見出し画像

人気インスタグラマーと思って見てたら...実はアルコール依存症「like my addiction」【PR研究所007】

 突如現れたフランス人25才のインスタグラマーLouise Delageは、友人達と私生活を楽しんでいる様子をインスタグラムにアップし人気を獲得していった。その充実した私生活や親しみやすい投稿から、彼女のフォロワーはアカウント開設から1ヶ月少しの時点で12,000フォロワーを獲得した。一つの投稿には50,000を超えるほどの「いいね!」が付いていた。

画像1

 しかし、この充実して楽しそうな生活を送っているLouiseには大きな秘密が隠されていたのだ。その秘密は9月に投稿される最後のビデオを持って明かされる。

 ビデオの内容では、彼女が今まで投稿した全ての写真に必ずアルコールが映っていたということが明かされる。そして最後に表示される「It's easy to miss the addiction of someone close(身近な人の中毒は見落としやすい)」という文字。そう、彼女は重度のアルコール依存症だったのである。
 今まで投稿に「いいね!」を押したたくさんの人たちは、自身が何に対して「いいね!」していたのかを衝撃的に明かされることになる。今回のキャンペーンの題の通り「like my addiction(私の中毒に「いいね!」して)」は大量のフォロワーやファンを巻き込んで共謀者にするという手法になっている。

 アルコールは楽しむためには最高だし自分もお酒が好きなためよく飲む方だと思う。しかし、気づかないうちに自分がアルコール依存症になっているかもしれないし友人が同じような境遇になっていたら気づきにくい部分があるだろう。今回はSNSを活かして多くの共謀者をつけてしまうことで、種明かしをされた際に背筋が凍るようなインパクトを残したPRの例である。
 「like my addiction」はアルコール依存症患者支援団体のAddict AIDEが啓発キャンペーンとして行なったものである。このキャンペーンはその衝撃から数多くのメディアへ取り上げられ話題を呼んだ。

 PRの事例として特に注目すべきは1点ある。
 それは、インスタグラムの「いいね!」やフォローなどといったフォロワーの何気ない行動が「告白のビデオ」を境に大きく意味合いが変わり驚かされるしかけになってる点だ。「It's easy to miss the addiction of someone close(身近な人の中毒は見落としやすい)」というメッセージは自身がまさに当事者になっていただけに衝撃も大きい。よくPRの達成は「行動変容」を起こしてこそ成功だと言われる。「行動変容」をいかに自分から起こさせるかということは、ある種いかに当事者意識を強く持たせるかということと相関があるように思う。今回の「like my addiction」は当事者意識を強く持たせるでとても有効な手段がとられている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?