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iwanoricco
遠い記憶 二十九話
母の中には、私は居なかった。
母の大事な物は、自分のプライドと体裁だった。
都会と言う所は、煌びやかで、ライトを浴びる事に
憧れを、与える所だったろうか。
自分を着飾り、人の上に立って物を言う事の喜びを
手に入れた母に、誰の口もたたなかった様だった。
元々、賢さと感の良さも相まって、人を引き付ける
物を持っていた。
それが、母を傲慢にして行った様に思う。
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