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【随筆】あたりさわりのご挨拶

 物書きの端くれです。  小説が好きで書き出したのが10歳くらい。黒歴史に葬り去りたいひとり交換日記をしてたのが中学時代。そこで徒然なるままに書きなぐった韻文に散文。テストの度、問題用紙の裏に歌う予定もない歌詞を書き連ねた高校時代。そして、演劇部に入ったのが運の尽き、脚本に手を出し早10年。そして今に至ります。  元々は読むのが好きで、ぜんぶ真似事から書き始めたので、なにがなんだかよくわからずやり過ごしてきましたが、なぜ読むのが好きで、なぜ書くのか、あるときぼんやりと気付

    • 【小説】魔女と間男と私

      「気にくわないねえ」  そう言って、魔女は持っていたステッキを振り下ろす。  それ以来、私は愛する人と結ばれることはなくなった。  はじめは私が好意を寄せた人に愛されないだけだと思っていた。良い関係になり、告白をしても振られてしまう。それが何度も重なってようやく、私は魔女の呪いだと気づいた。  それならば。私は私に好意を寄せる人と付き合うようになった。しかし、付き合ううちに私の気持ちが大きくなり、それが相手と同じか、上回るようになると、男から離れていってしまう。  

      • 【小説】(タイトル未定)

         今思うと、それすらも夢だったのではないか、と思うような、不思議な体験をした。  気付いたら夕方で、いっしょに遊んでいた友達と慌ててランドセルを背負って帰路に就く、そんな小学生の頃の帰り道。いつも通りの通学路を歩いていたはずなのに、いつの間にか、知らない古いビルの前にいた。  ―こんなところにビルなんてあっただろうか。  壁はところどころに剥がれ落ち、掠れた文字でかろうじて読めるのはシネマの文字。おそらく映画館なのであろう。掲示板に貼られたポスターはどれも日焼けしていて

        • 【戯曲】ワタシ以上にワタシを愛してくれるひと

          【登場人物】  マリ  父  母  仏  ジル(婚約者)  ミラ(妹)  伯爵  夫人 ********************************** マリ「ワタシ以上にワタシを愛してくれるひと」 ■BGM1 イン■ マリ「“こんなはずじゃなかったのに…”    私の人生はあっけなく幕を閉じた」  母「やったわね、マリ。さすがお母さんの子」  父「すごいな、マリ。お父さんの自慢の娘だ」 マリ「国語教師の母親と、社会科教師の父親のもとにうまれた私。    親

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        【随筆】あたりさわりのご挨拶

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        • 【詩集】やんでるあいだにできること
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          【戯曲】魔法少女ぷにキュア

          【登場人物】  ぷにキュア ぷにマドカ  ぷにキュア ぷにホムラ  使い魔  ダップル  敵幹部 ジャアクプロ  謎の男 ダキシーメ仮面   敵 ロリキュア ユウナ様 ■アバンパート『ジャアクプロvsダキシメーメ仮面』(3分)■ BGM カットイン「怪しい音楽」暗めの照明客席後方からジャアクプロが現れる。 プロ 「ぷーっぷっぷ、ぷーっぷっぷ」 ステージにあがり、決めポーズ。 プロ 「我が名はジャアクプロ。この世のすべてを支配するもの。     毎日が私の誕生日。  

          【戯曲】魔法少女ぷにキュア

          【戯曲】雨ふって地かたまる

          【登場人物】 だいき ゆうき ゆうすけ だいきは運転。 ゆうすけは寝ている。 ゆうきはスマホをイジってる。 だいき  あー、雨ヒドっ ゆうき  急に降りだしてきたね だいき  最悪だわー ゆうき  あれ、ゆうすけ寝てるの? だいき  そうなの、信じられないよね、ゆうすけが釣りに行きたいって誘ってきたのに ゆうき  ワクワクして眠れなかったらしいよ だいき  小学生か。だいたい、助手席で寝るってどう? ゆうき  んん だいき  ナビするなり話しかけるなりしない? ゆうき  

          【戯曲】雨ふって地かたまる

          【小説】風神戦記 黎明の時代

          原作 風神戦記リンク https://cinemafrontjp.booth.pm  風が強く吹きつけ、帽子が高く舞い上がる。この上昇気流に乗って、遠い異国の空すらも自由に飛びまわりたい。ガキの頃、空を見上げたおれは、頭上を過ぎる飛行船を見つめて、そんなことを思っていた。  時代は明治。文明開化の名のもと、西洋の文化が押し寄せ、この国は目覚ましく成長した。  はるか海の先、イギリスの産業革命に端を発して、蒸気技術は、日本でも独自の発展を遂げ、飛ぶ鳥を落とす勢いだ。蒸気機

          【小説】風神戦記 黎明の時代

          【歌詞】あせるわ

          ほんとは巡りあうわけなかった2人が こうして寄り添ってるだけで  いわゆる奇跡 たとえば好きな映画、音楽、目的地 ぜんぜん合わなかったとしても なぜだかいける きっとこんな風にしていればずっと幸せ たまに欲張って 求めすぎては 喧嘩もするけれど 愛おしくてあせるわ 君があんまり嬉しそうな顔みせて こっちへおいでと照れくさそうに 手招きをして呼ぶから こみあげるこの気持ち 声にならない 腹立つことあったけど ふざけた仕草でごまかれたら 愛しさが勝った まぁいいか 本来

