エッセイ「小さな赤い鳥居」
夕飯の食材をスーパーで買って自宅に帰ろうと歩いていたら、突然何かが視界の端に入った。「小さな赤い鳥居」である、街路樹の足元、それも針金らしきものでくくりつけてあったのに、ぎょっとした。喫茶店の出入り口のすぐ前だから、お店の人は知っているに違いない。
エコバックを両手に持ったまま、立ち止まってしげしげと見た。
高さは20センチほど、明らかに素人が作ったであろう木製の簡易なもので、全体は赤の塗料で塗られているが、上の横棒の上半分が黒色になっている(反り増しの笠木の部分)ところ