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「炎症から脳機能を守る」という観点での食事・運動 #炎症と脳機能#2

前回、炎症が脳機能に及ぼす影響をテーマにさまざまな研究を紹介しました。

第1回ですでに、炎症が認知機能に多くの悪影響があると分かったと思います。今回も、それを裏付けるさまざまな研究をまとめました。

健康度自己評価の低さと炎症との関連

皆さんは、健康に対する自己評価が高いですか?低いですか? 自己評価というのは、長期的な健康や死亡率にものすごく深く関わる要素です。単に不健康であること以上に、「自分は健康にと自信がない」というのは、人生全体の幸福度を左右するほどのインパクトがあります。

過去のさまざまな研究では、軽度炎症が健康度自己評価に関連していることが報告されています。今回取り上げるのは、2016年に発表された男性に関する研究です。研究対象となったのは、男性49,321名。彼らにはある共通点があります。それは、全員が1969年と1970年に徴兵経験を持つという点です。徴兵という非日常の環境にあった被験者らは、ストレスや生活環境から大小さまざまな炎症を負ったはず。

この研究は、「炎症が高レベルであるほど、自己評価の低さに関連する」という仮説のもとで進められました。炎症の度合いは、赤血球沈降速度(ESR)で測定されています。ESRは日本語で「血沈」「赤沈」と略されることもあり、赤血球が試薬内を沈んでいく速度を指します。基準値が男性 2〜10mm/時間以下、女性 3〜15mm/時間以下で、炎症が起こっているかを調べる代表的な検査方法の一つです。

その結果、徴兵された人の大多数は、自己評価による健康状態が良好であると報告されています(96.2%)。一方で、自己評価が低い徴兵者は自己評価が高い徴兵者に比べて、喫煙や危険なアルコールの使用などの健康不良行動を報告する傾向があり、低い感情調節の頻度も高かったそうです。このことから、健康に対する自己評価の低さと炎症には、有意な関連があると結論付けられました。

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