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ヒトゴトじゃない。

病院帰りについ買った「今日から第二の患者さん」。患者のパートナーから見たがん闘病記である。

私もツレも、まだがんになったことはない。でも去年、私が躁&鬱と闘っているとき、常にツレに迷惑をかけている意識があった。実際大変だったと思う。はじめに言っておくと、ツレの対応は大変素晴らしかったし、特に文句とかはない。ただ、このまま頼り続けて大丈夫なのか、心配をかけ続けて大丈夫なのか、いつも不安がある。また、私自身もうつ患者のパートナーという立場になった経験があるが、その時は誰にも相談できなかったし、あの時どうしたら良かったのだろうという疑問がずっと残っている。病人のパートナーは大変なのだ。もちろん違う病気だし、正解なんてないのはわかっているけれど、少しでも今後を楽にするヒントがあればと思って手に取った。

結論から言うと、読んで良かったし非常に普遍的な内容だった。
「善かれと思って」のアドバイス、サプリのおすすめ、食事内容へのダメ出し。そして、実際には素人が3分で考えた治療方針のアドバイスなんか大体的外れっていう。超あるある!!
そして、大丈夫しか言えなくて、、のところは、本当に、もう、自分のときを思い出して涙が出た。言えないんだよね....。ツレにのみならず、誰にでも。NHKの発達障害特集を見たときも思ったけど、適切に言語化できるのはごく一部の言語能力が高いエリートなのですよ。しんどいときリアルタイムに自分のつらさをしっかりアピールできる患者なんてほとんどいないと思う。

私の躁+鬱(双極性Ⅱ型)+発達障害は一生の付き合いになる病気だ。つまり、ツレは私と一緒にいる限り、一生第二の患者さんをやらなければならない。
季節の変わり目にはすぐ死にたがり、朝晩の薬が必要で、目を離すとご飯を抜き、水を飲み忘れる人間と一緒にいるのは大変だろう。ただ、私の生活力がもともと低いので、我が家ではすでにご飯を食べただけでお互い褒めあう文化が完成している。主人公のお二人は、この小さな努力の認めあいも苦労したポイントだったようで、その紆余曲折を読んで、私が発達障害で良かったのかもしれないとも思ってしまった。生活に当たり前なんか、ない!(ドヤるところではないかもしれない....)
ちょっとお互いに甘すぎるのかなあと思うときもあるけど、この方向性でいいのか、と少し勇気をもらった。

この本は多分、患者本人や第二の患者さんだけではなく、その身内や友人や、その予備軍が読むべき本なのではないだろうか。つまり、誰かと何らかの関わりを持つ人全員だ。たまに「友達や親戚が鬱になったけどどうしたらいいんだろう....」と相談されることがあるが、今後は黙ってこれを差し出そうと思った。そしてこれまでクソアドバイスを投げつけてしまった皆様、本当にすみませんでした。そう、自分もやっちゃうんだよね....。されるとうわーーってなるのに。そこらへんもさらっと書いてあり、非常に誠実で良かった。

ツレは多分いま、あまり私のことを愚痴れる相手がいない。下手な相手に相談したらどうなるか知っているからだと思う。
育てにくい子供を怒鳴り続けた私の親も、何らかの支援があればモラハラクソ野郎にメタモルフォーゼすることはなかったか、あったとしてももう少しましだったのではないかと思うこともある。
この漫画が大ヒットして、病人や障害者の家族へのサポートが大切だっていうことが常識になり、ツレが必要なときに適切なサポートを受けられる世の中が来ることを心から願う。

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