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みやまる・スポーツブックス・レビュー

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最新の「人材論」をわかりやすく:お股ニキ『なぜ日本人メジャーリーガーにはパ出身者が多いのか』

最新の「人材論」をわかりやすく:お股ニキ『なぜ日本人メジャーリーガーにはパ出身者が多いのか』

 タイトルを見て「確かにその通りだけど、そういやどうしてだ?」と思った。このタイトルには昨今の「パ高セ低」の謎を探る、といった意味合いも込められているように感じ、手に取った。西武ファンかつパリーグ贔屓の自分が、ちょっと自慢に思ってるこの現状の、根拠を確認できる良い本だろうと思った。
 お股ニキの本を読むのは初めてではない。千賀滉大を始めとする球団関係者をも唸らせた『セイバーメトリクスの落とし穴』(

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知られざる「ミケランジェロ」の真実:団野村『伊良部秀輝』

知られざる「ミケランジェロ」の真実:団野村『伊良部秀輝』

(初出:旧ブログ2019/8/19)

伊良部秀輝はどうしても野茂英雄と比べられ、野茂が「陽」だったのに対し、伊良部は「陰」というか「ヒール」役だった。ヤンキース移籍時のゴタゴタやツバ吐きなどのイメージが強く、「イラブよりノモ」という世間の流れは幼稚園児だった自分でもなんとなく覚えている。

帰国後も飲食店でのトラブルもあり(実際は伊良部は不起訴かつ被害者なのだが)、2011年の夏に自殺した際

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ファームチーム、かく戦えり。/田口壮『プロ野球・二軍の謎』

ファームチーム、かく戦えり。/田口壮『プロ野球・二軍の謎』



(初出:旧ブログ2018/10/11)

 タイトルを読んで、「あ、これ面白そう」と思って買った本。著者はイチローと名コンビを組んだあの田口。章立てはこんな感じ。

はじめに
第一章:プロ野球の二軍はなにをしているのか
→リーグ構成、支配下枠などの基本データの紹介
第二章:日本の二軍とアメリカのマイナー
→日米でどこが違うかを野球文化含めた様々な視点で比較
第三章:二軍の試合が100倍楽しくな

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教養としてのプロレス

教養としてのプロレス



(初出:旧ブログ2016/11/05)

 プロレスに関してはほとんど門外漢で、自分とプロレスとの関わりといえば久米川でアントニオ猪木を見たこと(選挙応援)がある程度だが、不思議と仲のいい友達や尊敬する作家にプロレス好きが多い。プロレスの知識や歴史や観戦術を教えてくれる本かと思ったらちょっと違った。タイトルを自分の感想に即して言い換えるなら、『哲学・現代思想としてのプロレス的思考』という感じか

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