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エスコンフィールドで野球が大嫌いだった私は感動に震えた
私は野球が大嫌いだった。
子ども時代を過ごした1980年代。当時は「野球を知っていて当然」の世の中で、スポーツといえば野球だった。
夜のテレビは野球中継が多く、そのせいで楽しみにしていたアニメやバラエティ番組は遅れたり、なくなったりした。
学校のキックベース(あったね!)やソフトボールの授業では「野球とほとんど同じだから」とルール説明を省かれ、私はわからないまま置いていかれた。誰も説明なんかしてく
ファイターズの中田翔が消えた日
あの時のことはよく覚えている。
旅先のニセコ。食事を待つ間にドリンクを取りに行き、席に戻ろうとしていた時だった。スマホを手にした友人が席から私の顔をじっと見ている。ひきつった顔で、何事かが起きた雰囲気だ。
「なに、どしたの?」私は席に戻りながら尋ねる。
「驚くから、まずそれ置いて」「え、なに」。
ドリンクをテーブルに置き、椅子に座る。
「ニュース見てみ」「なに、え、待って」
嫌な予感がし、まさか
あの時の四番の一振りが、私をファイターズファンにした。
この記事は文春野球フレッシュオールスター2020応募のため、2020年8月に書いたものです。
華麗に選外でしたので、供養のためにこちらに掲載させていただきます。
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野球なんて大嫌いだった。
私が子どもだった80年代、野球はいつもテレビで放送されていた。クラスの男子の多くが地域の少年野球チームに入っていたし、野球選手の下敷きを自慢し合っていた。どこかのチームを応援していて当然、選手名は一般
わたし野球なんて大嫌いだった、なんだよ「開幕投手」って
野球なんて大嫌いだった。
春になると聞こえてくる「開幕」って言葉。
なんだよ、舞台でもないのに「開”幕”」とか言っちゃって。
しかも、春になったから始めるんでしょ?
それって毎年、決まってるんでしょ?
毎年おんなじなのに、カイマクカイマク騒いじゃって…
しかも、え?なに??
「開幕投手」とか。
野球って、投げるひとはいつも居ますよね?
わたし、野球のことよくわかんないけど、それくらいは知って
わたし野球なんて大嫌いだった、なんで番号がいくつもあるの
野球なんて大嫌いだった。
選手が背中につけてる番号。
あれなんで1から9じゃないの?
9人しかいない(らしい)のに二桁とか。っていうか、時々ゼロとかいるし。かと思えば三桁もいるし。
エースって呼ばれてる人。エースってトランプだと1のことだから、背番号だって当然1じゃないの?と混乱した小学生時代。
ゴーゴー松井で55?ダジャレかよ、と馬鹿にした中学生時代。
しかも、「ヨバン」って人はどうやら注
わたし野球なんて大嫌いだった
野球なんて大嫌いだった。
1980年代に関東地方で育った私にとって、野球は大体いつも夜テレビで放送されていて、みんなは必ずどこか(ジャイアンツが多かった)を贔屓のチームにしていて、野球大好き当然でしょ、みたいな空気を感じていた。
父親は熱心な野球ファンではなかったけれど、一応一族のルーツが広島だからってカープファンであることになっていた。でも家のテレビではだいたいジャイアンツの試合が流れていた