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"&デザイン"に込めた想い

個人事業主として独立しましたが、屋号は本サイトと同じ「福祉マネジメント&デザイン」にしました。

福祉の中にはまだ措置施設として位置付けられている種別もありますが、特に介護業界が"措置"から介護保険制度が導入され"契約"へ変わった2000年以降、経営主体も"運営"から"経営"へシフトする必要性に迫られました。
介護業界では"経営"や"マネジメント"はもう違和感のある言葉ではなくなったと思います。

"デザイン"とは特別なもの?

では、”デザイン”という言葉はどうでしょうか。
今読んでいる「HELLO,DESIGN 日本人とデザイン」の中に、私が考えている"デザイン"の考え方に近い概念が取り上げられていたので、引用させていただきます。

一方でデザインの根底にある考え方は、人々の心や行動の変化から、そこにある潜在的な課題や願望を読み解き、あるべき姿を形にすることです。
じつは、デザインの本質は「課題の発見とその解決」にあります。「人が持っている課題の本質を見つけ、その上でそれを解決するための新しいモノ、体験、システムなどをつくり出すこと」がデザインのもっともベースとなる概念なのです。

『HELLO,DESIGN 日本人とデザイン』

以前の記事でも、屋号になっている"デザイン"の捉え方について取り上げていました。

「デザイン」という手法を用いて、使いやすくしたり、目標を達成したり、さまざまな「変化」に対応する手段といえます。

後段では、この「変化」に対する適応力ともいえる「デザイン」を駆使することで変化の時代でも舵取りができるといっています。

「福祉マネジメント&デザイン」の「デザイン」においても、未来志向型でいかに理念を実現するために必要な「変化」を引き起こせるかという視点の情報を発信したいと思っています。

CEOからDEOへ-「デザインするリーダー」になる方法

屋号につけた"デザイン"とは、「デザイン性に優れる」とか、「使い勝手の良いデザインだ」という意味合いではなく、福祉・介護業界の組織や現場が抱える経営課題やありたい姿の実現に向けた「解決方法を見出す」「変化へ適応する」ための組織や仕組みづくり・運用といったニュアンスを込めています。

よって上記の意味合いでいえば、建築や家具のデザイナーしか"デザイン"を語れない、デザインしてはいけないのではなく、組織や現場が抱える現状に対して違和感を持ち、その解決に向けて取り組む人たちを広義の意味でデザイナーと呼んで差し支えないと思います。

介護はクリエイティブさがないとできない仕事

ある施設長が、「介護はクリエイティブさがないと出来ない仕事」とおっしゃられていました。
利用者の個別性を尊重し、希望や意向を叶えるためにどのようなケアを提供し、生活を支えることが出来るか、まさに「解決方法を見出す」「変化へ適応する」というニュアンスで"クリエイティブ(創造的)"という言葉を用いられたと思います。

これは私個人の考えですが、医療はある症状に対して、手術をしたり、薬を投与することで大方治癒することができ、課題に対するアプローチ(手段・方法)が明確です。

しかし、介護業界は「科学的根拠」に基づいたケアやサービスが画一的に提供されたとしても、あらゆる場面で「利用者の個別性を尊重し、希望や意向を叶える」という個別ケアが重んじられるため、同じアプローチ(手段・方法)をしたとしても、成果・結果は大きく異なるのではないかと思います。
介護業界における「科学的根拠」や「生産性向上」がいっときのバズワード(いかにも専門性・説得力のある言葉に聞こえていても、曖昧な定義のまま広く世間で使われてしまう用語・造語・フレーズ)で終わってしまわないか心配です。

その矛先が今最も向いているのかケアマネジャーです。
在宅系も施設系もケアマネジャーが作成するケアプランに基づいてサービスを提供するわけですが、そのケアプランをAIが提案(作成)し、ケアマネが確認・承認する流れになるとすれば、ケアマネは「クリエイティブさがなくてもできる仕事」ということを認めてしまうことと変わらないと感じました。
誤解のないように言えば、プランニング以外にも家族やサービス事業所との連絡・調整、居宅訪問など業務がいっぱいなので、プランニングにかかる工数を削減できれば、本来のケアマネ業務に専念できるかもしれないということです。

資格の取得と維持に時間とお金がかかる割に、正式には国家資格ではないという悪名高き(?)介護業界のあがり資格ですが、AIが提案(作成)するケアプランの確認・承認する仕事で良いのでしょうか?
ケアマネジャーのケアマネジメントにおける存在意義や指摘されている問題に対する改善策をきちんと示さないと、介護給付費分科会で関係者からの言いたい放題の的にされてしまいかねません。

ただし、ケアプランを作成する上で、何をサービスに位置付ければよいのか、どのような表現が良いかという点であれば、個人のスキルの問題だと思いますので、更新研修の内容や資質向上のために改めなければならない要素もあるのでしょう(私はケアマネ資格は持っていないので、あくまでも推察です)。

"経営管理"は当たり前、維持・向上させるためには"デザイン"が必要

冒頭に書いた通り、介護業界では"経営"や"マネジメント"といったキーワードはもう市民権を得ていると思います。
しかしながら、「どのように経営管理すれば良いか」、「どのようにサービスの質向上に取り組めば良いか」「どのように組織を作っていけば良いか」という"How(どのように)"の部分で悩まれる法人・施設が少なくないのが現状だと思います(そうでなければ、多くの法人・施設の経営状況も安定し、業界の課題などもクローズアップされていないでしょう)。

その "How"を見出すためには、”デザイン”の視点が重要だということです。
経営管理は当たり前、それを維持・向上させるためには"デザイン"の視点をどう機能させていくかが重要です。
そして、法人・施設が抱える個別性の高い経営課題が追加条件として盛り込まれます。

人件費率が70%超えている状況でどのように経営管理していけば良いか
職員が同じ方向性を向けていない状況でどのようにサービスの質向上に取り組めば良いか
中堅層の定着が課題の状況でどのように組織を作っていけば良いか

といった問いに対して、皆さんが"How"をどのように"デザイン"することが出来るでしょうか?
"デザイン"の解は一つではありませんから、今考えられる最適解をまずは見出してみましょう。

屋号である”福祉マネジメント&デザイン”の”&デザイン”に込めた想いが少しでもお伝えできていれば、幸いです。

管理人

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