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児童館ってどんなところ?---おもしろさとその役割について---

こんにちは、水原です。

ここ最近、保育や児童館の仕事に興味を持っている方が読んだら「やっぱりやめようかな!?」と思ってしまいかねない、ネガティヴなことばかり書いているような気がするのですが・・・。

児童館という施設が子どもにとってなくてはならない居場所であることは、私自身仕事を始めて以来ずっと強く感じており、それと同時に、この仕事の楽しさを誰かに伝えたい、という気持ちも抱えてきました。

今回は、児童館での子どもたちの様子や指導員の仕事の楽しさについて、具体的にお伝えできればと思います。少し長くなりますが、お時間ありましたら最後までお付き合いいただければ幸いです。

※児童館の施設状況や仕事内容については、施設や地域によって異なる場合があります。また、児童館のあり方も施設や職員によって異なる場合があるため、ここでは“私の考える児童館”をお伝えできればと思います。
なお、間違っているところがありましたらこっそり教えてください(笑)。よろしくお願いします。


1.児童館ってどんなところ?

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◆ 子どもたちの過ごし方


児童館を知らない方にとっては、子どもたちがどんなふうに過ごす場所なのか、指導員はどんな仕事をしているのか等、なんとなくイメージしづらいかと思います。

児童館は、0歳~18歳未満の子どもたち(とその保護者)が自由に利用することができる施設です。

乳幼児専用の部屋では、おもちゃで遊ぶ赤ちゃんや利用者同士でお喋りを楽しむお父さんお母さん。

幼稚園や小学校を終えた子どもたちは、児童館に寄って友達と遊んだり、好きなことをして遊んだりと、思い思いの過ごし方を。

中学生・高校生が過ごせる児童館では、学校を終えた子どもたちがバスケットボールや卓球、お喋り等を楽しむ姿も。

地域や施設によって対象の年齢や機能が異なりますが、年齢によってしたいことやできることの幅が異なるため、空間を分けたり、時間で分けたりと、どの年齢の子どもも遊べるような環境を設けています。

子どもたちは児童館で、遊んだり、勉強したり、お喋りしたりと好きなことをして過ごすことができます。

◆ どんなことができるの?


< 遊戯室 >

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身体を動かして遊ぶ部屋。

縄跳び、竹馬、フラフープ、キャッチボール等の少人数遊びから、ドッジボール、サッカー、野球、ドロケイ等の集団遊びまで様々。

施設によってはオリジナルの遊びなどもあり、身体を動かすといっても本当に色々な遊びの幅があります。

子どもたちは思い切り身体を動かすことで、純粋に遊びを楽しんだり、また気持ちを発散させることができます。
もちろん身体を動かして遊ぶのが好きではない子もいて、そんな子は別の部屋でのんびり過ごします。体育の授業は苦手だけど、遊戯室で遊ぶのは好き!という子も。

< 工作室 >

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工作を楽しむ部屋。

塗り絵や折り紙、プラバン、空き箱工作等、簡単な制作を楽しんだり、時間をかけて立派な車や武器(に見立てたもの)、ドールハウス等の大作を作り上げる子どもも。自分の持つアイデアを形にできる場所です。

工作室の楽しいところは、工作それ自体も楽しいのですが、工作を楽しみながら、友達や職員とお喋りを楽しむことができるところかなと思っています。
今まで話したことのない友達や、いつもだったら話さないような、学年の異なる相手でも、作業しながら何気なく会話できたり、各々が作っているものに興味を示したり。
工作を通じて周りの人と交流ができるのが大きな魅力だと思っています。

< 図書室 >

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漫画を読んだり、読書をしたりする部屋。

トランプや将棋、人生ゲーム等のカードゲーム・ボードゲーム類が揃っているところもあり、子どもたちにとって一番のんびり過ごせる場所だと思います。

一日中漫画を読んで過ごす子もいれば、遊戯室で思い切り遊んだ後にちょっと休憩する子、友達とボードゲーム等を思い切り楽しむ子等、過ごし方は様々。


その他にも、未就学児がお父さんお母さんとゆったり過ごせる乳児室や幼児室、小学生以上の子どもが遊べる卓球室、ピアノ等の楽器を楽しむことができる音楽室など、施設によって様々。
色んなことができる部屋が児童館にはあります。

なお、児童健全育成推進財団のHPに児童館の簡単な概要や役割等が載っていますので、よければご覧ください。


2.児童館のおもしろさ


①自由度が高い

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児童館の何よりも大きなポイントは、「自由度の高さ」にあると思っています。

行きたいと思ったら行けばいいし、行きたくなかったら行かなくていい。
好きな友達と遊んでもいいし、一人で遊んでもいい。
やりたいことがあればやっていいし、何もしなくてもいい。
だらだらとお喋りをして過ごしてもいい。

