日本を滅ぼす研究腐敗――不正が不正でなくなるとき(15) 2章 「O教授の“丸写し“発覚する」4

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 もはや「疑惑」ではない。故意による盗用だ――私は確信を深めた。奨学金問題対策全国会議代表で中京大教授のO氏による著作盗用は十数件を数えた。私は、失望とも怒りとも言いかねる複雑な感情にとらわれた。サラ金問題や、奨学金ローン問題についてともに協力して取り組んできたはずの組織からツマハジキにされたばかりか、その代表者の学者によって繰り返し盗用被害を受ける。さらに、それを指摘すると本人は苦しい言い逃れに終始し、周囲の者たちは我関せずを決め込む。タブーなき仕事に挑んできた私にとってこれ以上の侮辱はない。
「O氏は奨学金対策会議の共同代表を辞任すべきだ。または解任すべきだ」
 そうした意見を、「盗用」の証拠とともにクレサラ対協のメーリングリストを通じて投稿してみた。全国会議の者たちも当然届いているはずだったが、反応はない。黙殺だ。私は知らず「クレーマー」になっていた。それでも、わずかながら個人的に理解を示す連絡があったのがせめてもの救いだった。

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