映画「白鍵と黒鍵の間に」~一周回ってあたらしい(かも)~

KADOKAWAさんの株主優待のムビチケを使って(小学館刊行の本が原作の)「白鍵と黒鍵の間に」を観てきました。悪気はなかった。ちょっとすまんとは思ってる。

・1980年代の夜の銀座が舞台
・仲里依紗ちゃんが出る(好き)

以上2点に惹かれて選びました。

※注意※
以降、がっつりネタバレが含まれます。

ちょっと評判でもあさろ、と思ったのが間違いで、鑑賞前にうっかりネタバレを拾ってしまったのですが、「池松くんが2役」で「過去と未来の自分役」であることは別にネタバレじゃなかったです。これは知らなくても途中で気付くし……。

過去や未来の自分との交錯って構成としては全然珍しくはないんですが、
・最後から最後まで2役とも出ている
・自分(主人公)だけじゃなく周りの人間も、当たり前のように2人の主人公が同時に存在している妙な時間軸を受け入れている
ところが面白いなと思いました。
主人公だけに過去や未来の「俺」が見えたり、ある地点だけですれ違ったりするんじゃないんですよ。夜の銀座のある一夜に、確かに2人が存在している。

という不思議な描き方なんですが、良かったです。
・単に過去→未来への描写だと、途端に(映像作品としては)凡庸なストーリーになる
・過去と未来の主人公の対比を鮮やかに見せてくれる

池松くんの3年前と後の主人公の演じ分けがくっそ上手いです。片や夢いっぱいで世間知らずの坊ちゃん、片や夜の銀座に染まったピアニスト……。演じ分けのうまさを噛み締めるのに、ずっと2役とも出てくれているので助かります。ずっとおいしい。

池松くんの演技力があってこそ成立する主人公の見せ方が、一周まわって新しいなと思いました。

他の演者も良かったです!!!!!
お目当ての仲里依紗ちゃんの面倒見のいい先輩感と、情緒不安定な「謎の男」の森田剛氏。森田剛氏、年を重ねるごとにどんどん良くなりますねーーーーーーーーー。多分この人おじいちゃんになった時に最高の役者になると思う。
キーとなる歌手をクリスタル・ケイが演じています。ガチの歌手をキャスティングしてくれてありがとうという気持ちです。とにかく隅々まで配役がいいです。

「好きなことを極めたい、仕事にして生きていきたいと夢見ていた若者が、ただ過ぎていくだけの現実から這い上がろうともがく話」という極めて真っ当なテーマがちゃんとある映画です。気になったらぜひ観てちょ。

他の好きポイント
・ちょいちょい笑えるシーン(いきなりはじまる二人三脚)池松くんと森田剛氏の二人三脚が見られるのはこの映画だけ! たぶん
・1980年代の銀座だったら会長なんか確実におねえちゃんの乳を揉んでたと思いますが、昨今のコンプラ的なアレに配慮してかそういうシーンはありません
乳は揉まれてないけど抱きつかれたり(でも張り倒される)、尻は触られそうになる(これも叱られる)がそれくらいです
・仲里依紗ちゃん、可愛い役というわけじゃないけど歌ったりぴょんぴょんしたりして可愛かったです
・「南くん」が先生って呼ばれてるのが好き
ほんとにリスペクトもあるんだけど、「ちょっと大事にしたいが名前が曖昧な人」も先生と呼ばれがちだよねと思うなど
・今までご縁がなく池松くんの映画等を観たことがなかったんですが、これを機に観ようと思います、と心に誓うくらい演技が良かった

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