くなるので、断念しました。

恨は、朝鮮文化においての思考様式の一つで、感情的なしこりや、痛恨、悲哀、無常観をさす朝鮮語の概念。歴史学者の古田博司は朝鮮文化における恨を「伝統規範からみて責任を他者に押し付けられない状況のもとで、階層型秩序で下位に置かれた不満の累積とその解消願望」と説明している。 ウィキペディア

Wikipediaより
国民の妹と呼ばれるIU
YouTube再生回数 44億回の化け物 PSY


もっと言えば韓国音楽は、歌謡曲の文化から始まって今もアイドル以外は恨的な感性を大切にしたバラードを多く歌っていますし、名曲も多いです。
(アイドルもアルバムのB面で1曲はバラードが入っている。少女時代のテヨンなんてk-popバラードの女神ですしね。)
だから、全然きちんとk-popをカバーできたわけではないのですが、それでもk-popアイドルに関して言えば、大まかな流れは書いたと思います。

これからもk-popを、そして推しを、末長く応援し、楽しめるように私たちファンダム側も盛り上げていきながらも、問題を多く抱えていることもまた事実ですから、たまにこうして、メタ認知っぽいこと考えてみたりしてみてはいかがでしょうか?






























































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