見出し画像

遠い記憶 二十九話

母の中には、私は居なかった。
母の大事な物は、自分のプライドと体裁だった。
都会と言う所は、煌びやかで、ライトを浴びる事に
憧れを、与える所だったろうか。
自分を着飾り、人の上に立って物を言う事の喜びを
手に入れた母に、誰の口もたたなかった様だった。
元々、賢さと感の良さも相まって、人を引き付ける
物を持っていた。
それが、母を傲慢にして行った様に思う。

ここから先は

4,166字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?