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現代語訳『我身にたどる姫君』(第二巻)

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王朝物語『我身にたどる姫君』の現代語訳です。
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2018年12月の記事一覧

現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その15)

 以前から「命に替えてでも」と思い焦がれていた女三宮の容姿に酷似しているが、姫君のひたす…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その16)

 対屋《たいのや》の姫君を目の当たりにした権中納言は、あの音羽山《おとわやま》の姫君のこ…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その17)

 権中納言は宰相《さいしょう》の君にも熱心に話し掛けた。しかし、元からひどく内気な性格の…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その18)

 姫君の乳母である弁《べん》の君は、皇后宮《こうごうのみや》崩御の知らせを聞くと狼狽《ろ…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その19)

 二人は涙を流し、鼻をかみながら夜すがら語り合った。  別れ際、宮の宣旨《せんじ》は弁《…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その20)

 外聞が悪いほどに取り乱していた関白は、都に戻って来た弁《べん》の君をまるで天から降りて…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その21)

 帝は退位の準備を進めていたが、二宮《にのみや》は好色に関する悪評ばかりが立っていた上に、本人も元から帝位に就くことをまるで考えていなかったため、次の東宮《とうぐう》にしようと考える者は一人もいなかった。ただ、音羽山《おとわやま》の姫君が行方不明のままであることだけを嘆き、それ以外には関心のない二宮は、ひょっとしたら見つかるかもしれないと、あらゆる場所を垣間見《かいまみ》しながらさまよい歩いていた。 (続く)

現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その22)

 年の暮れ、二宮は雪や霰《あられ》が激しく降る荒々しい風の音にいざなわれるように音羽山に…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その23)

  雪氷《こほり》とづる山路を踏み分けて   いく夜むなしき床《とこ》に寝《ね》ぬらむ  …

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その24)

 ひどく荒れた夜の様子に、権中納言は独り寝の床《とこ》が耐え難く、寂しさにつらくなり、ど…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その25)

 寝殿の方に歩いて行くと、故・皇后宮《こうごうのみや》のために護摩《ごま》を焚《た》いて…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その26)

「ああ、胸が苦しい。どうしたらいいだろうか」  障子を引いてみたが、厳重に鍵が掛かってい…

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その27)

「このような思い掛けない時分に、どういった理由でやって来たのかと人々が不審に思います」 …

たま
5年前
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現代語訳「我身にたどる姫君」(第二巻 その28)

「随分と嫌な言い方をしますね。何とも恐ろしい考えです。父からそのようなことを奏上《そうじょう》できるはずがありません。ああ、こうして見捨てられたままでいるのがつらくてなりません。今宵もむなしいまま、わたしを帰らせるおつもりですか」  そう言いながら権中納言が局《つぼね》に入ると、中納言の君はたしなめた。 「見苦しい振る舞いを。もし、人にこのことが知られたら、どのように噂されるとお思いですか」 「それほどまで悪いことなのでしょうか。このような折にも、ひどくつれなくあしらわれ、思