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【考】

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【すぐ読み終わる小説】もう、何でもない

北国の冬なのに、道路のコンクリートが見えている。

これは異常気象とか言って地球規模では大問題なんだろうけど、雪に足を取られることがなく歩きやすいから、私にとってはありがたいことだ。

でも風は冷たい。マフラーをして、手袋をつけて、駅から大学までの道のりをうつむきながら歩いていた。

信号待ちのときにやっと顔をあげると、ひんやりとした空気が顔を刺した。だが、それよりもよく知っている人の姿が私の目に

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タイトル未定の小説

私は目の前に黒板と教授だけが見えている景色が好きだ。前に座る学生のプリン頭にも、ブランドものっぽい洋服にも、内職しているレポートの画面にも邪魔されることなく、自分は学生の本分である勉強を人一倍真面目にしているという気になって優越感を噛み締められるからだ。でもそれは勉強している気になっているだけであって、黒板の化学反応式も、教授の口からだらだらと放たれる聞いたことがあるような、ないようなという感じの

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