ap bankと僕からすれば、「つま恋」はキャベツの生産地ではないという話。

2021年7月16日。

Mr.Childrenのヴォーカル・櫻井和寿さんと音楽プロデューサー・小林武史さんが中心となり活動している「ap bank」から「3つの重要なお知らせ」が伝えられました。

ap bank そして Bank Band の18年間に渡る活動の集大成となるベスト・アルバム「沿志奏逢4」を発売すること。今年8月、Reborn-Art-Festival 2021の開催に合わせて、石巻市でライブ「ワン・バイ・ワン・プラス〜10年目のフレームより〜」を開催すること。

そして、今年秋に「ap bank fes '21」の開催を予定していること。


ap bankそしてBank Bandの活動に日頃から目を向けている方からすると、どれも非常に大きなお知らせであることは間違いありません。私も非常に沸き立ちました。しかし一方で、この活動がいったいどんな意味を持っているのか、全く知らないという人がいるのもまた事実です。

そこで、今回はap bankそしてBank Bandとはどういう団体なのか。しっかりと解説していこうと思います。音楽に関心があるという方も、そうでもないという方も、ぜひお付き合いいただければと思います。


ap bank とはなんだ?

そもそも、ap bankとはなんだ?と思われる読者の方は多いでしょう。

ap bank の ap とは「Artist Power」であり、「Alternative Power」という意味があります。2003年、櫻井和寿さん、小林武史さん、そして音楽家の坂本龍一さんの3人が最初に資金拠出を行い、環境問題に取り組む団体に対して資金の融資活動を行う「市民バンク」が開設されました。

音楽活動で得た利益や利潤を、巡り巡って地球環境の向上のために還元していくこと。それが、ap bank の最大の使命なのです。

2011年以降は「Fund for Japan」というスローガンの元、環境問題の啓発活動に加えて、東日本大震災の復興支援活動も同時に展開していきます。

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さらに2016年。舞台は、宮城県石巻市。ap bank と小林武史さんが主軸となり、男鹿半島を舞台にした芸術祭「Reborn-Art-Festival」の開催が決定。これ以降、「芸術祭」と「支援活動」の両輪体制でap bank は活動を進めていくことになります。


つま恋とap bankの「相思相愛」

「嬬恋」は群馬県の高所にあるキャベツの産地ですが、ap bankにおけるつま恋は全く別の場所のことを指します。

「つま恋」は静岡県掛川市にある「つま恋リゾート」のことであり、「ap bankの聖地」とも言うべき場所です。ap bankの始動から2年後の2005年7月16日。気持ち良い場所で、音楽を聞きながら、環境問題を身近なこととして考えてもらう場所として「ap bank fes' 05」が初開催されます。

以降、2012年まで毎年この地でap bank fes が開催されてきました。また、2012年には兵庫県の淡路夢舞台・宮城県の国営みちのく杜の湖畔公園と合わせて3会場で巡回開催される一大イベントとなりました。

そして、2016年の再始動後、宮城県で開催されていたap bank fes が、2018年、実に6年ぶりにつま恋に戻ってきました。それが、「ap bank fes' 18」でした。私も、実はこの場に立ち会っていました。

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初めてつま恋に足を運んだ時は、興奮が止まりませんでした。どこまでも広がる緑の草原、そしてそこに流れる心地のよい音楽。本当にまったりとした居心地の良い空間で、いつまでもここにいたいなー・・・と思わず口にするほど、素敵な場所でした。

掛川は「ap bank のまち掛川」というスローガンの元、街を挙げてap bank fes を歓迎していました。そして、ap bank fesもまた、掛川という場所を原点であると掲げ長い間思いを馳せていたのです。


日本音楽界のアベンジャーズ・Bank Band

そしてこの一大イベント「ap bank fes」のホスト役こそが、Bank Bandなのです。見出しに「日本音楽界のアベンジャーズ」と書きましたが、これはかなり言い得て妙だと思います。

なんせ、ヴォーカル・櫻井和寿(Mr.Children)

キーボード・小林武史(Mr.Childrenの元プロデューサー)

2人は90年代にミリオンヒットを連発した「ミスチル現象」のまさに立役者。さらに、これだけではない。

ベースは亀田誠治(あの「東京事変」のメンバーであり、その傍ら、スピッツ・GLAY・いきものがかりなど名だたるアーティストのプロデュース・編曲を手掛ける)

ギターは小倉博和(サザンオールスターズ初め多くのアーティストのサポートギターを担当、スガシカオらとのスペシャルユニット「kokua」にも参加のギタリスト)

ドラムスは河村"カースケ"智康(90年代から桑田佳祐・松任谷由実・福山雅治などのドラムメンバーとして参加。近年では星野源の演奏・レコーディングメンバーとしても多数出演。)

この5人だけでも尋常ではない豪華さ。さらにさらに、パーカッション、コーラス、ホーンセクションに至るまで日本トップレベルのアーティストが集まる、まさにアベンジャーズ状態なバンドなのです。

また、東日本大震災から10年を契機に制作された最新曲「forgive」では、歌姫・MISIAとタッグを組み、その音楽の幅をさらに広げてみせています。


Bank Bandと日本の名曲たち

Bank Bandはオリジナル曲のリリースやカヴァーアルバムの発売を通じ、そこで得た利益をap bankの活動に全額寄付しています。

ap bank の音楽の利益を地球に還元していく、という理念を体現するバンド。それがBank Bandです。

カヴァー・アルバムはこれまでに3枚発売。オリジナル楽曲もいくつかリリースされています。では、代表的なものをここでご紹介しましょう。


①オリジナル楽曲「to U」

②中島みゆき「糸」

③斉藤和義「歌うたいのバラッド」

代表的なカヴァー曲、「糸」や「歌うたいのバラッド」は、このBank Bandでのカヴァーによってアーティストのファンのみならず広く世間一般に認知されるようになりました。

オリジナル曲「to U」はリリース当時、TBS「筑紫哲也 NEWS23」のテーマソングに起用されました。また、Bank Bandの信念を表す楽曲としても、ap bank fesほかイベントやテレビ出演の際には必ず披露されています。

ちなみに、ここに掲載している動画は「PROTECT to U version」のto Uです。ap bankが新型コロナウイルス流行を受けて、医療機関や福祉・行政機関へマスクの寄付を行う「PROTECT to U(プロテクト・トゥーユー)」というプロジェクトを実施した際、コロナで苦しむ人々へのエールを込めて全編リモートで収録された、貴重な音源です。


おわりに

ap bank と Bank Band の活動について、今回は解説しました。

音楽と環境問題。一見全く結びつくことのないふたつの点をつなぎ、私達に「もっと環境について考えてみようよ」と問いかけてくれるap bank。きっとあなたもこれから、Bank Bandが響かせる歌声を聞くたびに、地球にやさしくなりたい、と思うようになるのではないでしょうか。

この記事が、ap bankとBank Bandについて理解を深め、一人でもその意義に賛同してくれる人を増やすために貢献できるよう祈っています。

ちなみに、ベストアルバム「沿志奏逢4」は9月29日発売です。



おしまい。