現代語訳『我身にたどる姫君』(第三巻 その38)
院は女三宮を連れて三条宮《さんじょうのみや》に移り、女三宮の世話に専念するつもりでいた。
「二条宮《にじょうのみや》(中宮の里)には既に権中納言と女四宮がいる。もしわたしがそこに乗り込んだら、二人は他の場所に移らざるを得なくなるため、かえって気詰まりだ」
一方の関白は、以前から考えていたように尚侍《ないしのかみ》と姫君を、それぞれ帝と東宮に同時に輿《こし》入れさせる意向を固め、入内《じゅだい》の準備を急いだ。しかも、今月中に実行に移すことを公にしたため、人々は大急ぎで作業