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エッセイ「めまいと花粉症の根本原因は同じだったという話」

 四年前、突然「めまい」の症状に襲われた。更年期女性あるあるだ。
 最初は、朝起きた時にくらくらする程度だった。しばらく横になっていると治るので、日常生活には支障はない。そのまま仕事をしていたら、昼間にもくらくらし始め、だんだんと症状がひどくなり、ついには荒海で漁船に乗っているんじゃないかと思うほどになってしまった。

 さすがにこれは困ったなあと思っていた時「三重県にゴッドハンドの先生がいるよ」と、ある治療院を教えてもらった。なんでも、診療機器や薬等はいっさい使わない「手刀」という手わざで治す、と言うから怪しいことこの上ない。怪しいこと大好きなわたしは是非体験したいと言うと、「じゃあ、次回わたしが行く時に一緒に連れていってあげる」と言われた。
 その治療院は、病院に行っても原因不明とか、色々試したが全然よくならないという患者さんが、口コミでやってくる、要するに誰かの紹介じゃないと診療を受けられない。看板も出ていないので、最初は紹介者に連れていってもらうのだと聞き、ますます興味津々になった。

 いよいよ当日、わくわくしながら治療院に向かう。最寄り駅からタクシーに乗り10分程のヨットハーバーの近くで降りた。治療院は、住宅街の中の木造の一軒家。おばあちゃんの家に来たような昭和の懐かしい家だ。(後日、先生に聞いたところによると、治療院の場所は、その土地の波動を調べてここがベストだと決めたと言う。この話は、これで奥が深いので別の機会にでも。)
 先生は、四十代男性、スキンヘッドに眼鏡をかけ柔道着を来ていた。「こんにちは!」と、いかにも人柄のよさそうな笑顔で元気よく挨拶をされたので、ちょっと安心する。

 診察が始まった。過去の治療歴から現在の症状にいたるまでの聞かれたことに答え、畳の部屋に敷かれた布団に横たわる。お腹を出して、熱々の生姜シップからはじまった。
ドキドキしていると、「さあ、いきますよ」と先生、お待ちかねの手わざのお出ましだ。

 と・こ・ろ・が、これが今まで体験したことのない激痛である。
おもわず「いたい!いたい!!」と悲鳴をあげた。聞くと、あまりの痛さに先生を突き飛ばした人もいるというのだが、納得である。その悲鳴に、先生は「いたいよねえ」と満面の笑みで答える、こやつなかなかの曲者である。
 終わるとぐったり放心状態だ。
 診療後に「水野さん、七回通ってくださいね」と言われ、まじですかと頭が一瞬止まったが、背に腹は代えられないので、とにかくがんばって通うことにした。

 すると驚いたことに、一回目は、荒海で漁船に乗っていたのが、二回目には、まだ漁船には乗っているが波が穏やかになった。さらに回数を重ねると、船がどんどん大きくなっていき、五回目には豪華客船に、六回目には波止場に着き、七回目にはとうとう陸に上がったのだ。めまいの症状はまったくなくなった。私は本当に救われた、あのままだとメニエール病になっていただろう。
 先生いわく、原因は東洋医学でいうところの腎から来ていて、さらには腸の状態が悪くなっていたとのことだった。ただ、その根本原因については、仕事が忙し過ぎたのもあるし、他にもいろいろな要素が関係していると思うので、これとは言えないということだった。

 そのまますっかりよくなったので、ずっと忘れていたのだが、最近その根本原因が突然わかったのだ。今、学んでいる鍼灸師でもある気功の先生(この先生も相当怪しいが知識量も腕も凄い)が、ポロっと「花粉症もめまいも根本原因は同じです。」というのだ。
 
 なんと根本原因は、「食べ過ぎ・飲み過ぎ」だった。そんな基本的なことだったのだ。そこに、ストレスと運動不足で拍車がかかった。
 つまり、こういうことだ。食べ物も飲み物も、体内に入ると消化されて、最後には「水」と「便」になる。それが、食べ過ぎや飲み過ぎで「水」が多くなると、体が余分な水分を輩出しようとして「花粉症」の症状を出す。わたしの「めまい」も同じで、水が多かったためリンパの流れが悪くなり、自律神経のバランスも崩れて発症していたのだ。

 そこで、教訓を作った。

【すこしでも不調を感じたら、プチ断食】

還暦女子の転ばぬ先の杖である。




 

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