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椎間関節へのアプローチ~腰部・胸部それぞれの可動性と痛みの改善~

脊椎は、椎骨と呼ばれる骨一つ一つが積み重なって形成されています。そして、椎骨と椎骨の間にある関節のことを椎間関節と呼びます。脊椎全体の協調した動きや連動性は、この椎間関節によって成り立っています。その可動性が悪化すると、腰部や胸部でさまざまなエラー、痛みにつながるわけです。そんな椎間関節の構造上的特徴や、ケア・アプローチの考え方を解説します。

椎間関節の動作~圧迫や痛み~

椎間関節とは、関節上突起と関節下突起の接合部となる関節で、脊柱の位置によって接合部の形が異なるという、ちょっと変わった特徴を持っている関節です。

胸部脊柱の椎間関節は上下、腰部脊柱の椎間関節は左右と、それぞれの向きが異なります。この構造上の違いがあることで、胸部は前後屈よりも回旋動作に優れており、腰部は回旋よりも前後屈の動きに優れているわけです。

さて、脊柱は様々な身体動作で圧迫が加わり、それが痛みとなって発生するとされています。例えば、前屈時は脊柱前方への圧迫が増すため、「椎間板性」の痛みが起こりやすいと言われています。逆に後屈時では、脊柱後方が圧迫されるため「椎間関節」性の痛みが起こりやすいと言われているといった感じです。

最近の研究では、構造上のストレスが全て痛みになるわけではないという説もあります。とはいえ、椎間板や椎間関節へのアプローチを行うことで痛みの改善が見られるケースは多いです。

後屈動作によって生じるストレスと痛み

上半身の後屈を行う際、脊柱全体が一節ずつ後弯しており、体幹の安定性を出しつつ股関節の伸展なども行える必要があります。この時、腰部のハイパーモビリティ(過可動)が起こっていると、これが原因で痛みを誘発するケースが見られるわけです。

脊柱後屈時に痛みが発生する場合の椎間関節へのアプローチ

脊柱(上半身と言い換えてもいいかもしれません)の痛みの原因は様々です。そのうち、脊柱全体の可動性に問題があり、ハイパーモビリティが生じている部分にストレスが集中し、痛みがある場合が考えられます。その際、椎間関節に対してどのようなアプローチができるのか、いくつか紹介していきましょう。

確認方法

まずは、痛みの場所と痛い動作を確認する必要があります。とはいえ、普段から身体感覚にあまり意識を向けていないと、自分の痛みがどこにあるのかを正確に把握できない方は多いです。その場合、前屈動作を促して、左右の指で棘突起の左右を触り「右手と左手の指す場所のうち、どちらが痛いですか?」と声がけしていきます(改善方法の写真のような動作です)。椎間関節は、棘突起の左右に存在するからです。

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