          【歌詞】あせるわ

          【歌詞】月がデカいな

          今宵はやけに月がデカいな 星がキラキラ輝いてるな 誰かに教えてあげようかな 独り占めでも悪くはないな 君を想うことの素晴らしさ 君が笑ってくれる喜び しばらく見ていなかったんだけど あの月が思い出させてくれる ふぅっと吐く息が白く 空気も澄んで僕を癒す 同じように誰かが空を見上げ 眠たい目を強くこすりながら 愛すべき人の幸せ願い 口癖のように歌うたってる 会えないほど離せないほど 愛は満ちてゆく 会えないほど離せないほど 愛が満ちて未知との遭遇 一人物思いに耽って

          【歌詞】月がデカいな

          【歌詞】黄金乃風

          誰もが笑ひ転がる 虚けが理想 騙れど 吹ひた法螺から叶つた 歪む下天を此の手に統べる 和やかな夢幻 波瀾に満ちた現世 確かな答へ 何処にも 無ひと悟つた 儚き宿命 躊躇ひも過ちも 恥じる故無く 積み重ねし歩みも 一夜にして頂 胸に宿す迸る情熱 其の身纏い捧げる 苛辣なる声 違わず 叫んだ 安寧なる世界に 吹きぬける黄金の風 思ふが侭 駆けろ 託されし世の幻想 移ろふ刻も迎合 驕れる者も久しく 後は憂き世に拙く憩ふ 敵ふ術も無く今 立ち向かふは 素知らぬ様に嘲る

          【歌詞】黄金乃風

          【歌詞】よいうた

          おつかれさま  今日もいちにち ようやく終わる  あわただしく去る おかげさまで どうにかなって  よくもわるくも なんとかなって のんべんだらり るれろらり  気に呑まれても  あわく はかなく  乾杯 よい よい よいよ 今宵よいよ 飲み込んだ 不満も 泡になるよ ようよう 酔うよ 酔いしれるよ 余韻にひたって ゆっくりよみがえるよ さけびたいほど 想いは募る  あわせる日々も あえない今日も さけびたりでも しょうきはあって  要はさいごに わらってられるか

          【歌詞】よいうた

          【歌詞】One More Time!

          信じてくれないか  もう一度 One More Time! 涙こらえて大地を踏みしめたあの日 何もできずに無情に立ち尽くすあの日 負けず嫌いで何度も振り絞る魂 先の見えない皮肉な世界すら燃える 届くまで伸ばしてた  どこまでも追いかけた その背中 夢をかける 君ならできる 信じてる  諦めるなんて似合わない 立ち向かう―勇敢に― 最後まで―風に乗り― 今こそ勝負のとき 空へはばたけ  One More Time! 固い決意で何度も駆け抜けるけれど ひとりぼっちじゃ心

          【歌詞】One More Time!

          【歌詞】明日こそ、きっと

          僕らはいつまで夢追っていいんだろう  いつか子をつくり 年老いて死んでゆく 理想じゃくえない歳になって愚痴こぼし  人のせいにして苦しむフリうまくなる 持て余していた時間に追い越されて  流され生きてる ただ漂う雲のように 諦められたらどれほど楽だろうか  ふらない雨待ち 逃げ出したい  ギュっとこらえる 夢に溺れ 夢に泣いた  夢を見ていた少年 明日こそきっとと誓いをたてて  笑い泣き 笑い 幸せの定義 解けないままだらしなく  過ごしてるうちに人を羨んでしまう

          【歌詞】明日こそ、きっと

          【小説】傘も差さずにハローグッバイ

          ―チリンチリン。  入口のドアが開く。 「いらっしゃいませ。」  私はコーヒーを淹れる手を止め、来訪者へ笑顔で声をかける。 「お好きな席へどうぞ。」  入ってきた男は一目散に窓際の席へと足を運び、腰をおろした。  時刻は午後3時。雨天のくせに忙しかったランチタイムを終え、店は閑散として、広い席はたくさん空いているのに、わざわざこの店で一番狭い、窓向き横並びの二人席を選んだ。待ち合わせ、じゃないよなあ。 「どうぞ。」  私は営業スマイルで水とおしぼりを差しだす。

          【小説】傘も差さずにハローグッバイ

          【小説】2次元なんて救えない

           私の大切な人は世界を救った。  私は過疎化の進んだ辺境の村で生まれた。村に住む全員が顔見知りであり、みんながみんな親兄弟のような、家族同然の関係で過ごしてきた。  同じ年頃のこどもは私ともう一人、隣りの家の男の子トーマだけだった。  十五のある日、私とトーマは冬支度に町へ買出しに出かけた。    そこで彼は、地面につき立った聖剣を引き抜いてしまい、勇者に認定された。  あっけに取られた私をよそに、魔王討伐のため、修行を積むことになったトーマはそのまま王都へ連れていか

          【小説】2次元なんて救えない

          【小説】にじんでみえない

           チュンチュンチュン。  デッデーポッポー。  ううう、頭が痛い。  飲みすぎたか…。  体も痛い。  変な寝方したな、こりゃ。  うつぶせのまま酔いつぶれていた身体をなんとかひっくり返し、目ヤニで頑丈に閉じられた目をムリヤリこじ開ける。  見慣れた天井。  見慣れた景色。  ちゃんと家には帰ってきたらしい。  我ながら、酔っぱらったときのオートモードは優秀すぎて怖い。どれだけ記憶をなくそうとも、知らない天井で起きたことはないし、ましてや、(文字通りの意味

          【小説】にじんでみえない