水野 うさ

経営者&主婦学生 「こころと人生に光を届ける」活動をしています 還暦記念に第2ステージ…

水野 うさ

経営者&主婦学生 「こころと人生に光を届ける」活動をしています 還暦記念に第2ステージを始めようと、昨年芸大文芸コースに入学しました。 noteで少しづつ文芸作品をアップしています

最近の記事

エッセイ「ローズウインドウ」と「帝国ホテル」と「お誕生日」

 教会の扉を一歩入ると、一気に時空を超えた。  三廊式の室内の落ち着いた暗さが、厳かな気持ちにさせられる。光の祭壇へとまっすぐに伸びる中央通路をゆっくり進むと、どこからか賛美歌が聞こえてきた。祭壇の奥には、アーチ型になった細長い窓の美しいステンドグラス、その下には七体の聖像が置かれていた。  いつもは花よりだんごの還暦女子の私と友人も、この神聖な空間に、思わずうっとりとして、その場のエネルギーに身をゆだねた。  こころの中がしーんと静かになって、今までの罪や欲深さに ―もう

    • 短篇小説「遺言服」

       昨日の夕方、父が亡くなった。今年のはじめにガン宣告をされてからあっという間で、六十九歳になったばかりの夏だった。  「かおるちゃん、ひとりで大変だったね。」 と、弘子おばちゃんがお通夜の会場に一番に駆けつけてくれたので、本当に助かった。弘子おばちゃんは、亡くなった母の妹で広島に住んでいる。デパート勤め二十五年のキャリアで、弔問客の対応を一気に引き受けてくれたので、喪主の私は、痛み入ります……という面持ちで祭壇の横にいればよかった。なんだか頭もこころもしーんとしていて、霧の

      • エッセイ「めまいと花粉症の根本原因は同じだったという話」

         四年前、突然「めまい」の症状に襲われた。更年期女性あるあるだ。  最初は、朝起きた時にくらくらする程度だった。しばらく横になっていると治るので、日常生活には支障はない。そのまま仕事をしていたら、昼間にもくらくらし始め、だんだんと症状がひどくなり、ついには荒海で漁船に乗っているんじゃないかと思うほどになってしまった。  さすがにこれは困ったなあと思っていた時「三重県にゴッドハンドの先生がいるよ」と、ある治療院を教えてもらった。なんでも、診療機器や薬等はいっさい使わない「手刀

        • エッセイ「小さな赤い鳥居」

           夕飯の食材をスーパーで買って自宅に帰ろうと歩いていたら、突然何かが視界の端に入った。「小さな赤い鳥居」である、街路樹の足元、それも針金らしきものでくくりつけてあったのに、ぎょっとした。喫茶店の出入り口のすぐ前だから、お店の人は知っているに違いない。  エコバックを両手に持ったまま、立ち止まってしげしげと見た。 高さは20センチほど、明らかに素人が作ったであろう木製の簡易なもので、全体は赤の塗料で塗られているが、上の横棒の上半分が黒色になっている(反り増しの笠木の部分)ところ

        エッセイ「ローズウインドウ」と「帝国ホテル」と「お誕生日」

          エッセイ「乾燥だだちゃ豆」

           今から五年前、私はあるダイエットをした。  それが「腸活ダイエット」だ。腸を元気にして健康的に痩せるというダイエットである。結果、半年でマイナス十六キロ落として標準体重となり、いまだにリバウンドはしていない。  ダイエット中の食事は、基本的に「植物性タンパク質」を食べる。「植物性タンパク質縛り」と言ってもいい。要するに、豆と豆製品だ。枝豆・茹で豆・煎り豆・納豆・お豆腐・厚揚げ・お揚げ・豆乳等を三食食べる。どうせなら少しでも美味しいものを食べたい。(ちなみに栄養価はサプリメ

          エッセイ「乾燥だだちゃ豆」

          エッセイ「勝者・五十鈴川」

           小雨の「五十鈴川(いすずがわ)」は、聖水のスチームサウナだ。大気と小雨と川が、湿度のグラデーションになっていて、川辺に立つとその中にすっぽり入ったような感覚になる。聖水がナノレベルで体に浸透していくのは、かき氷にせんじシロップが吸い込まれていくようで心地いい。  「五十鈴川」は、伊勢神宮の内宮の入口にあり、昔の人はここで体を清めてからお伊勢さんにお参りをした。まさに「聖水」なのだ。川の水に手を入れると、どんどん体内の透明度が増していき、日頃のくだらない欲やエゴが浄化され、

          エッセイ「勝者・五十鈴川」

          エッセイ「本気の引っ越し」

          十八年前、「本気の引っ越し」をした。  家族四人(夫、夫の母、娘、私)で住んでいた家が、娘の成長とともに手狭になったので、歩いて五分ほどの同じ町内に新居を建てた。同じ町内にしたのは、娘を転校させたくなかったからだ。  引っ越しをするとわかるのは「一軒家の不思議」の一つである荷物の多さだ。どこにこんなに荷物が入っていたのだろうと思うほど、出しても出してもわんこそばなみに荷物が出てくるのには本当に驚く。うすうすは気がついていたが、これは早めに『断捨離』をしないとと焦る、なんせ

          エッセイ「本気の引っ越し」

          エッセイ「推しの天ぷら」

           「人生の最後に食べたいものは」と聞かれらたら、迷わず「天ぷら」とこたえる。若い時は「天ぷら」より「フライ」の方が好きだったのが、いつの間にか「フライ」を上回り人気急上昇、還暦女となった今では第一位獲得となった。    そもそも好きになったのはいつからなのかを紐解いてみたら、十年ほど前、大阪の阪急インターナショナルの『一宝』さんで、恩師にランチをご馳走になった懐かしい思い出がでてきた。目の前で板さんが一品ずつ揚げてくれるというあこがれの「お座敷天ぷら」スタイルだ。初の高級てん

          エッセイ「推しの天ぷら」

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          noteはじめました noteはじめました。 ブログは日々の様子をアップしていますが、 こちらではエッセイや少し時間をかけてまとめた文章、 小説なども書いていこうと思います。

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