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増え続けたネズミはストレスで死ぬ

最近、禅とは何か?を追求する中で、この本に出会いました。

この本の中に面白い話が書いてあったのでちょとシェアしてみたいと思います。

動物学者がこんな実験をしました。古い建物にネズミを飼いました。
ネコやヘビと言った天敵のいない状態にして、餌は外から補給します。
遺伝子の劣化を防止するため、ときどき外から野生のネズミを入れてやります。そうするとネズミはどんどん増えます。けれども、ある程度まで増えると、突然、ネズミは死に始めるのです。まだまだ繁殖出来る空間があり、餌はいくらでも補給されるのに、ネズミは死んでいくのです。老衰で死ぬほかに、若くて元気のいいネズミも死んでいきます。何故でしょうか?
いろいろと調べた結果、ストレスが原因だとわかりました。あまりにもネズミが増えすぎると、ネズミもストレスを感じるのです。ちょうどわれわれ人間が満員電車の中で感じる、あのストレスですね。このようにして、ネズミがある限度に達すると、今度はどんどんと減り始め、ピーク時の三分の一二までなるそうです。そして、そこからまた増え始めます。何度実験してもそういう結果になるそうです。つまり、これはこの世が「弱肉強食」の世界ではないことを意味します。ネコが強者で、弱者のネズミを食べてくれないとネズミは生存出来ないのです。実験では、ネズミの三分の一間で減りますが、それは餌の補給があるからです。もしも、自然の状態であったら、ネズミが増えすぎると、ストレスが原因で死ぬばかりではなく、餌がなくなるので共食いになったりして、ほぼ全滅していきます。ネズミはネコに助けられて生き、ネズミに助けられてネコが生きるのです。科学者は、それを一方的は捕食関係と見ていますが、それは誤りです。ネコとネズミは、相互依存関係なのです。

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このネコとネズミの関係は、まさに今の私たちを象徴しているかのように私は感じました。

科学技術が一気に発展した今、私たちはこのネズミのようになっている気がします。

世界中で人間の数はうなぎ登りで上がっていく。と言うか、これまで上がってきた。

特になんの不足もなく、なんの緊張感も持たずに、ただ自分の欲望だけを追って生きていればいい世界、そんな世界の中で人間は自らの欲のままに、このネズミのように繁殖を続けてきた。

その結果、このネズミのように、人間はどんどんと増えていった。

けれども、ある限度まで増えると、突然ネズミが死んだように、私たちも今死んでいる気がしてなりません。

動物も、人間もあまり増えすぎると、ストレスが増える。そしてそのストレスによって死んでしまう事もある。

今のこの人間社会は、あまりにも増えたこの人間によって生み出されたストレスがそこら中に蔓延している気がします。まさに呪術回戦。

人が増えれば、ものを取り合うために、自分の命を守るために、家族を守るために、自国を守るために、戦争が起こりやすくなるし、人が増えれば、食料も取り合う。ストレスも増える。

なんだか、人が増えると、人間の内面がどんどんそれに比例して削られていくようです。

どんどん豊かになり、ものがあふれて何でもかんでも皆スムーズにことが運んでいくことが今この世界ではよしとされていますが、これをこのまま続けていくと、私たちもきっとこのネズミのようにストレスで死んでしまう日が来るんではないかと思ったりします。

だから、あえてスムーズにいかないことを私たちは、この社会に投げ入れることが大切な気がします。そのうまくいかないことがあるからこそ、人間の力ではどうにもならないことが起こるからこそ、私たちはきっと死なずに生きていけるのかもしれません。

このネズミにならないためには、何でもかんでも自分でコントロールしようとすることではなく、コントロール出来ないことも自分の中に作り出す必要がある気がします。

うまくいくこととと、うまくいかないことは相互依存関係にあると思います。

何でもかんでもうまくいく世界がきれいなのか?正解なのか?それとも、その中にうまくいかないことも含んでいるからこそ、世界はきれいなのか?
最近、こんなことをよく考えます。

プラスにプラスで世界は前進するのか?それとも、プラスにはマイナスが必要なのか?最近、こんなことをぼんやりと考える。


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