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【猫のお話】お膝に乗ってあげてもいいよ


あたし、くろみっていうの。名前の通り黒猫なの。
あたしのお母さんが乗っ取ったお家に住んでいるんだ。お母さんは、虹の橋を渡ってしまってもういないけど、あたし寂しくなんてないよ。

このお家には、みきさん、お父さん、お姉ちゃん、妹ちゃんが住んでいるの。この4人はあたしのお世話係なの。みんなあたしに夢中で、猫可愛がりするの。だから、お母さんがいないのは少しは寂しいけど、あたしはへっちゃらなんだ。

あたしは猫だから、人間には媚びたりしないの。ツンツンしちゃうんだ。人間に媚びたりしたら、猫の名がすたるっていうものよ。そこはお母さんから厳しく躾けられたの。

撫でたりするのは、許してあげているの。でも、気に入らないとカプってしちゃうんだもんね。お世話係たるもの、主人の好みを熟知していないと困るっていうものだわ。

今日もみきさんがテレビを見ながらあたしを呼ぶの。そしてね、お膝を叩いてお膝に乗れって言うのよね。もう、毎日よ。ほんと、しつこくて嫌になっちゃう。
あのね。あたしは猫なの。犬じゃないんだから、そんな気安くお膝になんて乗ってあげないんだもん。

そんな時、みきさんはとても悲しそうな目をするの。そんな目で見て同情を引こうたって、そうは問屋が下さないのよ。だって、あたしは主人なんだから!

だけど、少し心が痛むの。

みきさんは、あたしのお世話係としてよくやってくれているわ。
あたしが病気になった時は、「びょういん」っていう所に連れて行ってくれたの。そして、あたしが良くなるように看病してくれたの。
他にも、あたしが寂しくないように、心地よく過ごせるように頑張ってくれているんだ。それに、おいしいご飯も用意してくれるの。

だからね、だから。

あたし、思ったの。そろそろお膝に乗ってあげてもいいかなって。

「くろみちゃんー」

ほら、みきさんがあたしを呼んでいるわ。
あたしは、みきさんのそばに走って行くと、前足をお膝にちょんって置いてみたの。思い切って、えいってお膝に乗ってあげたんだ。

みきさんは、びっくりした顔をしてあたしを見て、大きな声を出したよ。

「くろみちゃん!やっとお膝に乗ってくれたね!」

もう、うるさいな。静かにしてちょうだい。これだから人間は嫌なのよ。
狩りもできないし、体は硬いし、ジャンプできないし。
あたしがいないとダメな人間たちなのよね。

でも、そんなみきさんたちが、あたしは好きよ。
お膝の上も……悪くないかもね。

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今回は、ミムコさんのこちらの企画に参加します。


猫のお話を書いてみました。
久しぶりにお話を書きましたー。
このお話のモデルは、我が家のおぬこ様のくーちゃんです。
お膝猫になったのは、ここ数年の事でその事を参考に書いてみました。

縦スク文庫、なんだか楽しそうですね!
いろいろ、楽しめそうです。


ミムコさんが縦スク文庫のテンプレートを作ってくださっています( ・∇・)



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