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脊柱伸展時の腰痛のケア。考えられる4つの原因とアプローチ

僕がクライアントを見てきた中で、いわゆる「腰痛」を訴える人の中でもっとも多いのが、脊柱の伸展時に腰痛を覚えるというケースでした。いわゆる腰を反らした時に腰が痛いという人です。この原因と考えられる4つの要因を、それぞれ紹介したいと思います。

①胸腰筋膜の「たるみ」

胸腰筋膜は、読んで字のごとく胸部〜腰部周辺を覆う筋膜のことです。体幹の前後と側面の各筋群が連結されるように構成されていて、広背筋と大殿筋とおいう、非常に大きな筋群の連結にも関わっているため、胸腰筋膜は体幹の安定性にとても重要な役割を果たしているわけです。

胸腰筋膜は、一般的に「表層」「中層」「深層」が存在して、それぞれ以下の筋肉が関係しています。

表層:広背筋、大殿筋、脊柱起立筋、多裂筋
中層:腰方形筋、内腹斜筋
深層:大腰筋、腰方形筋、横隔膜

ちなみに、胸腰筋膜を「前葉」「中葉」「後葉」と分けて説明しているものもあります。それぞれに関連する筋肉は次の通りです。

前葉:腰方形筋、大腰筋
中葉:外腹斜筋、内腹斜筋、腹横筋
後葉:広背筋、大殿筋

仙骨が前傾すると(ニューテーション)、腰椎は前弯します。逆に、仙骨が後傾すると、(カウンターニューテーション)腰椎も後弯します。これがいわゆる「腰椎仙骨リズム」であり、人間本来の持つ骨の特徴なわけです。四足歩行の動物は、仙骨がニューテーションを起こしたら、身体もそのまま前に倒れます。カウンターニューテーションの場合は、身体も一緒に立ち上がろうとします。仙骨と脊柱の向きが、一致しているわけです。

人間の場合は逆で、仙骨がニューテーションを起こすと体は反っていきます。カウンターニューテーションを起こすと、身体は丸まっていきます。

胸腰筋膜がたるんでいるということは、脊柱が側方から引っ張られてないっていう状態です。緊張がないことで、矢状面の運動(屈伸運動)が安定しなくなります。脊柱1対ずつの運動、特に伸展時における動作は、多裂筋が重要な役割を担います。腰腸肋筋や胸最長筋は、Th12以下からはほぼ膜組織になるため、あまり強く働きません。

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