そんな自由度の高さが、児童館のおもしろいところです。

また、学校が終わった後も塾や習い事に追われて忙しい毎日を送る子どもも少なくありません。

そんな子どもたちには、少しでもゆっくりと好きなことをして過ごせる時間を持ってほしいなと思います。

②幅広い異年齢交流ができる

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色んな年齢や学年の子どもたちやその保護者が遊びに来る児童館は、0歳の赤ちゃんを抱っこさせてもらう小学生、小学生と一緒にドッジボールを楽しむ中高生、自分の子どもの友達と一緒にバドミントンやサッカーをするお父さんお母さん等、幅広い交流の場となっています。

年齢や学年を超えた友達や知り合いができるのも、児童館の魅力の一つです。


というわけで、児童館は子どもたちにとって、

・自由に遊びに来ることができる場所
・自分のやりたいことができる場所
・家の次にほっとできる居場所

だと思います。

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3.指導員の仕事内容とその魅力

◆ どんな仕事をしているの?

子どもたちと密接に関わる私たちの仕事ですが、具体的にどんなことをしているのか、また一体どんなことを心掛けているかといったことをお伝えできればと思います。

ざっくり分けるとこんな感じです。

①乳幼児親子向けのプログラム運営や子育て支援
②小学生の放課後の見守りと遊びの支援、小学生向けのプログラム
③中高生の居場所づくり
④安全管理
⑤家庭や支援機関との連携、保護者支援


①乳幼児親子向けのプログラム運営や子育て支援

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0歳から遊びに来ることができる児童館では、朝から赤ちゃんを連れてお父さんお母さんが遊びに来ます。

児童館は小学生が遊ぶところ、というイメージを持っている方も少なくないと思いますが、保護者の子育て支援を目的に乳幼児向けのプログラムに力を入れている地域もあります。

具体的には、赤ちゃんとふれあい遊びをしたり、赤ちゃん向けの手作りおもちゃを作ったり、絵本の読み聞かせをしたりと様々な活動をしています。

また、子育てに悩みを抱える方もたくさんいるため、そういった方が気軽に話をしたり、聞いたり、相談できる役割も児童館は担っています。

②小学生の放課後の見守りと遊びの支援、小学生向けのプログラム

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学校を終えた子どもたちの、放課後の生活を見守ります。

見守る、というのが最も重要であると私は思っています。

保護者や保育者の目がないところでも、大きく成長していく子どもたち。そんな子どもたちを第三者である私たち指導員が見守ることで、生活の一つの場である児童館で、安全に、安心して思い思いに過ごすことができるのではないかと思います。

友達とうまく付き合えず、喧嘩したり、トラブルを起こしたりしてしまう子どももいる中で、必要なところは見守り、必要なところは介入し、子どもたちが必要とする関りを見極めながら行っています。

時には子どもと一緒に思い切り遊ぶことも。

私たち大人自身が楽しむことで、子どもたちも心を開放して遊ぶことができる場合もあります。

また、体力増進等を目的に、小学生向けにクラブ活動を行っているところもあります。

体操、ダンス、卓球、工作など活動内容は施設により様々ですが、やりたいもの、得意なもの(もしくは苦手なもの)を選んで、継続的に参加することができます。

③中高生の居場所づくり

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中高生向けの部屋や時間を設けている児童館では、中学生の放課後の居場所として施設を開放しています。

小学生同様、身体を動かしたりのんびり過ごしたりして過ごしている中高生ですが、思春期ならではの悩みをこぼす時も。そんな時に寄り添い、一緒に悩める指導員でありたいと思います。

④安全管理

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子どもたちが思い切り遊べる場所には怪我がつきものですが、なるべく怪我なく安全に、楽しく遊んでもらうことが大切です。

施設環境をチェックしたり、遊びの内容や空間の使い方を工夫したり、また喧嘩などが起きた時もすぐに対応できるよう、常に指導員が見守っています。

子どもたちがやりたいことをそのままやるには危険な場合もあります(物を投げたり、高いところに登ったり)。
その場合は子どもの気持ちを受け止めつつ、できることとできないことを線引きし、何ができるか一緒に考えます

万が一子どもが怪我をした場合も、応急処置を行い、場合によっては保護者や病院等に繋げます。

⑤家庭や支援機関との連携、相談業務、保護者支援

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保育全般に言えることですが、子どもと関わる上で、子どもを一番近くで育てている保護者との連携は必要不可欠です。

子どもの児童館での様子を迎えに来た保護者にお伝えしたり、トラブルが起きた場合や怪我をした場合に保護者に連絡して状況を説明したり。

基本は自由来館であるため、小学生になると保護者と顔を合わせる機会も減りますが、何か問題が起きた時にスムーズに保護者に連絡し情報共有する必要があります。

友達とうまく関係を築けない子、発達が気になる子等、問題を抱えた子どもはどうしたらいいのかわからず、つらい思いを抱えて過ごしています。

それを保護者に伝えるのは非常に難しいところでもあります。
家庭や学校での姿と児童館での姿に乖離がある場合は尚更。
そんな時は、その子が周りの友達といい関係を築いていけるよう、学校や支援機関に繋げる役割が児童館にはあります。

◆ こんなところがおもしろい!

