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スマホ首を改善する~頸部・頸椎の評価とトレーニング~

頭部を支える「首」が、人体にとってどれだけ重要かどうかは、説明する必要もないでしょう。最近ではスマホの普及により、頭部が前突したいわゆる「スマホ首」に悩まされている人も増えています。トレーナーとしても、こうしたアライメントに対して、施術なりエクササイズなりで対応できるようになっておきたいところです。

今回は頸椎について、解剖学的な解説をしつつ評価方法やエクササイズ、施術などを紹介したいと思います。

頸椎・頸部のアライメント不良の要因

頸椎には、頭部と第一頸椎(C1)で構成される後頭下関節、第一頸椎と第二頸椎(C2)で構成される環軸関節が存在します。TikTokでは最近、頸部に対して大きな音を出してアプローチする整体術が流れていますが、頸部は繊細な部位であるため、大きな負荷を与えることは推奨されません。

もちろん改善されるケースもあるのですが、見ているだけで怖い…。近年の研究では、まだ痛みのメカニズムを完璧に把握できていません。

ここで扱う頸椎や頸部のアライメント不良は、大きく二つの要因に分類できます。

①姿勢不良「ストレートネック」

ストレートネックとは下部頸椎が屈曲し、上部頸椎が伸展している状態を指します。この状態は、頸椎の左右で付着する胸鎖乳突筋がどちらも硬縮していると起こると言われていますね。しかし、実際にストレートネックの姿勢を作って首を触っても、胸鎖乳突筋に力は入っていないのが分かります。

しかし、実際にストレートネックの形を作って筋肉に触れてみると、胸鎖乳突筋に特別力が入っていないのが分かります。そもそもストレートネックというのは、頭部が前方に突出した結果、頭部の重みで頸椎の弯曲が失われて起こっているのです。胸鎖乳突筋が原因ではありません。

むしろ、胸鎖乳突筋は前方へ突出した頭部を支えるために作用しているだけなのです。この状態で胸鎖乳突筋をリリースすれば、頭部を支えている筋肉の力が弱まり、後頭下筋や板状筋で支えなければいけなくなります。結果、ストレートネックが悪化したり、頸部に新たな慢性痛が生じたりするリスクが増します。

大事なのは、「筋肉よりも姿勢を見る」ことです。身体は一つの部位から成り立っているのではなく、全体のバランスで成り立っています。今回の場合で言えば、頭部の位置は足部や骨盤の状態で簡単に変化するわけです。

実際に骨盤を前後傾させてれば、頸椎も同時に動いていることに気づくでしょう。胸鎖乳突筋の事例でも、猫背の姿勢と胸椎伸展時で、胸鎖乳突筋の働きは変化します。これは、姿勢の変化で胸鎖乳突筋の支点が変化するために起こる現象です。

②頸部の不安定性

頸部の不安定というのは、画像所見上では確認されない痛みや、それに付随する違和感の原因になっていることを意味します。基本的には、本人の感覚的な問題に制限されているパターンでは、特にC2周辺に痛みや不安定感を訴えることが多いです。

頸部の不安定性を訴える人は、頸椎の前弯が不足していたり、胸椎伸展が不足していたりするのが多く見られます。

不安定性をチェックするテストは、次の2点です。

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