その1.子どものありのままの姿を見ることができる

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学校では、担任の先生の指導のもと、ある程度決められた時間を過ごします。一日授業を受け、学校を終えた子どもたちは「疲れた〜!」と言いながら児童館に遊びにきます。

完全な自由時間である児童館での放課後は、時間や活動に縛られず好きなことができるため、リラックスして過ごすことができます(そうでない子もいますが)。

そのため、学校や家庭から聞いている姿とは全然違うぞ!?なんてことも。

そんなふうに素をさらけ出せるのも児童館のよさだと思っているので、子どもたちの意外な一面、ありのままの姿を見ることができるのはとてもおもしろいです。

その2.幅広い年齢の子どもたちと関わることができる

0歳〜18歳までと本当に幅が広いため、年齢によって接し方、対応の仕方も異なり難しさもありますが、その分子どもたちの色んな一面をより幅広く知ることができ、それも児童館指導員の醍醐味かなと思います。

その3.子どもの成長を見守ることができる

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子どもたちは一年一年成長していきます。

この間まで赤ちゃんだった子が、いつの間にか歩けるようになって。
この間まで赤ちゃんだった子が、ランドセルを背負って一人で遊びに来て。
この間まで赤ちゃんだった子が、中学校の制服を来て遊びに来て・・・。

保育園や幼稚園、小中学校等の担任の先生にも通じるところがあると思いますが、子どもたちの成長に長〜い期間寄り添うことができるのは、児童館ならではだと思います。

その4.好きなこと、やりたいことが実現できる

子どもたちのやりたい!という思いに向き合うことはもちろん大切ですが、指導員がやりたいこと、やってみたいことを実現できるのも児童館の魅力の一つです。

例えば、今までやったことのない集団遊びを提案してやってみたり、いつもやっている制作活動の幅を広げてアレンジしてみたり、UNO大会を開いて誰が一番強いか対戦してみたり・・・。

自由度の高さは遊びの充実にも活かせます。
もちろん子どもたち自身が遊びを考えて指導員に提案することも。
楽しいことを率先してやる人がいると、満足度も高く、また色んな人を巻き込んで遊びや人間関係を膨らませることができます。


ex. 児童館と放課後児童クラブ(学童クラブ)の違い
児童館には、放課後児童クラブ(学童クラブ)が併設されているところも多々ありますが、一体どう違うの?という方は、よければ以下のページをご覧ください。



4.児童館の役割と今後


児童館の魅力を色んな角度からお伝えしてきたつもりではありますが、残念なことに児童館が今、次々に廃止されています。

もちろん背景には少子高齢化があって、当然の流れとは思います。
限られた予算の中で、数が減っている子どもたちに対してかけるものも削られているのでしょう。

ただ、それに伴って子どもたちの居場所はどんどんなくなっているのではないかと思います。

特に都心では、公園でもボール遊びが禁止されたり、次々にマンションが建つことで子どもたちが遊べる場所が削られてしまったりと、子どもの居場所問題も非常に重要だと思います。



また、子どもの支援機関としての役割を担っている児童館が廃止されたら、一体誰が子どもに寄り添うのか?という問題があります。

上の記事でも、

「残念ながら、本来の地域の児童福祉・ソーシャルワークの最前線拠点という認識は、ほとんどされていないのではないでしょうか」

「子どもに関する問題が山積している今、地域の実情を知る児童福祉の専門職員(児童厚生員)がいなくなり、重要な子どもの支援機能がなくなることを危惧しています」

といったことが書かれています。


学校や家庭では出せないものを児童館で出す子もたくさんいて、溜め込んだ思いをぶつけてくる子も中にはいますが、そういった場所がないと、行き場のなくなった子どもは潰れてしまいます。

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そんな子どもたちの第3の居場所として、またそういった子どものSOSを少しでもキャッチできる支援機関として、児童館(もしくは同等の役割を担える施設)はなくてはならないと思っています。


子どもを取り巻く環境は年々変化し、子どもたちが抱える問題は多様化しています。

大人の都合で振り回されることの多い子どもたちを、子どもの側で、子どもの味方として守り支えていける、そんな役割を児童館は担っています。

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とっても長くなりましたが、今日はこの辺で。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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